マーケティングミックスとは、マーケティング戦略の成果を出すためにフレームワークやツールを組み合わせることです。代表例としては企業視点の「4P分析」や消費者視点での考え方である「4C分析」が有名です。
マーケティングに携わっている方であれば、マーケティングミックスや4P・4Cについて聞いたことがある方も多いでしょう。4Pや4Cは古典的なマーケティングの考え方ですが、現在でも重要なフレームワークとしてビジネスシーンで幅広く活用されています。
そこで今回は、マーケティングミックスとは何か、その効果的な活用方法についてご紹介します。
- ▼この記事で分かること
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- マーケティングミックスの概要
- マーケティングミックス活用の流れ
- マーケティングミックスの活用を成功させるポイント
- マーケティングミックスの活用事例

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Contents
マーケティングミックス(4P・4C)とは?
マーケティングミックスとは、企業が市場での競争力を高め、顧客のニーズを満たすために用いる戦略のフレームワークです。マーケティング戦略全体の中の「実行戦略」と位置づけられ、マーケティングの成果を出すためにマーケティングツールを組み合わせることです。
マーケティングミックスの代表例としては、4Pや4Cが知られており、それぞれ異なる視点からマーケティング活動を整理するために使われます。
マーケティングミックスの位置づけ
マーケティング戦略全体の中で実行戦略と位置づけられるマーケティングミックスは、マーケティング戦略立案の中のプロセスの1つとなります。ここでは、マーケティング戦略立案の一連の流れを見ていきましょう。
①環境分析
マーケティング戦略を立案するためには、企業が置かれている状況を客観的に把握し、自社が参入できる市場機会を見つけ出す必要があります。そのためにはまず、自社を取り巻く業界の内部環境と外部環境の情報収集を行います。
ここで顧客ニーズをより明確に洗い出すことができれば、自社の課題の明確化だけでなく、競合他社との差別化や、自社の強みを活かした戦略立案につながります。環境分析には、SWOT分析を活用することでより明確に内部環境と外部環境の情報収集を行うことができます。
SWOT分析については、以下の記事をご覧ください。
②STP分析(基本戦略の策定)
ターゲットを絞り込んだ上でマーケティングを行った方が、マーケティングを効率的に進められることから、STP分析を活用し、市場ニーズの細分化、狙うべき市場の絞り込みを経て、その中で自社の立ち位置を明確にしていきます。
STPはSegmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の略で、市場の細分化、ターゲット市場の決定、ターゲット市場における競争優位性の設定を行うことをSTP分析と呼びます。
STP分析では、年齢や性別、家族構成などの人口動態変数(デモグラフィック変数)、ライフスタイルやパーソナリティーなどの心理的変数(サイコグラフィック変数)といった切り口で市場を細分化してから、どの市場をターゲットとしてどのようなポジションで自社の特徴を発揮するのかを検討します。
➂マーケティングミックス(実行戦略の策定)
4Pと4Cに当てはめて検討を重ねるSTP分析を参考に自社の立ち位置が明確化したら、具体的な実行戦略の立案を行います。このことをマーケティングミックスと呼び、4P、もしくは4Cの各要素を書き出し、内容が適切であるか、先に述べたそれぞれの要素間に矛盾はないかを確認していきます。
たとえば、高級製品の販売には、流通業者を制限せずに広範囲で製品を流通させようとする開放的流通チャネル政策は向いていません。ブランドイメージを高めるため、流通業者を一定程度に絞る選択的流通チャネル、もしくは流通業者を制限する排他的流通チャネルを採用することが一般的です。
④施策の実行と評価
マーケティングミックスにより立案した戦略を実行に移し、その結果をもとに評価を行います。結果が伴わない場合は、再度戦略の見直しや改善を行い、効果的な戦略へとブラッシュアップさせていくことがマーケティングの成功へとつながります。
4Pとは?【企業側の視点】
4P分析は、マーケティングミックスで用いられる手法の1つです。ここでは、各要素の特徴をご紹介します。
- ・製品(Product)
- Productは、自社の商品やサービスにどのような強みがあるのか、顧客に購入してもらうためにどのような品質やパッケージ、デザインにするのか、さらに購入後の保証といったアフターフォローについて検討します。
- ・価格(Price)
- 価格は購入を決める際に大きく影響する要素です。価格設定で顧客層が決まることも多いため、製品価値との整合性のとれた価格設定を行う必要があります。また低価格帯設定の場合、適正な利益を得られるのかどうかも設定時に分析する必要があります。
- ・流通(Place)
- Placeでは、商品やサービスを「どこで売るのか」ということを検討します。実店舗での販売にするのか、ネットでの販売にするのか、自社の顧客層に合わせた販売経路を分析し、検討することが大切です。
- ・プロモーション(Promotion)
- 自社商品がいくら良い製品であっても認知されていなければ販売にはつながりません。そこでPromotionでは自社の顧客層に合わせて、有効な販路を分析することが重要です。商品の魅力をより多くの人に知ってもらうことのできる販売促進方法を検討しましょう。
ここまで4Pについて解説しました!4Pは「競合との力関係」「自社の強み・弱み」を整理したうえで、実際に商品やサービスをどのように販売していくかを考える非常に重要なフレームワークとなります。
ここまで紹介した内容を踏まえて、下記に4Pのフレームワークを用意したので、コピーや印刷をして自社の各要素を記入していきましょう!
4Cとは?【消費者側の視点】
4C分析もマーケティングミックスで用いられる手法の1つです。4Pが企業視点であるのに対し、4Cは顧客視点に立ちマーケティング活動を整理するために使われます。
- ・価値(Customer Value)
- Customer Valueとは、顧客が考える製品やサービスの価値のことです。商品の品質だけでなくパッケージやブランド力、ニーズに合っているかなど、あらゆる観点から顧客にとって価値のあるものになっているかを検討する必要があります。
- ・コスト(Cost)
- Costでは、提供する製品の価値に対してコストが見合っているのか、妥当な価値であるのか検討します。また、商品の価格だけでなく購入までにかかる時間や、交通費なども顧客のコストとして考え、その製品に対して顧客がどれだけのコストをかけてくれるのか考える必要があります。
- ・利便性(Convenience)
- Convenienceは、顧客にとって、どのような販売経路で販売することが便利であるか検討します。インターネット上での販売は、移動コストや時間的コストがかからず、いつでも購入できるため一見利便性が高いと判断できますが、決済方法やWebサイトの使いやすさなど、顧客層に合わせた利便性も考える必要があります。
- ・コミュニケーション(Communication)
- Communicationでは、企業側が売り込みを行うのではなく、顧客側が求める情報を届けることで企業と顧客の良好なコミュニケーションを図ります。
マーケティングミックスにおける4Pと4Cの関係性
もともとあった4Pに対して、買い手の視点から再定義したのが4Cです。そのため、4Cと4Pはそれぞれの要素が対応しており、この2つの観点を軸としたうえでマーケティング戦略を練っていくことが重要です。
以下では、それぞれ対応している4Pと4Cを順番に見ていきましょう。
価値(Customer Value)と製品(Product)
価値とは、製品やサービスの購入によって得られる広義の価値を意味します。製品そのものだけでなく、アフターサービスを受けられる、情緒的ベネフィットを得られる(楽しい気分になれる、優越感に浸れる)なども価値に含まれます
コスト(Cost)と価格(Price)
コストは製品やサービスを検討する際の重要な要素の1つですが、買い手が製品やサービスに支払う金額は、コストの一部でしかありません。コストを考えるときは、購入や利用時の移動時間なども含めて考えます。
また、価格については売り手が状況に応じて値下げや割引などを行い、買い手が納得できる価格を提示できるかがポイントとなります。
利便性(Convenience)と流通(Place)
製品やサービスの入手しやすさが利便性です。どんなに優れた製品やサービスも、それらが入手困難であれば、買い手に届けることができません。
売り手にとっての流通は買い手にとっての利便性と表裏一体であり、同列に考えるべき要素でもあります。したがって、販売エリアや販売方法(直販をするのか、販売代理店と契約するのか)など、流通チャネルの最適化に取り組む必要があります。
コミュニケーション(Communication)とプロモーション(Promotion)
マーケティングを成功させるためには、買い手と売り手の間の双方向のコミュニケーションが不可欠です。売り手は一方的な製品やサービスの情報提供に終始するのではなく、買い手の声に耳を傾ける必要があります。コミュニケーション活動の一環としてコールセンターを設置する企業も少なくありません。
一方、プロモーションとは広告、人的販売(販売員による直接的なマーケティング手法)、販売促進などを指します。近年はインターネットの普及により、SNSマーケティングやコンテンツマーケティングなど、プロモーション手法は多様化しています。
ここまで紹介した内容を踏まえて、下記に4Cのフレームワークを用意したので、コピーや印刷をして自社の各要素を記入していきましょう!
マーケティングミックスの活用を成功させる4つのポイント
マーケティングミックスを成功させるためにも、押さえておきたいポイントをご紹介します。
①ターゲット市場を明確にする
マーケティングミックスを成功させるには、ターゲットとなる顧客層を正確に把握することです。ターゲット市場を明確にすることで、製品(Product)の特性、価格(Price)の設定、販売チャネル(Place)の選定、プロモーション(Promotion)の手法が顧客ニーズに合致しやすくなります。
たとえば、若年層向けの商品であれば、SNSを活用したプロモーションや手軽に購入できるオンラインチャネルが有効です。一方、高齢者層がターゲットであれば、実店舗での対面販売や分かりやすい価格設定が重視されるでしょう。
②4Pの一貫性とバランスを保つことで相乗効果を生み出す
4P分析の各要素は、最適なバランスで策定することが重要です。たとえば、売れない理由が価格であると判断しても、価格だけ見直すことは4Pのバランスを崩すことになります。
そうならないためにも、製品に対して妥当性のある価格設定ができているかといったように、製品・価格・流通・プロモーション全てにおいて最適なバランスとなるよう改善を行うことが大切です。
またこのようにバランスの取れた4Pを策定することで、それぞれの要素が相乗効果を生み出し、より効果的な戦略の立案につながるでしょう。
➂プロモーションばかりに偏らない
プロモーションは確かに顧客の注意を引き、製品やサービスの認知度を高める上で重要な役割を果たします。しかし、それだけに集中することで、他の重要な要素がおろそかになるリスクがあるのです。たとえば、製品(Product)の品質やデザインが顧客のニーズに合っていない場合、どれだけプロモーションに力を入れても顧客満足度は低くなり、リピーターを獲得するのが難しくなります。
同様に、価格(Price)が顧客の支払意思額とかけ離れていたり、流通(Place)が不便だったりすれば、プロモーションによる関心が購買行動に結びつかない可能性があります。先述したようにマーケティングミックスの4つの要素をバランスよく活用することで、顧客との信頼関係を築き、持続可能な成功を目指すことが可能になるでしょう。
④BtoBでは「人(Person)」を加えた5Pも有効
マーケティングミックスの考え方は、BtoBマーケティングにおいても非常に重要です。現代のBtoBマーケティングでは、ターゲット設定や広告戦略、製品の価値やコストバランスだけでなく、「人(Person)」にフォーカスすることが求められています。
顧客企業のサービス利用者が企業内でどういった役割を担っていて、何を課題としてサービスを求めているか、そのニーズに対して自社が提供・提案できるのはどういったサービスなのか、などをしっかりと検討した上で、より顧客(=人)に“刺さる“マーケティング戦略を練る必要があるといえるでしょう。
マーケティングミックスに活用できるその他のフレームワーク
マーケティングミックスをより効果的に活用するためには、他のフレームワークと組み合わせることが有効です。ここでは、「3C分析」「ポジショニングマップ」「バリュープロポジション」について、それぞれの特徴とマーケティングミックスとの関連性を詳しく説明します。
3C分析
3C分析は、マーケティング戦略を立案する際に重要な「Customer(顧客)」「Company(自社)」「Competitor(競合)」の3つの観点から状況を整理し、課題を特定するフレームワークです。
- Customer(顧客)
- 顧客のニーズや購買行動を分析します。
ターゲット市場の特定やセグメンテーションを行い、顧客が何を求めているのかを把握します。 - Company(自社)
- 自社の強みや弱み、経営資源を分析します。
製品開発力やブランド力、流通チャネルの強みなどを確認し、競争優位性を特定します。 - Competitor(競合)
- 競合他社の動向や強み、弱みを分析します。
市場でのポジショニングや競合の価格設定、プロモーション活動などを把握し、自社の差別化ポイントを明確にします。
新しい製品を導入する際、3C分析を通じて顧客ニーズ、自社の強み、競合の隙間を見つけ出し、製品戦略を最適化します。3C分析は市場全体の状況を理解し、4Pの各要素を設計する基盤を作ります。
3Cについてもっと詳しく知りたい方は、下記の記事で「3Cの概要」「手順」「成功のポイント」を具体的にまとめていますので、ぜひ、ご覧ください!
ポジショニングマップ
ポジショニングマップは、市場における自社や競合製品の位置を可視化するためのフレームワークです。縦軸と横軸に異なる評価基準を設定し、製品が市場内でどのように認識されているかを確認します。
- 軸の設定
- 軸には「価格」「品質」「機能」「デザイン」など、ターゲット顧客にとって重要な要素を設定します。
ポジショニングマップを作成することで、自社製品が市場内でどの位置にいるのか、またどのセグメントに空白があるのかを把握できます。これにより、ターゲット市場を明確化し、戦略を最適化します。
ポジショニングマップは市場内での差別化ポイントを明確化し、製品や価格戦略を調整する指針を提供します。
バリュープロポジション(Value Proposition)
バリュープロポジションは、顧客に対して自社製品やサービスが提供する独自の価値を明確にするフレームワークです。「なぜ顧客が自社の製品を選ぶべきか」を端的に説明するものです。
- 構成要素
-
- 顧客ニーズ
- 顧客が解決したい問題や得たい利益
- 価値提供
- 自社製品やサービスが提供する具体的な価値
- 差別化ポイント
- 競合製品との違いや優位性
バリュープロポジションを明確にすることで、顧客に響くメッセージやプロモーション戦略を策定できます。また、製品開発の方向性も具体化します。バリュープロポジションは、顧客に響く価値提案を具体化し、プロモーションや製品開発の中心となるメッセージを明確にします。
サービスマーケティングの視点「7P」とは?
ここまで説明してきた4Pは主に「モノ」を前提としたマーケティングミックスでした。しかし、近年ではサービス業の拡大やデジタル化による無形商材の増加により、4Pだけでは不十分なケースが増えています。特に、サービスは形がないため、品質や価値を伝えにくいという課題があります。
さらに、顧客が「モノ」ではなく「体験」を重視する傾向も強まっています。商品そのものだけでなく、購入前後のプロセスやブランドの世界観、企業との関わり方が選択基準になりつつあります。このような変化に対応するため、従来の4Pに「人(People)」「プロセス(Process)」「物的証拠(Physical Evidence)」を加えた7Pが重要視されるようになりました。
また、デジタル時代においては、オンライン上の信頼性を示す要素として、レビューやSNSでの口コミ、ウェブサイトのデザイン、ユーザーインターフェース(UI)などが「物的証拠」として機能するようになりました。これらの要素を戦略的に活用することが、企業の成功に直結するため、7Pがより注目されるようになっています。
- ・People(人)
- サービスを提供する従業員の対応・スキル・教育が、顧客満足度に大きく影響します。
- ・Process(プロセス)
- サービス提供の流れや仕組みを最適化することが重要です。
- ・Physical Evidence(物的証拠)
- サービスは無形のため、信頼性を高めるための証拠が必要となります。
4Pを分解した7Tとは
7Tとは、4P(製品、価格、流通、プロモーション)を基盤にして、現代のマーケティング戦術に適応した7つの要素をさらに詳細に分析したフレームワークです。企業が消費者に対してより効果的にアプローチするための、より具体的でターゲットに即した戦術が必要とされる現代のビジネス環境において生まれました。
これにより、マーケティング活動の幅を広げ、多角的な戦略を構築することが可能となります。7Tは、以下の7つの戦術的要素で構成されています。
- ・Product(製品)
- 製品は、企業が市場に投入する商品やサービスに関する戦略です。ここでは、製品の品質、デザイン、機能性、そして消費者のニーズにどれだけ応えられるかが重要です。さらに、製品の差別化やブランド価値の向上を目指します。マーケティング活動において、製品そのものが競争力を持つことが非常に重要です。
- ・Service(サービス)
- 製品に加えて、サービスが重要な要素として扱われます。顧客が製品を購入した後に受けるサポートやアフターサービスの質も、顧客満足度に大きく影響を与えます。サービス戦術は、顧客の期待を超える体験を提供し、リピート購入やロイヤルティの向上を目指します。
- ・Brand(ブランド)
- ブランドは、企業や製品が市場でどのように認識されるかに関わります。強いブランドは、消費者に対して信頼感や安心感を与え、競合他社と差別化する力を持っています。ブランドのアイデンティティを構築し、感情的なつながりを消費者と築くことが求められます。
- ・Price(価格)
- 価格は、消費者が製品やサービスに支払う金額を決定する要素です。価格設定は、製品の価値を反映させるだけでなく、競合他社との価格差別化やターゲット市場の購買力に基づく戦略が重要です。価格戦略は、プレミアム価格戦略や割引戦略など多岐にわたります。
- ・Place(流通)
- 流通は、製品やサービスが消費者の手に届く方法を決定する要素です。ここでは、販売チャネルの選定や物流の効率化、オンラインとオフラインの統合が重要です。消費者が最も便利でアクセスしやすい方法で製品に触れることができるように、流通戦略を最適化します。
- ・Communication(コミュニケーション)
- コミュニケーション戦術は、企業と消費者がどのように情報をやり取りするかに関わります。マーケティング活動では、消費者に対して価値を伝えることが非常に重要です。広告、SNS、PR活動などのメッセージングを通じて、企業の意図や製品の魅力を明確に伝え、消費者とのエンゲージメントを深めることが求められます。
- ・Incentive(報酬)
- 報酬は、消費者や取引先に対して提供するインセンティブを意味します。これには、割引や特典、ポイントシステムなどが含まれます。
インセンティブは消費者に行動を促すための有効な手段であり、マーケティングキャンペーンの効果を高めるために活用されます。
マーケティングミックスの活用に成功した事例
4Pや4Cを活用した具体的な成功事例を詳しく見ていきましょう。
大手コーヒーチェーン:4Pを活用した事例
某コーヒーチェーンは、4Pを効果的に活用した戦略で成功しています。
- ・Product(製品)
- 高品質のコーヒー豆を使用するだけでなく、多様なカスタマイズオプションや季節限定のドリンクを導入し、顧客に新鮮な驚きを与えています。
また、店舗のデザインやBGMなど、快適な空間づくりも製品の一部として捉えています。 - ・Price(価格)
- 一般的なコーヒーより高めに設定されていますが、高品質な製品とプレミアムな体験を提供することで、「値段以上の価値」を顧客に感じさせています。
これは価格弾力性の低い市場セグメントをターゲットにした戦略です。 - ・Place(流通)
- 立地選定にも戦略的な工夫が見られます。オフィス街や繁華街、交通の利便性が高い場所に出店し、ターゲット層がアクセスしやすいようにしています。
また、オンライン注文やアプリでの事前注文を可能にすることで、さらに利便性を高めています。 - ・Promotion(プロモーション)
- 広告よりも口コミやブランドイメージの構築に力を入れています。
ロゴデザインやパートナーと呼ばれるスタッフの接客がブランドを強化し、SNSキャンペーンやリワードプログラムを通じて顧客とのエンゲージメントを高めています。
このような戦略により結果として、「高価格でも支持されるプレミアムブランド」としての地位を確立しています。
大手通信機器メーカー:4Cを活用した事例
某通信機器メーカーは、顧客中心のマーケティングミックスを駆使し、業界をリードするブランドとなりました。
- ・Customer Value(顧客価値)
- 製品を単なるテクノロジーではなく、使いやすく美しいデザインで「顧客のライフスタイルを向上させるもの」として提供しています。
- ・Cost to the Customer(顧客にとってのコスト)
- 高価格にもかかわらず、その価値(操作性、エコシステムの統一性、信頼性)を通じて、顧客が支払うコスト以上の満足感を提供しています。
さらに、サポートや修理サービスを充実させることで、リスクや手間を軽減しています。 - ・Convenience(利便性)
- 直営店を活用して、製品の体験や購入を簡単にしています。
また、オンラインストアでは個人に最適化されたオプションやアフターサービスを提供し、利便性をさらに向上させています。 - ・Communication(コミュニケーション)
- 製品の広告だけでなく、新製品発表イベントやブランドストーリーを通じて顧客との信頼関係を築いています。
特に、製品のシンプルさやデザインの良さを強調することで、感情に訴えるコミュニケーションを行っています。
BtoB向け営業ツール:4Cを活用した事例
- ・Customer Value(顧客価値)
- 営業担当者が活用することで、営業活動の効率化や受注率アップなど、事業を成長させるためのツールを提供しています。
- ・Cost to the Customer(顧客にとってのコスト)
- だれでも、簡単に使える機能を搭載しているため、使い勝手がよく、時間をかけずにツールを使いこなすことができます。さらに、無料相談や勉強会などのサポートも充実しているため、顧客は安心して使うことができます。
- ・Convenience(利便性)
- 導入を検討している顧客に対して、まずは無料で使える「フリープラン」を用意しています。フリープランを導入したあとは一度、自社のコンサルタントが伴走支援することで、利便性をさらに向上させています。
- ・Communication(コミュニケーション)
- 広告やSEOなどのオンライン施策だけではなく、展示会やセミナーなどのオフライン施策を行っています。ツールの良さを直接顧客に伝えるコミュニケーションに注力しています。
このように「顧客の体験と価値」を重視し続けた結果、顧客ロイヤルティを高め、業界をリードするブランドとしての地位を確立しています。
マーケティングミックスの今後の展望
今後のマーケティングミックスは、デジタル化の進展や顧客の期待の変化を反映して、よりパーソナライズとデータ活用が重視される方向に進化していくでしょう。特に、以下のポイントが重要なトレンドとして挙げられます。
テクノロジーとデータ分析の活用強化
データ解析やAIの活用が進む中で、マーケティングミックスはよりデータドリブンなアプローチにシフトしていきます。顧客1人ひとりの行動や好みに基づいて、4Pや7Pの各要素を最適化することが求められるようになります。これにより、従来の一律の施策から、個別対応型の施策へと進化していくでしょう。
たとえば、ECサイトでのレコメンド機能や、SNSでのターゲティング広告がより精度高くなり、それぞれの顧客により最適化されたメッセージを提供することが可能になります。
パーソナライズと顧客体験の重視
消費者は、単に製品やサービスを購入するだけでなく、「体験」を求めるようになっています。企業は、マーケティングミックスにおいて、顧客体験の向上を中心に施策を展開する必要があります。
これには、たとえばオンラインとオフラインの統合や、カスタマーサポートの充実などが含まれます。また、プロセスやコミュニケーションの部分でも、顧客1人ひとりに合わせた対応がますます重要になっていくでしょう。
新しいマーケティング戦略の登場
テクノロジーの進化や市場の変化に伴い、マーケティングの枠組みも進化していきます。たとえば、7Pや7Tのように、従来の4Pに新たな視点や要素を加えることが求められます。これにより、今後も顧客中心のアプローチや、新しいチャネルの活用を取り入れた戦略が注目されるでしょう。
このように今後は、テクノロジーの活用、データドリブンなアプローチ、そして顧客体験の重視が進み、ますますパーソナライズされたマーケティングが主流になっていきます。企業は、顧客のニーズや行動を細かく分析し、柔軟に対応することで、より高い顧客満足度とブランド価値を実現していくことが求められるでしょう。
また、環境への配慮や社会的責任を意識したマーケティング活動も、今後の成功には欠かせない要素となるでしょう。
おわりに
今回は、マーケティングミックスとは何か、その効果的な活用方法についてご紹介しました。
買い手視点の4Cと売り手視点の4Pは売り手視点でマーケティングを捉えたものですが、相反するものではありません。両方の視点を意識しながらマーケティング戦略を策定することが重要です。