休眠顧客とは?BtoB営業で使える掘り起こしのノウハウ

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休眠顧客とは?BtoB営業で使える掘り起こしのノウハウ

過去に自社製品やサービスを購入してくれた顧客であっても、その後もコンスタントに購買行動を続けてくれるとは限りませんし、一度購入を検討してくれた見込み顧客が全員購入に至るとは限りません。
BtoBビジネスでは、1回あたりの取引金額が大きかったり、製品やサービスの検討スパンが長かったりするケースも多く、顧客が休眠化してしまいがちです。

そこで今回は、休眠顧客とはなにか?BtoB営業での活用方法、掘り起こし方法をご紹介します。BtoBビジネスにおける、休眠顧客の有効な活用法や掘り起こし方をもとに、深い眠りから休眠顧客を呼び起こしましょう。

休眠顧客とは

休眠顧客とは、過去に商談や取引などのやり取りがあったけれど、今は表舞台に出ず放置された状態の見込み顧客を意味します。

BtoBビジネスにおいて、休眠顧客はなにが原因で増加するのでしょうか。その理由はさまざまですが、BtoBビジネスの持つ性質が大きく影響していると言えます。

例えば、検討期間が長期化するということです。展示会に足を運んだりWebサイトから資料請求を行ったりする商談のきっかけから、実際の取引成立までの期間が長期化すれば、その分、営業部門がフォローしている間にも取りこぼしが起きてきます。

また、取引金額が大きいことで、見込み顧客の購買行動が慎重になり厳格化されてしまうことも理由のひとつと言えます。その結果、こちらの稟議書がなかなか通らないうちに、見込み顧客が休眠化してしまうケース等もあるでしょう。

また、インターネットの普及によって、お役立ちコンテンツと打ちだしたホワイトペーパーのダウンロードだけで終わるなど、単なる情報収集だけのアクセス数も急激に増加しています。このような、まだ検討の始まっていない見込み顧客も含めて、全ての見込み顧客を同じように追跡、フォローしていこうとした場合、管理そのものが難しくなっていることも挙げられるでしょう。

だからといって、休眠顧客を放置しておくことはおすすめしません。広い世の中から新規で見込み顧客を創出するのは難しいことです。自社とのやり取りがあった休眠顧客を掘り起こし資産化する方法を知っていれば、より効率的にリードナーチャリング(見込み顧客の育成)を進めることができるのです。

休眠顧客掘り起こしのメリット

前述したように、休眠顧客の掘り起こしをすることで、ゼロから新規の見込み顧客を開拓するよりも効率的に案件の創出が可能になります。もちろん、掘り起こそうとした休眠顧客がすぐに全てアクティブになってくれるとは限りませんが、休眠から目覚めさせる努力を続けていきましょう。

またBtoBビジネスにおいて休眠顧客の掘り起こしに取り組むメリットは、見込み顧客を創造するだけではありません。

例えば、現在の休眠顧客の属性や休眠顧客になった理由などを丁寧に分析すると、自社が休眠顧客を創り出してしまった原因を分析することができます。営業フローや、見込み顧客のフォローの方法等、休眠化の原因を特定して対策を行えば、これから先の休眠顧客の増加を抑えることができます。

また、休眠顧客は自社の商品やサービスに興味を持ちつつ、自社から心が離れてしまった見込み顧客です。何がネックになったのか、なぜつなぎ止めることができなかったのか、そこから、自社商品やサービスの改善ができるでしょう。

このように、休眠顧客を活用することは、案件化以外にもさまざまな側面からBtoB企業を活性化させてくれます。

休眠顧客になってしまう理由

ここでは休眠顧客となってしまう3つの理由を見ていきましょう。

商品や価格への不満がある

休眠顧客となってしまう原因の1つは「不満」です。顧客が購入した商品に求めている効果を感じられなかったり、値上げや価格改定などで価格に納得がいかなくなったりなど、自社の商品やサービスに満足できなくなってしまうことが解約につながり、休眠顧客となることが考えられます。

顧客状況が変化した

時間の経過だけじゃなく、ビジネススタイルなど企業状況の「変化」により商品やサービスが必要ではなくなった場合に休眠顧客となることが考えられます。
顧客状況の変化によって解約に至った場合、これまでの商品やサービスがまた購入してもらえる可能性は低く、休眠顧客の掘り起こしを行うのは難しいでしょう。

自社を忘れている

3つ目の休眠理由は「忘却」です。以前に自社の商品やサービスの購入履歴があるものの、今は他社と契約している場合や、一度自社商品を比較検討していたが購入に至らず、自社の存在を忘れて休眠顧客となります。
このような顧客は離反顧客とも言われ、こちらも掘り起こしを行うことは難しい顧客となります。

休眠顧客を復活させる手法

休眠顧客を復活させるには、どのような施策があるのでしょうか。休眠顧客の復活には、実際に休眠顧客と接触を行う必要があります。その接触方法は、休眠顧客の属性やデータの精度、復活の目的などによって変わってきます。一般的には、メール、DM、電話(テレマーケティング)などが挙げられます。

メール

メールを送る場合、休眠顧客の特性に応じて内容を変えます。具体的な製品の比較検討段階をしていたいのか、まだ情報収集段階なのか等、それぞれの休眠顧客が望むと思われる情報と、その情報を見た後に取って欲しいアクションを考えましょう。

例えば、イベントの案内やセール告知、メール特典など、読み手にメリットがあるもの。業界情報に精通した専門家のコラムや最新情報などのニュース性のある読み応えがあるもの。アンケートといった返信を期待するもの。こういった中から最適なアプローチを探っていきます。

DM
ペーパーレスが叫ばれる中でも根強い人気があるのはDMです。メールなど形に残らないものでのやりとりが主流の中で、手紙をもらうことは特別な感覚を持つ場合も多く、手にとってもらうことで気づきを創り出せます。封書で出すか、コストパフォーマンスや読みやすさを考えてはがきタイプにするのか、シールを剝がして読む「しかけ」を組み込んだはがきにするのか、その形状も検討課題です。
電話
営業担当者が過去に集めた名刺や、過去の商談内容をもとに、電話で近況を確認できるところは直接電話という手段も有効です。件数が多い場合や一括でリストを管理する場合などは、テレマーケティング業者などを活用するのも選択肢の1つでしょう。

そのほか、休眠顧客向けの集客セミナーを開催したり、イベントに出展したりすることを平行しても効果的です。

休眠顧客を掘り起こす手順

ここでは、休眠顧客を掘り起こす3つの手順を見ていきましょう。

1.休眠顧客の定義を定める

休眠顧客の明確な定義は決まっておらず、自社ごとに定めておく必要があります。そこでまずは、どのような状態の顧客を自社の休眠顧客とするのか休眠顧客の「定義」を定めましょう。

例えば、

  • 最終購入から6ヶ月経過しており、その後の購入がない
  • 最終ログインから1年経過している

など、明確な期間を定めて定義しておきましょう。

2.休眠理由をもとに休眠顧客を分類する

前述したように休眠理由には、「不満」「変化」「忘却」の3つがあります。休眠理由ごとに効果的な訴求方法が異なるため、ここでは、顧客が休眠に至った理由ごとに顧客を分類します。

【理由別】効果的な訴求方法

商品や価格への不満がある顧客への訴求

商品や価格に対しての不満から休眠してしまっている顧客へは、不満に感じている理由を直接聞くことも効果的です。意見を聞くことで、親身に対応してもらえたと感じてもらうことができれば再び顧客になってもらえることもあります。

また不満に思っている原因がわかれば、メリットや使い方などを改めて訴求することもできます。

顧客状況が変化した顧客への訴求
顧客状況の変化により休眠してしまった顧客は、商品への不満があるわけではないため、掘り起こしが難しいでしょう。しかし、別の商品がある場合や新商品が出た際には案内することで再購入へとつながることもあります。
自社を忘れている顧客への訴求
自社や自社の商品を忘れ離反した場合は、以前の購入や検討していたことを思い出してもらう必要があります。そこで、「以前は〇〇をご購入いただきありがとうございました」といったメッセージを商品画像とともに送付することが効果的でしょう。

3.分類した顧客へのアプローチ方法を決める

休眠顧客を分類した後は、以下の「休眠顧客を復活させる手法」を活用し、アプローチしていきます。

  • メール
  • 電話
  • ダイレクトメール

この3つの手法は、それぞれ別で使っても、複数の手法を組み合わせて活用することも効果的です。例えばメール送信後、反応が良い顧客には再度電話を使ったアプローチを行うといった方法があります。

おわりに

今回は、休眠顧客とはなにか?BtoB営業での活用方法、掘り起こし方法をご紹介しました。
休眠顧客とはBtoB企業にとって「眠っている宝」と言えます。より多くの休眠顧客を眠りから覚ますことができれば、見込み顧客を効率的に創造できます。休眠顧客リストを作り、その中身を分析して、それぞれの休眠顧客にあったアプローチを効果的に行いましょう。

今回ご紹介した方法を参考にして、休眠顧客の掘り起こしにトライしてみてはいかがでしょうか。