営業におけるクロージングとは、営業活動の最終段階であり、契約締結につながる重要なステップです。どれだけ丁寧にヒアリングし、魅力的な提案をしても、最後のひと押しで失敗してしまえば契約にはつながりません。「あと一歩だったのに」と悔しい思いをしたことがある営業担当の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、成約率を改善するためのクロージング成功術を分かりやすく解説します。タイミングの見極め方、断り文句への対応、成約後のフォローまで、実践で使えるノウハウを詳しく解説します。
- ▼この記事でわかること
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- 営業クロージングの概要と重要性
- クロージングを実施するタイミング
- クロージングを成功させるテクニック11選
- クロージングを成功させるポイント

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Contents
営業クロージングとは?
まずは、クロージングの定義について見ていきましょう。
クロージングとは
クロージングとは、営業プロセスの最終段階である「契約締結」を意味します。営業の成功を左右する重要なステップであり、ここでの成功は成約率を大きく左右します。ただし、単に「契約してください」と迫るだけでは効果的ではありません。顧客の課題や要望を正しく理解し、その解決につながる最適な提案を行うことがクロージングの本質です。
クロージングの重要性
クロージングの成功は、商談の最後だけで決まるものではありません。初回アプローチからの一貫した顧客対応、緻密な準備、そして戦略的な思考の積み重ねが大きく影響します。顧客の信頼を獲得できるかどうかが成約の分かれ道となるのです。
また、クロージングを「単なる営業技術」ではなく「信頼関係を築くプロセス」と捉えることも重要です。そのためには、自己分析とフィードバックを継続的に行い、過去の営業活動から学びを得て改善する姿勢が欠かせません。顧客の声に耳を傾け、対話を通じてアプローチを磨き続けることが、クロージング成功への確実な一歩となります。
営業初心者が押さえるべきクロージングの基本
営業初心者にとって、クロージングは敷居が高く感じられるかもしれません。しかし、以下のポイントを押さえることで、自信を持って取り組むことができます。まず、顧客の反応を観察し、適切なタイミングで提案を行うことが重要です。また、質問を通じて顧客の真のニーズを引き出し、それに応じた解決策を提示する練習を重ねましょう。
具体的には、日々の営業活動の中で、成功事例や失敗事例を分析し、そこから学びを得ることが大切です。加えて、クロージングの場面では、顧客の立場に立ち、彼らが得られる価値を最大限に伝えることを心掛けるべきです。こうした基本を押さえ、実践を重ねることで、徐々に自信を深めていくことが可能となります。
初めてのクロージング経験では、失敗を恐れずにチャレンジすることも重要です。失敗から学ぶ姿勢を持つことで、自分の成長を加速させることができます。また、周囲の先輩や同僚からフィードバックを受け取り、改善点を取り入れることで、より効率的なアプローチを模索しましょう。
効果的なクロージングを実施するタイミングとは
ここでは、クロージングの基本的な流れと切り出すべき適切なタイミングの目安を解説します。これにより、無理のない成約につなげる実践的なヒントを得られるでしょう。
クロージングの基本の流れ
一般的な営業クロージングは、以下の3ステップに沿って進みます。
- テストクロージング
- クロージング本番
- 契約締結(クロージング後の手続き)
それぞれの段階で顧客の反応や心理状態を確認しながら進めることが、無理のない成約につながります。ステップごとに詳しく見ていきましょう。
- 1.テストクロージング
- テストクロージングとは、顧客が購入意欲を持っているかを探るための「試しの一言」です。「この内容で進めるとしたら、社内でどなたの確認が必要ですか?」など、前に進む提案をして、相手の反応を見ることで、本格的なクロージングに入る準備ができます。押しつけがましくないため、相手にプレッシャーを与えにくい点もメリットです。
- 2.クロージング
- テストクロージングで好感触が得られたら、次はいよいよ本番のクロージングです。ここでは、明確な「提案」と「決断を促すひと言」が必要になります。たとえば「このプランで進めてよろしいでしょうか?」というように、顧客が最終判断を下せるよう背中を押すことがポイントです。不安や懸念があれば、その場で丁寧に対応する姿勢も欠かせません。
- 3.契約締結
- クロージングが成功すれば、次は契約書の取り交わしや詳細な手続きへと進みます。この段階では、顧客にとって「営業トークの延長」ではなく、信頼できるビジネスパートナーとしての対応が求められます。
必要な書類の案内やスケジュール調整、稟議対応などをスムーズに進めることで、顧客満足度も大きく高まります。
クロージングの適切なタイミング
クロージングは「いつ切り出すか」によって成否が大きく変わります。早すぎれば押し売りの印象を与え、遅すぎれば競合に流れてしまうこともあります。適切なタイミングを見極めるには、顧客の理解度や納得感、反応を丁寧に観察することが欠かせません。ここでは、クロージングを切り出す最適なタイミングの目安を紹介します。
- 1.顧客の質問が出尽くしたとき
- 商品やサービスの説明を終え、顧客からの疑問点や懸念が解消された段階はクロージングの好機です。質問が途切れる=購入検討が進み、最終判断に入れる状態と捉えられます。
- 2.顧客がメリットに納得したサインを示したとき
- 「なるほど」「それは便利ですね」といった前向きな反応や、導入後をイメージする発言が出たら、決断を促すタイミングです。
- 3.商談の流れが一区切りしたとき
- 資料説明や提案が終わり、会話が一段落した瞬間も自然な切り出しのタイミングです。そこで「では、このプランで進めてよろしいでしょうか?」と背中を押すと、スムーズに成約につなげられます。
成約率を上げるための具体的ステップ
成約率を上げるための具体的なステップとして、まずは事前準備が鍵となります。顧客の業界や競合状況を調査し、その情報をもとにクロージングのシナリオを考えましょう。次に、顧客の不安や疑問をクリアにし、信頼を築くことが大切です。最終的には、具体的な数字や実績を用いて、提案内容の価値を強調し、顧客の意思決定を促します。
また、事前に想定される質問や反論に対する準備も欠かせません。これにより、クロージングの場面でスムーズな進行が可能となり、顧客の信頼を得ることができるでしょう。
さらに、過去の成功体験を活かし、柔軟に対応する力を養うことも重要なポイントです。営業活動におけるコミュニケーション能力を磨くことも忘れてはなりません。顧客との対話を通じて、彼らの反応を敏感に察知し、適切な対応を行うことで、より効果的なクロージングが実現できます。
クロージングを成功させる11のテクニック
成約率を高めるには、タイミングや話法だけでなく、顧客心理に寄り添ったテクニックを使いこなすことが重要です。クロージングでうまくいかないと感じている方でも、ちょっとした工夫を加えるだけで、驚くほど反応が変わることもあります。
ここでは、営業現場ですぐに活用できる11のクロージングテクニックを厳選してご紹介します。ベネフィットの伝え方から心理学を応用した話法まで、実践的なノウハウを身につけて、クロージング力を一段と高めましょう。
①ベネフィットを提示する
商品やサービスの特徴ではなく、「それによって相手にどんな良い未来がもたらされるか」を明確に伝えます。たとえば「コスト削減」ではなく「月々の経費が◯円下がり、利益率が向上します」といった表現が効果的です。
②相手の不安を払拭する
顧客が最後に迷うのは、多くの場合「失敗したくない」という心理からです。
よくある質問や懸念を先回りして伝えたり、事例や保証内容を提示することで安心感を与えましょう。
③タイミングを見計らう
商品説明に納得し、質問も一通り終えた「相手が話し終わった瞬間」がクロージングのタイミングです。焦らず、適切なタイミングで提案を切り出すことで、相手の納得感を損なわずに進められます。
④BANT条件を確認する
- 「Budget(予算)」
- 「Authority(決裁権)」
- 「Need(ニーズ)」
- 「Timing(導入時期)」
の4要素を事前に確認することで、クロージングの精度が大きく上がります。BANTが揃っていれば、契約までスムーズに運びやすくなります。
BANTについては、以下の記事で詳しく解説しています。
⑤ドア・イン・ザ・フェイスを使う
ドア・イン・ザ・フェイスは、最初に少し大きめな要求を出し、次に本命の提案を出すことで、後者が受け入れられやすくなる心理テクニックです。たとえば「3年契約で◯円です」→「では、1年契約からお試しいただくのはいかがでしょう?」といった展開が効果的です。
⑥ゴールデンサイレンスを妨げない
クロージングの提案をした後、つい言葉を重ねたくなりますが、あえて沈黙を保つことで、相手に考える時間を与えます。この「沈黙」に耐えることが、相手の自主的な決断を引き出す鍵です。
⑦松竹梅の法則を使う
3つの選択肢(高・中・低)を提示すると、多くの人は中間(竹)を選びやすい傾向があります。この法則を活用して、狙ったプランやサービスを自然に選んでもらえる構成にすることがポイントです。
⑧ifクロージングを使う
「もし〇〇だったら、ご契約いただけますか?」という形で、条件付きで意思を確認する方法です。たとえば「月初納品で進められる場合、ご契約されますか?」のように、相手の本音を探るのに役立ちます。
⑨イエスセット話法を使う
相手が「はい」と答えやすい質問を連続して投げかけ、その流れで本題の提案を行うことで、自然と成約につながりやすくなります。「現状に課題を感じていますよね?」「改善したいという気持ちはありますよね?」と段階を踏んで進めます。
⑩イエスバット法を使う
相手の意見を一旦肯定しつつ、自分の提案を示す話法です。たとえば「おっしゃる通り価格は気になる点ですよね。ただ、今回のプランでは初期費用を抑えつつ成果が出る設計にしています」といった形で、反論を和らげます。
⑪損失回避の法則を使う
人は「得をする」よりも「損を避ける」ことに強く反応する傾向があります。「今決めないと、特典が終了してしまいます」など、機会損失を伝えることで、相手の決断を後押しできます。
よくある断り文句と効果的な返し方
ここでは、以下のような断り文句が出る理由と対応方法を解説します。
【不断】自分では決められない
「自分で決められない」というのは、決定権が他の人物にある場合や、社内での調整が必要な場合が多いでしょう。この断り文句は、相手がまだ決断に至っていない状態、もしくは最終決定者が自分以外にいることを示唆しています。
この場合、まずは相手がどのような立場で決定を下しているのかを理解することが重要です。そのうえで、決定権を持つ人物に向けて提案を進める手助けをしましょう。
【不急】今すぐ導入の必要はない
「今すぐ必要ない」というのは、相手が製品やサービスの必要性をまだ強く感じていないか、急いでいるわけではない場合に出てくる言葉です。また、相手がその問題に対して現状に満足していたり、別の優先事項があったりする場合もあります。
相手が「今すぐではない」と言った場合、焦らずに相手のタイミングに寄り添いながら、将来の価値や、導入後のメリットを再度強調します。
【不安】コスト的に難しい
「コストがない」というのは、顧客が価格に対して懸念を抱いている状態です。コストが予算に合わない、またはROI(投資対効果)を十分に感じられない場合に出やすい断り文句です。このような価格に関する不安に対しては、商品の価値や導入後のメリットを強調することが効果的です。また、分割払いなどの柔軟な支払い方法を提案することも有効です。
これらの断り文句に対する返し方を実践することで、より円滑にクロージングへとつなげることができます。それぞれの顧客が抱えている本当の課題や不安に耳を傾け、適切な対応をすることが大切です。
「契約して終わり」にしないためのクロージング後の対応
クロージングは契約のゴールではなく、むしろ新たなスタート地点です。契約後のフォローアップがしっかりしていないと、顧客は「営業担当者は契約を取ったら終わり」と感じ、信頼関係が崩れてしまう恐れがあります。
逆に、契約後にしっかりとサポートを行い、顧客に安心感を与えることで、より強固な信頼関係を築き、長期的な顧客維持やリピートビジネスにつなげることができます。ここでは、クロージング後に必要なフォローアップの方法として、以下のポイントを詳しく見ていきます。
1.資料を送付する
契約後、顧客が製品やサービスについて理解を深め、実際に導入や活用を進めやすくなるよう、関連する資料を迅速に送付することが大切です。
たとえば、製品マニュアルや導入事例、活用方法を紹介する資料などです。このアクションは、顧客に対して「サポートがしっかりしている」と感じさせ、信頼感を高める効果があります。
2.導入ステップを明示する
契約が完了した後は、導入に向けた具体的なステップを共有しましょう。これにより顧客は次に何をすべきか、どのように進めていくのかが明確になり、不安感を減らせます。導入の流れを具体的に説明することで、顧客が安心してステップを踏めるようにサポートすることが重要です。
たとえば、「まずは◯月◯日から、システム導入のための初期設定を行います。その後、◯週間以内に最初のトレーニングを行いますので、そこで操作方法をご確認いただけます。」というように、予定をしっかり伝えることで、スムーズな導入をサポートできます。
3.サポート体制を明示する
契約後のサポート体制を明確に伝えることで、顧客に安心感を与えることができます。特に、技術的なサポートやトラブル対応が含まれている場合は、その対応時間や方法、連絡先を事前に伝えておくことが非常に大切です。
クロージング後のフォローは、単に「契約」を超えて、顧客との信頼関係を深め、長期的なビジネスパートナーシップへと発展させる重要なステップです。しっかりとしたサポートを提供し、顧客の成功を共に喜ぶ姿勢を見せることが、次の成功を生み出します。
クロージングの注意点!失敗しないための2つのポイント
クロージングは営業活動の最終局面ですが、ここでつまずくとせっかくの努力が水の泡になってしまいます。よくある失敗は、顧客の気持ちを置き去りにしてしまうことや、テクニックに頼りすぎることです。ここでは、成約のチャンスを逃さないために押さえておきたい注意点を整理します。
顧客視点を取り入れる
一般的な失敗として、顧客のニーズを十分に理解せずに提案を進めてしまうケースがあります。この場合、顧客は価値を感じず、契約に至らないことが多いでしょう。改善策として、顧客とのコミュニケーションを密にし、質問を通じてニーズを深掘りすることが不可欠です。また、過度なプレッシャーをかけることは避け、顧客のペースに合わせた提案を心掛けましょう。
テクニックに頼りすぎない
クロージングには多くの心理テクニックや話法がありますが、それだけに頼るのは危険です。形式的なクロージングは顧客に不信感を与えかねません。事前準備や誠実な対話を重視し、「顧客の意思決定を支援する姿勢」を見せることが、結果的に成約率を高める近道です。
まとめ
クロージングを成功させるためには、テクニックだけに頼るのではなく、顧客の視点に立った対応が欠かせません。顧客がどのような課題や不安を抱えているのかを正しく把握し、それに応じた提案を行うことで、信頼関係を築くことができます。
また、信頼を深めるコンテンツや導入後のフォロー体制も、長期的な関係構築には不可欠です。顧客の状態を常に意識しながら、誠実な姿勢で向き合うことが、営業成果を継続的に高めるポイントです。