いまさら聞けない「マーケティングオートメーション」。できることから事例、導入のポイントまでまとめて解説!
マーケティングオートメーション(MAツール)とは、見込み顧客(リード)の獲得~育成や、営業がアプローチすべきリードの抽出といったマーケティング活動を自動化・効率化し、生産性を向上させながら商談獲得数を最大化するツールのことです。
この記事では、これからマーケティングオートメーションに取り組む方が迷わずに済むように、基礎知識からMAツール選定のポイント、運用のコツまでわかりやすく解説しました。以下の目次から気になるトピックを参照してみてください。
- 1.マーケティングオートメーション(MA)とは
- 2.MAツールでできることとその効果
- 3.MAツールの機能
- 4.導入効果・メリット
- 5.MA・SFA・CRMの関係
- 6.導入事例
- 7.MAツールを導入するデメリットは?
- 8.導入~運用の流れ
- 9.よくある失敗
- 10.導入で失敗しないために
- 11.MAツールの比較ポイントは?
- 12.ポイントは「自社にとって本当に必要な機能は何か」
- 13.MA運用開始前に整備しておくべきコンプライアンス
- 14.運用時にぶつかる課題と解決策
- 15.押さえておきたいKPI
- 16.シナリオ作成のコツ
- 17.マーケティングオートメーション(MA)は自社の課題解決を支援する
- 参考1.BtoB向けとBtoC向けのマーケティングオートメーション(MA)
- 参考2.発祥と歴史
- 参考3.アメリカと日本のマーケティングオートメーション
マーケティングオートメーション(MA)とは
マーケティングオートメーション(MA)とは、見込み顧客情報の獲得~商談化までのフェーズを効率化し、 商談獲得数を最大化するツール です。
企業が受注数を増やすためには、1件でも多くの商談機会を持つことが大切です。しかし、イベントで名刺交換した方や直接お問い合わせしてきてくれた方全員が、すぐに商品やサービスに興味を持ち商談に応じてくれる訳ではありません。
情報収集を重ねて競合商品と比較を行い、予算や購入時期等の条件が整って初めて商談化する段階にたどり着く場合がほとんどです。特にBtoBにおいては初回接触から商談化まで数年かかることもあります。
そのため、見込み顧客一人ひとりと定期的に連絡を取り続け、準備が整う瞬間を待つ必要があります。しかし、営業担当者が数百~数千人の見込み顧客に電話で状況伺いをし続けるのは効率が悪いため、商談化のタイミングを逃してしまい、その結果競合商品の購入が決まってしまうこともあります。
マーケティングオートメーション(MA)を活用すれば、見込み顧客リストをツール上で管理しながら一斉メール配信で連絡を取り続け、商談化の可能性が高まっている人を可視化することができます。人力で行えば膨大な工数がかかるマーケティング・営業活動の工程を、その名の通り自動化・省力化することで、商談獲得数の増加に寄与できるのです。
マーケティングオートメーション(MA)が普及した背景
マーケティングオートメーション(MA)が普及した背景には、インターネットの普及と、それに伴う法人営業の手法の変化があります。
それぞれ、以下に解説します。
背景1:インターネットの普及による、顧客の購買プロセスの変化
インターネットの普及により、ニーズを持ったときや課題を感じたときの最初の行動に変化が起こりました。以前は「よく顔を見せてくれる営業担当に電話」だったのが、「検索エンジンで検索」をするようになっていったのです。そのため、実際に営業担当に連絡が来る頃には、顧客は比較検討する製品の選定をほぼ終了している状態になりました。
更にこの流れは進むと言われており、特に安価な間接材は最終的な購買までオンラインで完結するようになりつつあります。インターネットで探せない製品・サービスは顧客からほぼ認知が得られない(=存在しない)状態になっているということを認識しなければなりません。
そのため、提供企業は、顧客となり得るユーザーの検討度合いが低く、情報収集段階から接触しておき、定期的にコンタクトを取りながら自社製品・サービスのご案内をしていくことで、いざ見込み顧客が検討段階に入った際に、比較検討対象に入れるように活動する必要が出てきたのです。
その手法として、Webに情報を掲載し、その中でコミュニケーションを行っていく必要が出てきたことが、マーケティングオートメーションというITツールに期待される側面として大きいため、マーケティングオートメーションに注目が集まっているというのが一つ目の背景です。
背景2:法人営業の手法を変化させる必要が出てきた
主にバブル崩壊の経済的打撃を一つのきっかけとして、日本のBtoB企業はそれまでの「売上拡大による業績拡大」から「コスト削減による利益確保」へと、経営の舵を大きく切っていきました。更に国内市場の縮小や生産拠点の海外移転によって、それまでの体制のままで生産性を上げ、売上拡大をしていくことはより困難になっていきます。
このような状況になると、購買する側は無駄なものを購入することを出来る限り避けようとするため、購買プロセスは必然的に厳しくなります。稟議のハンコの数が増えたり、相見積もりが徹底されたりと、購買部門によるコスト削減要求が強くなります。
また購買する側はインターネット上で様々な情報を収集できるので、自社の検討状況を提供側に明らかにする必要がなくなり、営業担当はお客様の購買可能性を推し量るのが非常に困難になります。
これらの背景によって、以前は決裁者に頻度高く面談して人間関係を構築し、現場のサインで発注書をその場でもらっていたような営業活動の生産性が著しく悪化することになります。提案書や見積書は正確に丁寧に作成し、値引き要求にも応え、購買部門の審査を経由したり、社印を捺印してもらったりしつつ、発注の可能性が不明な見込み顧客に以前よりも長く対峙していく必要があります。
このプロセスは多くの企業にとって、顧客と接しての個別交渉になる場面が多いため、営業自身が対応せざるを得ない状況になっているのがほとんどです。このプロセスに今まで以上の工数を割かざるを得ない営業は、新規顧客へのアプローチよりも受注に近いこのような活動を優先させることになり、その結果、営業全体の生産性が下がるとともに、新規顧客へのアプローチを行うことが時間的に困難になります。
そのため、新規顧客開拓を体系的・効率的に行うためのマーケティング活動としてマーケティングオートメーションが注目されているのです。
マーケティングオートメーション(MA)でできることとその効果
マーケティングオートメーションが普及した理由に触れたうえで、ここではマーケティングオートメーションツールがどういったことができるのか、その効果について詳しく触れていきましょう。
「自動化できる作業」と「解決できる課題」という2つの側面から解説します。
マーケティングオートメーション(MA)が自動化できる作業
まず、マーケティングオートメーションが自動化できる作業を簡単にまとめました。
見込み顧客リストの一元管理
一般的にBtoB企業は、様々な方法で見込み顧客を獲得しています。主に下記のような方法が見込み顧客の獲得につながっているといえるでしょう。
- 展示会への出展
- 広告出稿
- セミナーの開催
- SEO対策
- コンテンツマーケティング
- 外部リード獲得メディアへの掲載
様々な方法で見込み顧客のリストを取得することは可能であるものの、それぞれの取得形式はバラバラになりがちです。また、データとして取り込むこともできたとしても、マーケティングオートメーションを活用しなければ、人の手で管理する必要があります。
加えて、自社サービスや商品に対する購入確度も顧客ごとに異なることから、人の手によって顧客の属性を細分化することは困難だといえるでしょう。
しかし、マーケティングオートメーションでは、見込み顧客リストを自動的に一元管理することができます。獲得した方法や見込み顧客ごとの検討度合い、これまでのコミュニケーション履歴などをダブりなく管理することができます。併せて、購入確度にあわせてスコアリングや行動による分類分けなども行うことが可能です。
このように、見込み顧客の管理という面では、マーケティングオートメーションは非常に高い効果を発揮することができます。
メールによる見込み顧客との継続的なコミュニケーション
一元管理した見込み顧客リストに対して、一斉にメールを配信することができます。もちろん、全てのメールアドレスに対して同じメールを送ることも、リストの中から特定の条件にマッチする人だけに限定したメールを配信することも可能です。
マーケィングにおけるメールに関するアプローチの方法は、非常に多くあります。
- 一斉送信によるメルマガのような配信
- 顧客の行動に合わせて内容を変えていくステップメール
- ある一定の行動を行った人に対するターゲティングメール
開封率やクリック率、CV率を自動的に計算することも可能なため、メールの文章やタイトルなどに関しても一人一人の顧客に合わせた適切なアプローチができます。例えば、見込み顧客リスト全体に対して毎月1回メールを送り、その後自社サイトに訪れた人だけを抽出して、サービス案内のメールを送るといった設定も自動化できます。
それだけでなく、見込み顧客情報とWebサイトのアクセス履歴を紐付けることができるため、「誰が、何に、どれくらい」興味があるのかが分かるようになる点はメリットだといえるでしょう。その結果として、各見込み顧客の興味内容に合わせた、適切なコミュニケーションを取れるようになるのです。
適切な見込み顧客の購入確度の測定においても、マーケティングオートメーションは高い効果を発揮できるといえるでしょう。
メールマーケティングの成果を上げた成功事例をご紹介!
save_alt導入事例集~メール活用編~をダウンロードするplay_arrow
“今、サービスを検討している”顧客の抽出

先述したように、マーケティングオートメーションではこれまでの顧客の行動履歴や Webサイト上の来訪履歴を分析できます。そのため、サービスや商品の導入検討か進んでいるかどうかなどの行動を可視化し、見込み顧客をスコアリングなどによって分類することが可能です。
そして購入確度の高い見込み顧客に対して、営業がスムーズにアプローチすることができるようになります。
例えば、自社サイトのお問い合わせフォームに遷移してきた人は、具体的な問い合わせまでは至らなくても検討段階に進んでいることが想定できます。また、商材の価格や機能、導入事例などを何度も閲覧している方も商材への興味度が高いと考えられます。
まとめると、マーケティングオートメーションによって、下記の項目を自動化することが可能です。
- 有望な見込み顧客のリスト化
- スコアリングによる分類分け
- タイミングを逃さない適切な営業
マーケティングオートメーションでは、購入確度の高い顧客を抽出し、有望な顧客リストとして営業に渡す、営業と連携し有益なコンテンツを個別に顧客に提供するといったことも可能です。そのため、自社にとって有益となる顧客に対して的確なアピールやフォローが自動的にできます。
特に、人的リソースを割かずに幅広い見込み顧客に対して適切な管理を行いたい場合は、マーケティングオートメーションの導入が効果的だといえるでしょう。
マーケティングオートメーション(MA)が解決できる課題
マーケティングオートメーションが解決できる課題には以下のようなものがあります。
- 業務効率の向上
- コストの再確認と最適化
- 生産性の向上
マーケティングオートメーションでは、非効率とされる業務や広告の効果などを見直し、人に頼っていた部分を自動化することが可能です。そのうえで、下記の具体的な事例についてふれていきましょう。
「知らぬ間にコンペ負け」状態になってしまう
マーケティングオートメーションを使用せず、顧客から連絡が入った段階では、ほとんどの場合、既に比較検討に入っているパターンが多いといえます。
そのため、顧客の検討タイミングに入ることができなければ、商品の購買につながることはないといえるでしょう。
例えば、顧客のニーズを捕まえられなかった場合には、以下のようなパターンが考えられます。
- 相談が来たものの、他社の方が優先順位が高い
- 商品の性能や使い勝手として勝っているのに他社で決まってしまった
- 顧客のニーズが顕在化しても対応できず、商談を逃す
マーケティングオートメーションを活用した場合、顧客からはっきりとした連絡がなかったとしても、その行動を可視化することができます。
Webサイトの訪問や資料のダウンロードなどの行動がわかるようになるため、商品やサービスが比較されている段階で営業によるアプローチでフォローできるようになるでしょう。
見込み顧客との接触履歴が追えない
1回の展示会出展で1,000枚以上の名刺を獲得できたとしても、その中で直近の導入検討に進むのはほんの一握りです。また、展示会以外で集まったリストなども有効に活用するためには、営業担当か頑張るだけではフォローアップできません。
また、展示会などで名刺交換した人が自社開催セミナーに参加したとしても、見込み顧客リストが点在している状況ではそれを検知することができません。場合によっては、適切なフォローができずナーチャリングさえも不可能となる可能性もあります。
マーケティングオートメーションで見込み顧客を一元管理できていれば、「誰と、どこで、何回接触したか」をダブりなく管理でき、見込み顧客の接触履歴を適切に管理することが可能です。
マーケティング担当者の生産性が上がらない
マーケティング担当者のスキルだけでは、Webサイトの来訪ページやこれまでの接触履歴に合わせて文面をカスタマイズしたメールマーケティングに取り組むことは不可能だといえるでしょう。
メールマーケティング一つをとっても、一斉送信だけでなく、シナリオをふまえたステップメールなど多数の種類があり、その全てをマーケティング担当者のみで検討する時間はありません。加えて、マーケティング担当者の業務の根幹は、マーケティングによる売上の確保や支援であるため、メールマーケティングだけに時間を割くことも現実的ではないといえます。
加えて、データを毎回手作業で集計してリストを作っていては非常に大きな工数が発生し続け、マーケティング担当者の生産性は上がりません。
しかし、見込み顧客リスト管理、メール配信機能、Webサイトの来訪解析が一体になっているマーケティングオートメーションツールを利用すれば、特定の条件に合わせたメール配信リストの作成を自動で行うことが可能です。
マーケティングオートメーションの有効活用によって、マーケティング担当者の大きな工数削減につながり、より多くの施策に取り組むことができるようになるでしょう。
闇雲な営業アプローチで、有効な商談が生まれにくい
新規開拓を行う営業担当者にとって、有効な商談を生み出すアポイント率の向上は非常に重要です。しかし闇雲なアプローチを続けていても、アポイント率の劇的な向上は難しいでしょう。
闇雲なアプローチでは下記のようなデメリットが発生することもあります。
- タイミングの悪い営業による商談の消失
- ニーズを上手く掴めず、他社のサービスに決まってしまう
- 最悪の場合これまでの付き合いが無くなる
マーケティングオートメーションでは、「今、サービスを検討している見込み顧客」の検討段階の予想がつくため、闇雲な営業は不要となります。そして、購入確度の高い見込み顧客リストにアプローチすることで、アポイント率を大きく向上させることができるでしょう。
BtoB営業を効率化した成功事例をご紹介!
save_alt導入事例集~営業編~
をダウンロードするplay_arrow
マーケティングオートメーション(MA)の機能
先述したようにマーケティングオートメーションを導入することでできることや解決できる課題は多岐にわたります。そのうえで、マーケティングオートメーションツールに搭載されている基本的な機能について触れていきましょう。
マーケティングオートメーションが自動化できる作業は、以下の3つに分けられます。
- 見込み顧客情報の一元管理
- メールによる見込み顧客との継続的なコミュニケーション
- 今、サービスを検討している顧客の抽出
そこで、この3つの業務ごとに、マーケティングオートメーションの機能をご紹介します。
見込み顧客情報の一元管理に関する機能
見込み顧客と継続的にコミュニケーションを取るために、社内のリード情報をひとまとめにすることが重要です。
例えば、一元管理するリストとして以下の項目が考えられます。
- セミナーで集めた名刺
- Webサイトで資料請求を行った個人名や企業名
- 直接訪問した際にもらった名刺
- 取引が過去にあった個人や企業名
- 継続して付き合いのある個人や企業名
見込み顧客の情報がまとめて管理されていない場合、複数の条件を満たす顧客などに対して再度アプローチを行ってしまい、トラブルとなることもあります。
加えて、連絡が滞ったことによって商談を消失することも少なくありません。
そのため、マーケティングオートメーションによって一元管理することで、リードに対して的確なアプローチや営業が可能となります。マーケティングオートメーションには、そういった機能が多数搭載されています。
リード一括インポート機能
エクセルや各種システムに蓄積されている見込み顧客情報を、まとめてツールに取り込むことができる機能です。
通常はCSVなどのデータにまとめたものをツールにインポートするものです。しかし、MAツールの中には各種システムと連携しているものもあります。そのため、わざわざ見込み顧客データのエクスポート→インポートという工程を経ずに簡単な操作でデータを取り込むことができます。
マーケティングオートメーションツール「List Finder」では、名刺管理ツール「Sansan」との連携が可能です。Sansanに登録されている名刺データを、登録されている「タグ」を選択するだけで取り込むことができます。
フォーム作成機能
MAツールの中にはWebフォームの作成機能がついているものもあります。フォームを実装した場合、新たに獲得したリードは自動的にツールに登録されるため、リードの登録漏れを防ぐことが可能です。
フォームから自動登録されたリードには自動的にタグなどの識別情報が付与されるため、「どのフォームから申込されたか」をひと目で可視化することができます。
リードの整理機能
前提として、見込み顧客の興味度合いを適切に把握するためには、整理することからスタートしましょう。
例えば、下記のような項目に合わせて、リードを整理することが重要です。
- 過去のイベントにおける接触履歴
- Webサイトの来訪履歴
- アプローチ結果
正確な分析を行うためには、正確な情報を蓄積する必要があります。
大原則としてMAツールの中に同一のリードは1件しかないようにしておくことが非常に重要です。そのため、ほとんどのMAツールでは、インポート時にメールアドレスで重複確認を行う機能が搭載されています。
マーケティングオートメーションはでは、重複を削除した見込み顧客リストに対して、上記の項目に合わせた整理を簡単に行えるように設計されています。
例えば、見込み度合いをステータスとして設定したり、接触履歴をタグ付けすることが可能です。また、各リードごとに属性を付与することもできます。
- 見込み顧客が所属している企業の業種や従業員規模
- 所在地などの企業属性
- 見込み顧客の職種と職位
PRやコンテンツを展開するためのターゲット選定に必要な情報を残すことがもできるため、MAツールの活躍の場は多いといえるでしょう。
見込み顧客との継続コミュニケーションに関する機能
見込み顧客とコミュニケーションをとる方法は、BtoB企業ではメールやWebが中心となるでしょう。そのため、マーケティングオートメーションにはメール配信に関わる多くの機能が備わっています。
セグメントメール配信機能
MAツールに登録されたメールアドレス全員に同じメールを一斉配信するだけでなく、特定の条件に合致する対象を抜き出して、セグメントメールを送ることもできます。
例えば、「昨年の展示会で獲得した名刺のうち、決裁権がある人」向けに、「期が変わりましたが今季の施策のご予定はいかがですか?」など、対象に沿うようなメールを個別に送ることで、より相手の興味を引きやすくなるでしょう。
特定メールの開封者やURLのクリック者などを抽出して、メールの配信対象にすることもできるため、キャンペーンや参加予定セミナーのリマインドメールを送る、などの使い方も可能です。
中には、下記のようなセグメント機能を備えているMAツールもあるため、自社にあわせたツールを選定しましょう。
- 1回のメール配信から開封/未開封
- メールからのサイト流入
- 特定ページ閲覧などの条件分岐にあわせて、自動的にメールを送付する「シナリオ機能」
- 数回分のメールを、開封や経過日数によって段階的に送付できる「ステップメール機能」
HTMLメール作成機能
メールの形式にはテキストメールとHTMLメールの2種類があり、メールの開封計測をするためにはHTML形式でメールを送る必要があります。しかし、HTMLメールをゼロから作るには、専門的な知識が必要であるため、ハードルが高いと感じるマーケティング担当者もすくなくありません。
マーケティングオートメーションには、HTMLメールエディタが搭載されているものが多くあります。高度な知識がなくても、ドラック&ドロップと直感的な文字入力だけで、高品質なHTMLメールを簡単に作ることが可能です。
オプトアウト(配信拒否)管理機能
見込み顧客とメールによるコミュニケーションを取るにあたり、注意が必要な点があります。それは、特定電子メール法で規定されているオプトアウト(配信拒否)の管理です。(後に詳しく説明しています。)
見込み顧客への一斉メール配信をする際、受け取り手がメールの配信を拒否できるように導線を設け、配信拒否をした相手に対してはそれを無視してメール配信を行うことのないようにという法律が「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)」によって義務付けられており、その規程を守らなければなりません。
また、意図的に無視しているつもりではなくても、対応が漏れたりヒューマンエラーで誤送信をしてしまうなどのミスは、自社の信頼にも関わるので防ぎたいものです。
そこでMAツールには、受け取り手からの配信拒否があった場合には、自動的に配信対象から外れる機能がついています。この機能を使ってオプトアウトの管理をおこなうと良いでしょう。
個人トラッキング(追跡・分析)機能
より効果のあるコミュニケーションのためには、メールの反応だけではなく、メールからWebサイトに流入してきた後のページ遷移履歴も非常に重要です。そのような見込み顧客の行動履歴を把握できる機能が、トラッキング機能です。
例えば、見込み顧客一人ひとりに対して、分析する際にも以下の項目などが想定できます。
- 自社サービスに興味があるのか
- あるならサービスのどこに興味があるのか
- そもそもサービスや商品のページにどのくらい滞在しているのか
以上の項目を把握できれば、より見込み顧客の興味内容に沿ったアプローチをしやすくなります。
トラッキング機能は、「いつ」「どのページを」「どれくらい」閲覧しているかのアクセス履歴と、「誰が」を紐づける機能です。この紐づけができれば、「今、自社サービスに興味がある顧客」をピックアップして、営業担当者にスムーズに引き継ぐことが可能です。
マーケティングオートメーションの機能の中でも、最も重要な機能の一つであるといえるでしょう。
Webコンテンツ作成機能
Webコンテンツは、企業によっては気軽につくることは難しいといえます。例えば、Webサイトの更新をし続けるためのリソースが無かったり、何らかの事情で自由にWebサイトの改修を行えないなど、MAツールを使う上で障壁がある場合がある場合も少なくありません。
しかし、MAツールにはそういった場合にも対応できる機能が備わっていることがあります。
その一つがWebコンテンツ作成機能です。特別な知識がなくても、ツール上で簡単にページを作ることができます。例えば、毎月定期的に行われるセミナーの案内ページをツールで作ることがも可能です。
また、普段使用しているPDFの資料をマーケティングオートメーションで活用することができる機能もあります。PDFをWebコンテンツ化した場合でも、「だれが」「どのページを」「どれくらい」見ているか分析をできるため、高度なWebの知識がない現場社員でも、独自にMAツールを活用することが可能でしょう。
弊社が提供しているマーケティングオートメーションツール「List Finder」には、PDF資料をWebコンテンツ化し、通常のWebページと同様に個人ごとの来訪履歴を可視化できる「PDF閲覧解析機能」があります。
例えば新製品やアップデートのお知らせをWebコンテンツ化し、その資料閲覧者をピックアップしてアプローチリストにする、というような施策を簡単に行うことが可能になります。
“今、サービスを検討している”顧客の抽出に関する機能
見込み顧客の絞り込み検索機能
MAツールには、以下のような項目による絞り込み機能があります。
- 見込み顧客ごとのWebサイト上での行動履歴
- お問い合わせの直前までWebサイトにアクセスていた
- サービスの価格や事例などの滞在時間が長い
これは、今、自社サービスを検討している見込み顧客を抽出したり、営業のアプローチ担当に通知したりする機能の1つです。
BtoB企業の場合、最終的な購買のシーンにはやはり営業担当によるアプローチのほうが効果的である場合が多いのも事実です。しかし、とくに見込み度合いのわからない見込み顧客に対して、ただやみくもにアプローチするのは非効率というだけでなく、トラブルの原因となるでしょう。
しかし、MAツールにおいては、見込み顧客の興味・関心に合わせたアプローチが可能であり、タイミングを見逃すこともないといえます。
加えて、MAツールによっては、事前に設定が必要であるものの、スコアリング機能によって、それぞれの行動に対して点数をつけることも可能です。この点数は、アプローチの基準やナーチャリングの基準になることもあるため、重要な指標だといえるでしょう。
来訪した企業の解析機能
具体的な個人情報を持っていない人でも、自社のWebサイトにアクセスしてきた方は見込み顧客の候補となり得ます。
例えばBtoB企業であれば、自社サイトに来訪した企業名がわかれば、代表電話への電話アプローチやFAX、DMの配信先に追加することができます。
これらの企業は、少なくとも企業内の誰かは自社のサービスに興味があると考えられるため、リードナーチャリングが必要となるものの、全く白紙のリストに上からコールドコールをしていくよりも効率はよいといえるでしょう。
マーケティングオートメーション(MA)の導入効果・メリット
日本での導入が始まってからまだ日が浅いために、マーケティングオートメーション導入の効果、メリットについて、明確に理解されていない方も多いと思われます。マーケティングオートメーションの導入では、メール配信ツールや顧客管理ツールとは異なる効果が得られます。
メリット1:獲得した見込み顧客を「資産」にできる
一度獲得した見込み顧客情報を、全てマーケティングオートメーションツール上に保管し、中長期でコミュニケーションを取ることで、その見込み顧客情報が「資産」になります。
営業に求められる事は売上や受注数等の明確な成果であることが多いため、見込みがわからない顧客への継続的なアプローチは後回しになり、営業個人で保管し、眠らせたままの顧客情報が多く存在していました。
しかし見込み顧客における購買可能性は都度変化しているので、最適なタイミングで営業がフォローする仕組みができれば、見込み顧客情報は大きな資産になります。
マーケティングオートメーションツールの導入により、組織化・仕組み化がされ、中長期で売上を向上するための土台が作られるのです。
メリット2:今まで受注できなかった案件・商談を獲得できる
今まで営業が見逃していた見込み顧客を、商談につなげることができるようになります。
マーケティングオートメーションでのWebやメールを通じたコミュニケーションにより、見込み顧客の状況を見える化し、これまではわからなかった見込み度合いの高まっている顧客が判明させられるようになります。
バラバラになりがちな見込み顧客情報を統合し、継続的にコミュニケーションを取りつつ、有望な見込み顧客を営業に効率的に引き渡す仕組みづくりが可能になるのです。
メリット3:営業の活動が効率的になる
営業一人あたりの生産性の向上が可能です。
これまで営業は、お客様との関係性を築くことにたくさんの時間を投資してきました。しかし、顧客の情報収集の手段はインターネットに大きく変わりつつあります。まだ商談可能性の薄い見込み顧客とのコミュニケーションは、マーケティングオートメーションでのインターネットやメールで行い、営業は商談の可能性が高まった見込み顧客に対応していく事ができるようになります。
そうすることで、営業活動を効率化しつつ、顧客開拓活動を行っていくことが可能になるのです。
メリット4:マーケティング活動が楽になる
複数のツールを別々に使いこなし、マーケティング活動を今まで活発に行なってきた企業は、マーケティング活動が楽になります。
別々に管理していたものが一つのプラットフォームになり、見込み顧客毎に各データが紐づくので、効率的なマーケティング活動を簡単に行えるようになります。複数のツールを使い分ける状態から開放され、データも統合されるという大きなメリットを得られます。
ただ、アメリカではこのメリットにより、マーケティングオートメーションが大きく普及しましたが、日本では元々複数のツールを使いこなしながらマーケティング活動を行っている企業は多くないかもしれませんし、これからマーケティング活動を始めていこうという企業も多いので、「楽になる」という企業は少ないかもしれません。
このように、マーケティングオートメーションの導入で得られるメリットは多くあります。ただ、初めてマーケティング活動に挑戦する企業にとっては、このようなメリットを得られるまでに、なかなかの投資と時間が必要なのも事実です。
しかし、すぐに成果を生む活動には見えにくい、見込み顧客毎に最適なコミュニケーションを行うことは、購買する側の立場を想定してみると、その重要性や価値がわかるのではないでしょうか。
マーケティングオートメーション(MA)とSFA/CRMの関係
マーケティングオートメーションについて情報収集をしていると、あわせてSFAやCRMという言葉を耳にする機会が増えてくるでしょう。
MA・SFA・CRMはそれぞれ異なる特徴を持っており、各ツールには下記の通り、得意とするマーケティングや営業の段階があります。
- MA:リード(見込み顧客)の育成、選別のプロセス
- SFA:商談開始から購買・成約までのプロセス
- CRM:既存顧客との関係維持・向上のプロセス
それぞれのツールが持つ役割をしっかりと理解し、適切に使い分ける事によって、社内の顧客資産を最大限に活用できるようになります。ここでは、各ツールの特徴と活用方法について、簡単に解説します。
MAのできること、特徴、役割
「MA」はMarketing Automation(マーケティングオートメーション)の略であり、一言で言えばマーケティング活動を自動化します。
以下のような情報をもとに、見込み顧客へのマーケティング活動を自動化します。
- 見込み顧客の属性・要望など
- メール配信履歴
- Webサイト、コンテンツの閲覧状況
- セミナー・イベントなどでの接触履歴
Webを活用し、ユーザーにとって有益な情報を提供することでリード(見込み顧客)の獲得につなげていくインバウンドマーケティングに取り組む企業は増えています。
商談に繋がる見込み顧客を獲得するためには、見込みのあるリード(見込み顧客)に対して、求められる情報を、最適な手段で提供する必要がありますが、こういった継続的なコミュニケーションの自動化に貢献するのがMAツールなのです。
MAツールを活用することで、リード(見込み顧客)の属性情報や、Webサイトへのアクセス頻度、閲覧ページの履歴などを基にして、それぞれのリード(見込み顧客)の見込み度合いが判別できます。
そして、見込み度合いに合わせて、それぞれのリード(見込み顧客)に合わせた最適なアプローチ方法を判断することができます。
MAツールにシナリオを設計しておけば、手動でのアプローチも不要となり、自動的に最適なアプローチが実施され、リード(見込み顧客)の確度を上げるための活動ができるのです。
このように、リード(見込み顧客)の分析と、分析結果を元にした継続的なコミュニケーションを通じて、見込み顧客を「選別する」「育てる」プロセスを自動化できるのが特徴です。
商談の数を増やしていきたいが、対象となる見込み顧客が少ないというマーケティング段階の悩みを持っているのであれば、MAツールの導入が効果的です。
より多くの見込み顧客を獲得するためのマーケティング活動には、顧客一人一人に合わせたきめ細かなアプローチができれば理想的です。
しかし、様々な検討段階にあるリード(見込み顧客)が求める情報はそれぞれ異なり、アプローチ方法もWebコンテンツやメール配信など、多岐に渡ります。
マーケティング担当者の時間は限られているため、MAツールによって、継続的、効率的に見込み顧客の育成を進めていくことができれば、これまで見逃していた見込み顧客を取り込み、商談につなげることができるようになります。
SFAのできること、特徴、役割
SFAはSales Force Automation(セールスフォースオートメーション)の略で、営業担当を支援するためのツールです。
以下のような情報で、営業活動をデータベース化します。
- 見込み顧客の属性情報
- これまでにどのような営業活動をしたか
- その際の反応はどうだったのか
- どのようなアクションを想定しているのか
企業全体での営業活動の効率化、成果の向上に役立つのがSFAの特徴です。
商談からの成約率を上げたい場合や、商談の状況を営業担当者間で共有したい場合は、SFAツールが活躍します。
各商談の詳細をSFAツールで管理することで、営業チーム全体の動きが可視化され、より効率的、効果的な営業活動が可能になります。またSFAツールの活用により、スケジュールの管理や引き継ぎなども容易に行うことができます。
CRMできること、特徴、役割
CRMはCustomer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネジメント)の略で、顧客との良好な関係を構築するためのツールです。
以下の情報で顧客を分析します。
- 顧客ごとの商品の購入履歴
- 意見や苦情要望
- アプローチ履歴
顧客との関係の維持や顧客満足度の向上から、顧客の囲い込み、ファン化に繋がり、ひいては一人あたりの購買額の最大化や、長期的な収益の向上が期待できます。
一度顧客になっても、すぐに解約などで離れてしまう顧客が多い、リピーターを増やしたい、顧客との継続的な関係構築で収益の増加が見込めるなどの場合は、CRMツールが有効と言えるでしょう。
顧客情報を細分化して、セグメントに合わせた適切なマーケティング活動を行い、顧客との関係性を高めて利益を最大化します。また、顧客別の購入履歴を管理したり、商品購入後のフォローをしたりするためにも利用します。
各ツールの効果的な使い方
MA・SFA・CRMはそれぞれ異なる特徴を持っており、それぞれ得意とするプロセスが異なります。そのため、それぞれのツールの特徴や効果を導入する前に検討しておきましょう。
- MA:有望リードの育成、選別のプロセス
- SFA:商談開始から購買・成約までのプロセス
- CRM:既存顧客との関係維持・向上のプロセス
このように、MA・SFA・CRMの各ツールは、それぞれ孤立しているのではなく、マーケティングや営業活動の一連の流れの中で、各段階での取り組みをサポートしているといえます。そして、課題のクリアに最も貢献できるツールを選択することが自社の利益の最大化につながるといえるでしょう。
マーケティングに特化した機能が必要であればMAツールを選択するなど、自社の課題を明確に把握しておくことが大切です。
マーケティングオートメーション(MA)の導入事例
マーケティングオートメーションを実際に導入すると、どのような成果がでるのか2つの事例をみていきます。ここでは弊社のMAツール「List Finder」の導入事例について詳しく解説するので、MAツールの効果の参考にしてください。
ニーズを把握した営業で売上3倍!
これまで新規顧客開拓を経営トップ層による紹介に頼ってきたJBMコンサルタントは、新規顧客からの売上アップが大きな課題でした。
人材育成サービスの特性上、初回訪問でいきなり受注に至ることは少なく、かなり期間をおいてから相談を受けることの多い点から、商談に対するニーズの確認も難しい状況でした。
しかし、List Finderを導入することで、改めて見込み顧客がサービスを検討しているタイミングをつかむことができるようになりました。そのため、「ホットな状態」の営業先と商談数が急増した結果、最終的な売上はList Finder導入前の3倍という結果になっています。
自社に近い企業での事例があると安心
初めてツールを導入する場合、他社の事例を参考にしてみるのも有効な方法です。とくに似た事業内容がある企業を参考にすると、自社に応用しやすいといえるでしょう。
各社の属性や抱えている課題、ツール選定のポイントなどがまとまっているため、自分たちのツール選びにも参考にできるはずです。
List Finderは、BtoB特化で10年間ご提供し続け、これまで1,800アカウント以上の企業様にご導入いただいてきました。導入実績をおまとめしていますので、ぜひ参考にしてみてください。
導入企業様の成功事例をご紹介!
save_alt導入事例
をダウンロードするplay_arrow
マーケティングオートメーション(MA)を導入するデメリットとは?
先述したようにマーケティングオートメーションを導入することで、マーケティング活動の効率化、成果向上が期待できます。しかし、注意しなければならないデメリットもあります。例えば、下記の項目は各社で対応が必要です。
- 運営体制の構築
- リソースの確保(マーケティング部門だけでなく社内全体)
- 具体的な戦略はツールを頼りにできない
マーケティングオートメーションには様々な価格帯のものがあり、機能もシンプルなものから複雑なものまで多くの種類が存在します。
高度な機能を備えたツールは確かに魅力的であるものの、そのツールを使いこなすには高い知識を持った専任のマーケターが必要な場合もあります。加えて、運用開始できるまでに長い準備期間が必要なことも少なくありません。
自社でそのリソースを用意できない場合は、新たに人員を採用したり、外部からコンサルティングに入ってもらうなどのコストも考慮しなければならない点にも注意が必要です。
高機能なツールは高価というだけでなく、高度な知識や多くの運用リソースが必要となります。また反対に、安価なツールだと思って導入しても、自社の課題が明確でなければ上手く運用できません。そして、サポートが不十分で使いこなせない可能性もあるでしょう。
そのため、自社にとって適切なMAツールを導入しなければ、結果的に莫大なコストが無駄になってしまう恐れもある点に注意が必要だといえます。
マーケティングオートメーション導入~運用の流れ
マーケティングオートメーションを導入するには、課題の確認から関係各所との業務調整など、多くの段階を経て進めていくことになります。そのため、検討開始から導入まで、数か月あるいは1年以上かかることもあるでしょう。基本的な流れを簡単にまとめました。
ステップ1:課題の洗い出し
現状にどのような課題があって、それを解決できるする効果を得られる製品は何かを検討する必要があります。この段階で、導入するのは名刺管理、CRM、SFA、メール配信ツールなど別のツールとなり、マーケティングオートメーションは結果的に不要になることもあります。
ステップ2:導入ツールの選定
マーケティングオートメーションツールを導入することが決まったら、次は導入するツールの選定に移ります。各ツールを比較し、自社に必要な機能を有しているものを探します。
この際、機能の有無だけでなく、その機能で自分たちのやりたいことができるのかが重要です。いくら機能を備えていても、活用しなければ意味がありません。自社で実現したいことを叶えるのに充分な機能であるかどうかも見極めなければなりません。
更に、ツールの価格も非常に大きなポイントです。一般的にマーケティングオートメーションツールはクラウド型の月額課金モデルで提供されているものが多く、長く使えば使うだけコストがかかります。そのため、何でもできそうだからと言って、多機能・高価格な製品を導入してしまうと、必要以上にコストがかさんでしまいます。
不要な機能に対して費用を支払い続けるのは、無駄なコストになってしまうため、注意が必要です。
ステップ3:各種設計とフローの構築
導入が完了したら、マーケティングオートメーションをどのように活用していくのか具体的に設計していく必要があります。具体的には、ペルソナの設計、カスタマージャーニーマップの策定、提供するコンテンツ・クリエイティブの策定といった、マーケティングシナリオを作成していくことになります。
シナリオの設計については、こちらの記事に詳しくまとめてありますので、興味のある方はぜひ御覧ください。
ステップ4:他部署との連携
マーケティングオートメーションは、マーケティング部門のみで運用しても大きな効果は得られません。特に営業部門とは密接な連携が必要です。お互いに何をどこまで実施するのか役割分担を明確にした上で、円滑に情報共有しながら、効果検証を続けていくことが重要なのです。
シナリオの策定やスコアリングなどによって提供されたリードが実際の商談や案件の創出につながっているのか、日々確認しながら進めていくとよいでしょう。
マーケティングオートメーション(MA)の導入でよくある失敗
ここでは、マーケティングオートメーションの導入に際して、よくある失敗例をみていきましょう。
失敗1:設計をおろそかにすると効果が得られない
マーケティングオートメーションを導入する際は、マーケティングオートメーションをマーケティング活動にどのように活用するのかを明確にし、効果的に運用できるようさまざまな設計を行うことが必要です。
設計の作業をおろそかにするとマーケティングオートメーションの十分な効果は得られません。したがって、自社の導入環境に適した設計を行うことが最初の課題となります。
設計の際に決めなければならない項目は、下記の通り多岐にわたります。
- ・ゴールの設定
- 「見込み顧客を倍にする」「商談数を15%アップ」など、目標達成度を客観的に判断可能な具体的数値目標を設定
- ・ターゲット設計
- 見込み顧客となるターゲットを絞る
- ・スコアリング設計
- 見込み顧客の属性、アクションに対して、付与するスコア(点数)を設定する
- ・ホットリード定義の設計
- 見込み顧客が有望な見込み顧客(ホットリード)へ変化する定義を決める
- ・営業アクションの設計
- ホットリード化した顧客にアプローチして反応があった場合のアクションを検討
また、失敗しない運用を目指す上で特に重要なことは、「初期設計」で終わらせず、導入後しばらくの期間は、設計に誤りがないか検証・改善を行うことです。
具体的なゴールの設計がクリアできそうな見込みがあるか?実際の営業現場との所感と、設計に齟齬はないか?など、関係者を巻き込みPDCAサイクルを回せるよう定期的に検証の時間を取るようにしましょう。
失敗2:機能が複雑・難解で使いこなせない
マーケティングオートメーション導入における失敗例としてよくあるのが、「難しすぎて使いこなせない」というものです。とくに、導入後に高機能なツールを使いこなせず、メールの一斉送信しかできていないという失敗事例も少なくありません。
マーケティングオートメーションツールは、アメリカで開発されたものが日本で提供され始めたという歴史があります。そのため、名前を聞いたことがあるツールの多くは、日本よりも5年以上進んでいると言われるアメリカで、マーケティング専任のプロフェッショナルが活用している高機能のツールです。
そのため、初めて使う高機能なマーケティングツールは、運用側のスキルも高めていく必要があります。特に最初の立ち上げの際は、外部のコンサルティング会社を入れるなどして、担当者のマーケティング知識レベルやスキルを上げることを意識しましょう。
失敗3:十分な人的リソースがない
マーケティングオートメーションを使いこなすためには、相応の人的リソースを準備する必要があります。これは、高機能なものだけに限らず、シンプルなものであってもリソースを確保しなければ、十分な効果は望めないことを意味します。
例えば、人的リソースが足りないまま、MAツールを導入したとしましょう。その場合、課題の明確化ができない、購入確度に対するスコアリングの数値が決まっていない、メールによるマーケティング施策の準備不足などのデメリットが発生する可能性が高くなります。
一般的には、マーケティングオートメーションの実践には、下記の要素が必要です。
自社顧客のペルソナ・カスタマージャーニーマップを策定
↓
見込み顧客をナーチャリングするためのシナリオを作成して実行
↓
適宜スコアリング設定を見直しながら
↓
購入確度の高いリードの抽出を最大化する
これらの業務を行うために、マーケティングオートメーションツールの運用には専任の担当者を配属することも少なくありません。
しかし、中小企業などにおいては、マーケティング専門の部署や担当者が存在しないことも多いと想定できます。またリソースがなければ、最終的に創出した見込み顧客に対してのアプローチがないがしろになるという問題もあります。
営業部門は基本的に、受注に近いと判断している見込み顧客に対してアプローチを行います。そのため、マーケターから渡された見込み度合いのわからないリードでは、どうしてもアプローチが後回し担ってしまいがちです。
この場合、購入確度がわかるようにスコアリングや顧客属性による分類分けなどの設定が必要です。
加えて、法人営業の場合、アプローチタイミングも重要な購買決定要因になります。後回しになってしまったリードは時間が経つにつれて見込み度が低くなったり、競合他社への発注を決めてしまったりするなど、受注確度は下がるといえるでしょう。
そのため、MAツールを導入する場合、「購入確度を数字で表したい」などの課題を明確化したうえで十分なリソースが確保できるかといった点に注意が必要です。
マーケティングオートメーション(MA)導入で失敗しないために
マーケティングオートメーションの導入で、失敗をしないために重要なことは、「自社に最適なマーケティングオートメーションツールを導入すること」です。
ここでは、ツールの導入に失敗しないために、押さえておきたいポイントにいてみていきましょう。
ポイント1:自社のマーケティングについて振り返る
自社のマーケティング活動を振り返ることから始めましょう。マーケティング活動は、下記の段階に分けられます。
- 見込み顧客の獲得
- 見込み顧客との継続的なコミュニケーション
- 営業への見込み顧客引き渡し
それぞれのプロセスにおいて、現在どのような施策を行っているか、どんな成果が出ているのかを改めて把握しておくとよいでしょう。そうすることで、自社の改善すべきポイントや導入するツールに求める機能なども自然と見えてきます。
加えて、マーケティング部門だけでなく、営業部門からも意見を募り、どのようなマーケティング施策が必要か検討してみましょう。
ポイント2:自社で確保できるリソース、スキルを確認しておく
マーケティングオートメーションの運用において、どれくらいのリソースが確保できるのか、社内で確認しておくとよいでしょう。運用を担当する担当者のリソースやWebマーケティングの知識レベルも振り返っておくと、最適なツール選定に近づきます。
実際に導入する場合、社内の誰がどのくらいの工数をかけて使用するのかを想定してみて、確保できるリソースや実施するWebマーケティングのレベルに見合ったツールを選びましょう。
このタイミングで十分なリソースが確保できない場合や、初めてWebマーケティングに注力する場合は、シンプルな機能のツールや必要な機能だけを選択できるツールを選ぶことをお勧めします。
高機能なツールに限った話ではないものの、ツールの運用には慣れとリソースが必要です。そのため、シンプルなMAツールの運用からはじめ、対応できなければ切り替えるといった運用方法も検討してみましょう。
ポイント3:サポート体制は重要
サポート体制は、導入するツールの運営会社によって異なります。これまで本格的なマーケティングに取り組んでこなかった企業や、初めてマーケティングオートメーションを導入する企業の場合、サポート体制の確認が重要といえるでしょう。
例えば、マーケティングオートメーションで展開したい施策があってもツールの利用方法がわからない場合などは、つまずきやすいポイントです。つまずいてばかりでツールが使いこなせなければ、手間と時間ばかりを消費されることになるでしょう。
そのような場合には、サポート体制が重要となります。誰が、どんな方法で、どの範囲までサポートしてくれるのか事前に確認しておくとよいでしょう。サポートの方法や範囲は各企業によって異なり、FAQサイトが用意されているだけだったり、技術的な問い合わせ対応のみだったりすることもよくあります。
運用におけるコンサルティングは高額なオプション申込が必要だったり、外部のコンサルティング会社に依頼しなくてはならないケースもあること注意が必要です。
ツールの運用にかかるコストとして、見落としてしまいがちなポイントであるため、各ツール提供会社のサポート範囲は事前に確認しておくことをおすすめします。加えて、社内においてもマーケティングオートメーションのトラブル担当者を何人か決定しておくとスムーズな対応が可能です。
ツールを比較するポイントは?
今は国内でも多く提供されているマーケティングオートメーションツールですが、その中から自社に合ったツールを選ぶためには、各ツールをしっかり比較する必要があります。前提として、自社の状況や目標を明らかにしておく必要がありますが、それ以外の点で、ツールを比較するときに押さえておきたいポイントをご紹介します。
ポイント1:BtoB向けか、BtoC向けか
一口にマーケティングオートメーションといっても、BtoB企業とBtoC企業では重視すべき機能が異なります。
BtoB企業であれば、その商材が高価で、かつ導入までに多くの人が関係することから、初回接触からサービス導入までの期間が長くなる傾向にあります。そのため、メール配信や有望度合いによる絞り込みなど、見込み顧客の育成(リード(見込み顧客)ナーチャリング)機能に重きをおいたツールのほうが良いでしょう。
BtoC企業は、比較的低単価で、かつ導入までの期間が短い傾向にありますが、BtoB企業と比べて顧客との接点(チャネル)が多くなりやすいという特徴があります。そのため、メールや電話だけでなく、アプリやSNSなど様々なチャネルでの接触履歴を一元管理できる機能に重きをおいたツールが向いているといえます。
このように、ビジネスモデルによってマーケティングオートメーションツールの中でも重要な機能は異なります。検討しているツールがBtoB向けなのか、BtoC向けなのかは確認しておきましょう。
BtoB向けとBtoC向けのマーケティングオートメーション(MA)については、こちらにまとめています。
ポイント2:自社のリソースに合っているか
マーケティングオートメーションは導入しただけで成果が出るツールではありません。成果を出すためには運用し続けるためのリソースが必要となります。自社のリソースが、検討中のマーケティングオートメーションを使いこなせそうか、使えない場合は外部のリソースを確保する余裕はあるのか、という観点での比較も重要です。
高機能なマーケティングオートメーションツールを使いこなすには、ペルソナの設定、カスタマージャーニーの設計、それにあわせたコミュニケーション戦略の立案、そしてそれをマーケティングオートメーションの設定に落としていける技術など、非常に高度なスキルが必要です。
マーケティングオートメーションツールの中には、機能をシンプルに絞り込むことで低価格に抑えた、スモールスタートをしやすいものも多くありますので、そういったツールから比較するのも良いでしょう。ただし、安いだけではなく、自社に必要十分な機能を搭載している製品を選ぶことは忘れないようにしてください。
ポイント3:サポートが充実しているか
マーケティングオートメーションの導入後、使いこなせずに投資した工数や費用が無駄になったり、マーケティングに対してネガティブな印象を持ってしまうことは、もっとも避けたい事態です。それを避けるためには、「サポートが充実していて、何かあれば相談できる体制がある」ことが重要なポイントになります。
また、サポートが有料か無料かも、事前に確認しておくと良いでしょう。「ツールの費用だけを見て導入したが、満足に使いこなすには高価なコンサルティングを受けなければならなかった」という場合、ツール導入によってより多くの費用がかかることになってしまいます。
ポイント4:自社同様の業種・規模の企業が導入しているか
自社同様の事業内容や規模の企業が導入しているかどうかは、ツール選定の良い指標になります。見込み顧客の管理やマーケティング、営業にたいして、同じような課題や戦略を持っていることも多いと思われるためです。
どんな企業が導入しているマーケティングオートメーションツールなのか、選定の際のポイントとして参考に確認しましょう。
ここまでの通りツールの選定には、自社の課題や人的リソースに合致しているかがとても重要になります。マーケティングオートメーションを導入したのに、結局メール配信ツールになってしまっている、というお声もよく聞きます。このようなことの無いよう、導入前には十分な選定を行いましょう。
ポイントは「自社にとって本当に必要な機能は何か」
マーケティングオートメーションの導入で失敗しないためには、「自社にとって本当に最適なツールを見つける」ということが重要です。集客一つに焦点をあててみても下記のような機能のうち、必要な機能は各社によって異なります。
- ページ生成などの集客機能があるか
- メール配信で、どのような形式でどこまで顧客の動向を把握できるか
- コンテンツや広告配信などの施策の効果を十分に把握できるか
マーケティングオートメーションは、その機能の多さに迷ってしまいがちであるものの、重要なのは、社内における課題をクリアできるのものを選定することです。自社が何に力をいれているのか、新しい施策を実行できるのかなども検討しましょう。
シナリオ設計、スコアリング機能が有効な場合は?
マーケティングオートメーションの代表的な機能の、「シナリオ設計、スコアリング機能」について考えてみましょう。これらの機能を本当に有効活用できるのは、数万単位の大規模な見込み顧客リストを持っている場合です。
例えば、下の図を見てみましょう。自社の見込み顧客リストが2,000名前後、Webサイト上での特定アクション1回につき1ポイント付与、3ポイントで優良見込み顧客とした場合のモデルケースです。
なお、各ステップでの想定割合は、弊社(及び弊社顧客)の実績を基に算出しています。
1回のメール配信からの開封率が40%、サイトに流入するのが30%とすると、流入者はおよそ240人となります。その内、各アクションをする割合がそれぞれ10%とすると、結果は0人です。
2,000人前後のリストでは、綿密なシナリオ設計・スコアリング設定をした結果、優良見込み顧客が何ヶ月も見つからないという状態になる可能性もあります。この場合、綿密なシナリオ設計よりもメールやコンテンツ配信などの集客に力を入れた方が効率的だといえるでしょう。
また、すでに取引のあるお客様や競合企業のほうが見込み顧客よりもWebサイトに訪れることが多くあるため、「スコアリングで高得点なのは、お客様や競合ばかり」というケースも少なくありません。この場合は、IPアドレスの解析などもふまえて、スコアリングの設定などで対処しましょう。
意識したい「費用対効果・工数対効果」
マーケティングオートメーションを使う上で意識したいのは、「費用対効果」「工数対効果」です。
この場合の効果とは、「受注につながる商談の創出数」となります。下記のような項目は、ツールの効果を示す指標として有効です。
- ツールの機能や価格
- 自社の見込み顧客数
- マーケティング担当者のリソース・スキル
そして、「自社の状況にとって最も費用対効果・工数対効果が高くなるツールはどれか」という観点でマーケティングオートメーションツールを検討してみましょう。
例えば、MAツールの費用や全体的なコストに対して、目的である商談の成立数が伸びた場合には、伸びた要因を詳細に調査することで、MAツールの効果が明確に測れます。
また、コストに対して、商談数に変化がない場合も何が原因なのかをしっかりと把握しましょう。
マーケティングオートメーション6社を徹底比較した「2023年度最新版 マーケティングオートメーションツール比較表」つきの資料を無料プレゼントしています。
MAツール運用開始前に整備しておくべきコンプライアンス
課題やリソースを確認し、自社にとって最適なマーケティングオートメーションが見つかれば、いよいよ運用開始です。しかし、その前にコンプライアンスを把握しておく必要があります。
コンプライアンス(compliance)は、日本語では法令順守と訳されます。法令順守はそのままの意味で法令を守ること、最近では社会常識や倫理観や社内規定に従って行動することを含めて、コンプライアンスと呼ばれるようになりました。
加えて、コンプライアンス違反は犯罪として処罰されるだけでなく、企業イメージを著しく損ないます。マーケティングオートメーションツールに個人情報をインポートして利用する際は個人情報保護法、メールを一斉配信する際は特定電子メール法の規制を受けます。
そのため、MAツールの導入にあたっては、これら2つの法律に注意しなければなりません。この2つの法律について、簡単にポイントをまとめてご紹介します。
個人情報保護法
「個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)」とは、2005年4月1日に施行された、個人情報の適正な取り扱いなどについて定めた法律です。2017年5月30日には改正法が施行されており、全ての事業者が対象となります。
この法律では、個人情報を「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」と定義しています。他の情報と合わせて容易に特定の個人を識別できるものも個人情報に含まれており、取り扱いに注意が必要です。
例えば、下記のような情報は個人情報に該当します。
- 氏名、住所、生年月日、顔写真
- 指紋、DNA、免許証番号
- 住民票、保険証番号
また、MAツールに個人情報をインポートして利用している場合、その企業は事業活動などのために個人情報データベースを利用する「個人情報取扱事業者」に該当します。
個人情報保護法に抵触しないよう、以下の2点を対応するようにしましょう。
- 【1】個人情報利用目的の通知・公表
- 個人情報取得時には利用目的の通知または公表が義務付けられており、どちらもしていない場合は個人情報を利用できません。マーケティングや営業活動のために、メール配信などで情報提供する旨を個人情報取得時に通知したり、Webサイトのプライバシーポリシー上に利用目的を掲載したりするようにしましょう。
簡潔にいえば、個人情報は取得した場合、どのように使用するのか必ず公表する必要があります。特別な要件(差別の原因となる身分、人種など)まで使用する場合、本人の同意が必要です。
また、宣言した目的以外に使用する場合にも本人の許可が必要であるため、個人情報の取り扱いには注意が必要です。
- 【2】クッキーポリシーの掲載
- MAツールでは、自社Webサイトでの見込み顧客の行動履歴がわかります。MAツールのWeb行動解析機能は、「インポートした個人情報とWebサイト閲覧時に収集されるクッキーを関連付け、生存する特定の個人を識別する」ため、クッキーも個人情報に分類されます。
Web行動解析機能を利用する場合は、プライバシーポリシーに「サービス向上や商品の広告配信、宣伝などのためにクッキーを利用すること」「クッキーを取得し、収集した行動履歴と個人情報を関連付ける場合があること」の2点を記述することが必要です。
特定電子メール法
「特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)」とは、迷惑メールが社会問題化し、広告や宣伝目的のメール(特定電子メール)を規制するために生まれた法律です。2002年7月1日に施行され、2008年12月1日には、改正された法律が施行されています。
マーケティングオートメーションでメール配信を行う前に、以下の2点を押さえておきましょう。
- 【1】オプトインとオプトアウト
- 原則として特定電子メールの送信先は、事前に配信の許諾を得る(オプトインを取得する)ことができた相手に限られます。このことをオプトイン規制と呼びます。
つまり、広告や宣伝を主としたメール配信は、オプトインを取得できなければ、メール配信そのものが罰則の対象となり、コンプライアンス違反に該当するといえるでしょう。総務省によるガイドラインも提示されており、抵触する場合、通報される可能性もあります。
しかし、取引先企業の担当者、名刺などの書面でメールアドレスを取得した相手、メールアドレスをインターネットで公表している相手はオプトイン規制の対象外です。
- 【2】特定電子メールを配信する際の表示義務
- 特定電子メールを配信するときは、下記等の記載が義務付けられています。
- メール配信者の氏名または名称、住所
- メール等でオプトアウト(受信拒否)できる旨
- オプトアウトする際の方法、もしくは通知先メールアドレス
- 特定電子メールの配信についての苦情や問い合わせを受け付ける連絡先
- オプトアウトの通知ができる旨
なお、受信者がメールの配信解除(オプトアウト)を申し出た際は、即座に配信対象から外し、今後のメールは配信できません。仮にMAツールを使用し、オプトアウト後のメールアドレスに送信するようなことがあれば、罰則の対象となります。
「知らなかった」では済まされない
近年はコンプライアンス順守が声高に叫ばれており、企業には個人情報の適正な取り扱いが求められます。個人情報を取得する際には利用目的の通知や公表、メールの配信解除に対応していかなければなりません。
MAツールの導入時には、コンプライアンス対応も念頭においておきましょう。
マーケティングオートメーション(MA)の運用時にぶつかる課題と解決策
マーケティングオートメーションを運用し始めてみると、導入前には想定できなかった問題点が出てくることもあります。そのため、マーケティングオートメーションを実際に導入した方がよく抱える課題とその解決策についてみていきましょう。
メールのネタが尽きる
はじめのうちはストックしてあったコンテンツを送っていても、続けていく内に在庫がなくなることもあります。
そうすると、新しくコンテンツを作る必要がありますが、なかなか良いコンテンツを作成するのは難易度が高いでしょう。その場合に、新たなネタを作るための方法をいくつかご紹介します。
過去に反響のあったメルマガの内容を流用する
過去に反響のあったメルマガの内容を見直してみましょう。反響が大きかった要因を探し出して、同様のテーマで内容を変えるなど、流用が可能であれば使用します。
全く同一のものであれば問題ですがあるものの、過去反響のあったメルマガは、顧客の興味・関心を高める内容が含まれていると想定できます。そこから、内容を検討していきましょう。
スタッフ、業界のウラ話を載せる
メルマガであれば、自社サイトとは違い、少し砕けたネタを掲載するのも効果的です。
例えば展示会やセミナーといったイベントをコンテンツにする場合、シンプルに「○月○日××セミナー開催」と開催予告をメルマガでするだけでなく、過去に開催したセミナーの様子、ウラ話などを記載しても新鮮でしょう。メルマガを受け取った読み手が「セミナーの準備をがんばっている会社だな」「このセミナーは面白いかも」というワクワク感を抱いたら成功です。
BtoBビジネスは、顧客の信頼を勝ち取っていかに良好なパートナーシップを築き上げるかが重要です。また、新規の見込み顧客は製品やサービスだけでなく、企業そのものに興味があるものです。
だからこそ「真面目」「ユーモア」「息抜き」「誠実」「個性的」「失敗」などをキーワードにして、自社のさまざまな顔を紹介することが読み手との関係構築に有効だと考えられます。
顧客からよくある質問に回答する
顧客からよく質問されることや、よく問い合わせされる内容をピックアップしてメールで紹介するのも、一つの方法です。
例えば「利用していたら○○が起こった、この場合どうすればよいのですか?」など、いただいた質問に対する回答を配信してみましょう。製品・サービスの提供側では思いつかない、実際に商品・サービスを利用した顧客ならではのネタがたくさんあるはずです。また、専門的な内容であっても細かく対応している姿勢は、企業の評価につながります。
またこれらのコンテンツは、自社サイト内のQ&Aコンテンツとしても活用できるため、お客様の声からコンテンツを作成するという面に着目してみましょう。
現在のコンテンツから発想を広げる
今あるアイデアを項目ごとに分けて考えることによって、新たなアイデアが生まれる可能性があります。
アイデア抽出の方法として有名な「オズボーンのチェックリスト」をご紹介します。これは、すでにあるアイデアをより広げるためのチェックリストであり、9つの手法を使って、アイデアを広げることができます。強引な手法ではあるものの、今までは考えつかなかったアイデアがでることもあるでしょう。
メールからの着地ページが作れない
マーケティングオートメーションを活用する場合、メールのリンク先としてWebコンテンツを用意することが非常に重要です。
しかし、Webサイトの更新には専門的な知識が必要であり、自社ではWebサイトの更新ができず、外部にアウトソースしている場合も多いでしょう。その場合、メール配信に合わせて頻繁にコンテンツをアップすることは難しくなります。
マーケティングオートメーションツールの中には、Webコンテンツ作成機能がついており、ツール上でWebコンテンツを作成・公開できるため、その機能を駆使すれば、マーケティング担当者自身でメールの着地ページを用意することができます。
また、先程もご紹介しましたが、PDFをそのままWebコンテンツ化できるツールもあります。新商品・サービスのご案内や最新事例の公開など、営業現場で作成できるPDFをそのまま閲覧解析できるように加工できるため、よりシンプルな運用が実現できます。
マーケティングオートメーションの運用で押さえておきたいKPI
マーケティングオートメーションを運用していく中で、ただ闇雲に「ホットリードを○件創出する!」と決めても、なかなかそのとおりにはいかないものです。目標を達成するためには、その途中に適切なKPIを策定し、KPIごとに効果計測と改善を繰り返すことが重要です。
そこで、マーケティングオートメーションを運用していく中でも非常に重要な位置を占める「メールマーケティング」における、KPI設定や改善のコツをご紹介します。
メールマーケティオングの主なKPI
一般的にメールマーケティングで設定されるKPIには以下の5つの項目が挙げられます。
【1】CV(コンバージョン)数
目的が達成された数を指します。メールを配信する事で、申し込みや資料請求、購入など、見込み顧客に起こしてほしいアクションが、どれだけあったのかを測ります。メール配信ツールやアクセス解析ツールなどで測定が可能です。メール配信の最終的な成果指標となるでしょう。
【2】クリック数
配信したメール本文に含まれるURLがクリックされた回数です。自社製品の紹介サイトや、価格や導入事例を記載したWebページへ誘導するリンクを設定しておくことで、自社製品やサービスに対する見込み顧客の興味や関心を図ることができる重要な測定指標となります。コンバージョン数同様、メール配信ツールやアクセス解析ツールなどで測定が可能です。
【3】開封数
配信したメールが開封された数を示す数値が「開封数」です。この数値はHTMLメールのみでしか測定できませんが、メールの内容に関心があるのか、件名は興味喚起ができているのかを把握する上で有用な指標です。
【4】到達数
「到達数」とは配信したメールが配信先に届いた数を指します。過去に名刺交換をした顧客などにメールを一斉に配信する場合、迷惑フォルダに自動的に振り分けられたり、退職で存在しないアドレスになっていたりといった理由から、一部が不達になることがあります。
【5】配信数
メールを配信した総数が「配信数」に当たります。そもそも配信数が少ないと、相対的にお問い合わせなどの数は少なくなります。ですので、日頃から営業活動などでメールを送れるリード(見込み顧客)を多く獲得しておくことが重要です。
KPI改善のヒント
メール配信をした結果、想定のKPIを下回る場合もあるでしょう。その場合は、様々なポイントを調整しながら、改善を繰り返していくことが重要です。
KPIが達成できない、より改善をしたい場合に、ヒントとなる方法をご紹介します。
【1】件名を工夫する
KPIとして設定した「開封数」が良くない場合、件名が大きく影響している事が多くあります。せっかく興味深い内容のメールでも、開封してもわらなければ見てもらえません。
文字数の工夫や、本文を見たくなる文章にできるよう、工夫してみましょう。
【2】配信スケジュールを調整する
「開封数」が良くない他の原因として、設定した配信スケジュールが考えられます。受信者の読みやすい曜日や時間帯に配信できているほうが、開封数は伸びるはずです。配信する対象者の1週間、1日の流れを想像し、どんなタイミングなら受信者が読んでくれるかを考えて、配信スケジュールを調整してみましょう。
【3】配信リストを絞り込む
万人に向けた内容よりも、より自分が関心のある内容に絞られている方が、読んでみようと思いますよね。社内にある配信リストの全てに同じ内容のメールを送っているようであれば、条件を設定して、リストを絞り込んでみましょう。
絞り込んだリストに合わせて、メールの内容も変えていきます。「A製品を検討している」配信リストに、A製品の導入事例を紹介するメールを配信したり、「ホワイトペーパーをダウンロードした」配信リストに、同テーマのセミナーを案内してみたりと、配信対象者だから興味を引くような内容でメールを配信してみましょう。
マーケティングオートメーションにおけるシナリオ作成のコツ
マーケティングオートメーションを運用していく中で、必ずといってよいほど目にするキーワードが「シナリオ」でしょう。導入時のシナリオ設計が明確でなかったり、シナリオ設計を難しく考えすぎていたりしてしまうと、結果的にマーケティングオートメーションをうまく使いこなせず、投資コストが無駄になってしまうこともあります。
そこで、マーケティングオートメーションの運用で効果的なシナリオを作成するための、4つのポイントをご紹介します。
ポイント1:自社の見込み顧客を見極める(ペルソナ設計)
ペルソナとは、自社がターゲットとする「お客様像」を指します。自社の製品・サービスの価値が最も提供できるのはどういったお客様なのかを、想定しておく必要があります。
特にBtoBの場合は、「企業像」と「人物像」の両方を想定しましょう。企業のペルソナでは、業種や規模と併せて、自社製品に関わる課題の状況や、製品が導入される際の状況を想定します。「どんな企業が」「どんな状況の時に」自社製品を検討してくれるのかを想定しましょう。
「人物像」にあたる、企業担当者のペルソナでは、「どんな部署の」「どんな立場・職種の人が」「どんな課題がある時に」自社製品を検討するのか想定します。
ペルソナを設定する際は、既に取引をしている既存のお客様の情報を参考にしたり、一般に公開されている調査データ、アクセス解析データ等が参考になります。ユーザー調査をして情報を集めても良いでしょう。
「BtoB向け ペルソナ設計サポートブック」
ポイント2:見込み顧客の購買プロセスを考える(カスタマージャーニー策定)
次に、設計したペルソナがどんな風に商品購入に至るのかを考えます。
BtoBの場合、まず何かしらの課題があり、その解決に向けての情報収集から、製品検討が進んでいくことがほとんどです。購買フェーズが進む時々で、ペルソナがどんな課題を持ち、どんな情報を必要としているのかを考えていきましょう。
これはマーケティングではカスタマージャーニー とも言われます。
このカスタマージャーニーに合わせて、適切なタイミングでメッセージを送ったり、こちらからアプローチをすることで、より見込み顧客の検討度合いを高めることに繋がるのです。
ポイント3:見込み顧客とのコミュニケーション内容を設計する(キャンペーン設定)
カスタマージャーニーを元に、見込み顧客に対して「どのようなコンテンツ・クリエイティブを」「いつ見せるか」を設計していきます。
見込み顧客と一口に言っても、それぞれの課題やその緊急度は多種多様ですので、適切なコンテンツ・適切なタイミングはそれぞれ異なります。彼らの購買意欲を高め、検討フェーズを進めるためには、どんな検討フェーズのユーザーに、どんな情報を提供して、どういう状態になってもらいたいかという施策の設計が重要になります。
例えば、Webサイトの製品紹介ページを閲覧したユーザーに、関連商品情報を提供したり、セミナーに参加したユーザーに、興味を引く新着情報を提供するなどのキャンペーンを設定します。
ポイント4:PDCAサイクルをまわす
マーケティングオートメーションのシナリオは、一度設計して終わりではありません。PDCAサイクルを回し、効果検証を繰り返すことで、作成したシナリオの改善点を洗い出し、ブラッシュアップを続けることが重要です。
その為にも、はじめからあまりに詳細なキャンペーン内容を作成する事はおすすめしません。検証・改善を前提として、まずは単純なキャンペーン設定をしましょう。そのシナリオを微修正しながら、検証・改善を繰り返していくことで、成功のモデルを作っていくことが重要なのです。
いきなり高度なシナリオは不要
ここまでシナリオ設計の基本をお伝えしましたが、高度なシナリオが不要な場合もあります。
とくに見込み顧客が少ない企業の場合は、せっかく工数をかけてシナリオを設計しても、満足できるほどの効果を発揮できない場合こともよくあります。
例えば、下の図をご覧ください。自社の見込み顧客リストが2,000名前後、Webサイト上での特定アクションに基づいてシナリオを設計し、3段階のステップを経て優良見込み顧客とした場合のモデルケースです。なお、各ステップでの想定割合は、弊社(及び弊社顧客)の実績を基に算出しています。
1回のメール配信からの開封率が40%、サイトに流入するのが30%とすると、流入者はおよそ240人となります。その内、各アクションをする割合がそれぞれ10%とすると、結果は0人となります。綿密なシナリオ設計をした結果、優良見込み顧客が何ヶ月も見つからない、なんてことも起こり得てしまうのです。
また、BtoB系の商材でよくあることですが、社内の体制や課題が複雑な場合、Webサイトのコンテンツやメール配信で得られる情報だけでは、見込み顧客の検討度合いがなかなか上がらないことも多くあります。
結果的に、営業担当が直接電話などでアプローチしたほうが、より案件に繋がりやすくなるということが起こるのです。
マーケティングオートメーションは自社の課題解決を支援するもの
マーケティングオートメーションは、あくまでも万能のツールではなく、自社のマーケティング施策をサポートするものです。機能の多さやコスト、効果などをふまえたうえで適切に使用していく必要があるといえるでしょう。
また企業としてMAツールを利用する場合、コンプライアンスを遵守する必要があり、メールの内容や送信先も注意が必要です。適正にマーケティングオートメーションを使用し、それぞれの企業の課題をクリアしていくことが企業の利益の向上につながります。
シンプルなツールや多機能のツールでよく比較されるものの、社内の課題を解決できるものであればどちらでも問題はありません。大事なのは、運用コスト(費用や時間)に対して、結果が伴っているという点です。そのためMAツールの導入においては、導入前に課題だけでなく、人員のリソースや将来的な見通しまで含めて運用していく計画を立てることが重要です。
参考1:BtoB向けとBtoC向けのマーケティングオートメーション(MA)
マーケティングオートメーションの概念は、BtoCにもあります。しかし、BtoB企業とBtoC企業では、マーケティングオートメーションに求める機能が異なります。
BtoB企業におけるマーケティングオートメーション
BtoBビジネスでの購買プロセスは、BtoCと比べて長く、複数人が関与するため、「見込み顧客がいま、検討プロセスのどの位置にいるのか」「いま、見込み顧客にとって必要/有益な情報はなにか」を知ることが非常に重要です。
獲得した見込み顧客リストに対して、マーケティング活動によって有益な情報提供を続け、興味度合を高めていきます。そして、ニーズが顕在化したタイミングでその情報を営業担当者が引き継ぎ、アプローチを行う事によって、営業活動の効率化を図るのです。
そのため、BtoB向けマーケティングオートメーションツールで求められる機能は、「見込み顧客とのコミュニケーション履歴(いつ、どこで、どのような情報提供を行ったか)の可視化」と、「ニーズが顕在化した見込み顧客のキャッチアップ」であるといえるでしょう。
BtoC企業におけるマーケティングオートメーション
一方、BtoCビジネスでの購買プロセスは、家や車など一部の高単価商材を除き、その場で完了することのほうが多いでしょう。検討を始めたその場で購入に至ることもよくあります。そのため、継続的な情報提供や、ニーズ顕在化のキャッチアップよりは「その顧客にとって最適なタイミングに、最適な方法で、最適なコンテンツを提供する(=One to Oneマーケティング)」に重きを置く場合が多くあります。
BtoCのOne to Oneマーケティングを実現するCCCM
ご紹介したようなOne to Oneマーケティングを実現するツールとして、CCCMというものがあります。CCCM(クロスチャネル・キャンペーン・マネジメント)とは、「最適な情報を最適な相手に最適な手段で」伝えることを自動化した仕組み、またはその仕組みを実現するためのツールを指します。
オンライン・オフライン問わず、顧客とのあらゆる接点を管理し、メール、SNS、アプリなど複数のチャネルを用いて最適なタイミングで顧客にアプローチすることを目的としたツールです。その代わり、BtoB向けマーケティングオートメーションツールに搭載されているナーチャリングやスコアリングなどの機能は搭載されていないことが多く、よりBtoCに特化したツールであるといえます。
商材単価の低いBtoC企業で、One to Oneマーケティングを実現したい方は、CCCMを検討してみるとよいでしょう。
参考2:マーケティングオートメーションの発祥と歴史
マーケティングオートメーションの発祥は1992年のUnicaという米国の会社だと言われていて、その後本格的にマーケティングオートメーションが広まるきっかけになったのが、1999年頃のEloquaの登場です。この頃インターネットも普及し始め、マーケティングオートメーションの普及を後押しします。
2010年頃までは米国で新規参入のベンダーが増え、MarketoやHubspotが登場します。現在は、元々SFAやCRMと統合されて活用される事が多いマーケティングオートメーションが、大手ITベンダーによって統合ソリューションとして提供されるようになっています。
一方、日本では2014年がマーケティングオートメーション元年と言われ、海外からの参入、国内でのツールベンダーのサービスローンチが相次ぎました。2020年現在でも日本において市場拡大は続いており、今後も拡大すると予想されています。
参考:アメリカと日本のマーケティングオートメーション
アメリカでは日本よりもマーケティングが発展していると言われ、日本とアメリカの取り組みには10年の差があるとも言われています。これには以下のような理由が挙げられます。
- ・日本では生産・販売(営業)が売上拡大のキーになる時代がアメリカよりも長く続いたので、「マーケティング」の重要性が比較的軽視されてきた
- 日本では、戦後以降の主に製造業において、”生産”と”営業”が中心となった売上拡大・業績拡大ができる市場環境が生まれました。また営業活動では、日本の地理的な背景により、対面式でお客様との人間的な関係づくりを重視するような文化が生まれ、営業が重視されてきたのです。
- ・アメリカでは、拠点が遠隔地同士にある場合が多いという地理的な制約上、遠隔でのコミュニケーションを中心にした手法が発達しやすかった
- 対してアメリカでは、ITへの投資が盛んという土壌と、上記の背景から、マーケティングが発展し、ひいてはマーケティングオートメーションの普及や発展に繋がったと言えるでしょう。
アメリカと日本のマーケティングオートメーション(MA) 普及については、以下の記事で解説しています。