マーケティングでのROI(費用対効果)の考え方
マーケティングの世界でも、最近耳にする機会が増えたROI(費用対効果)。ROIは「いくらお金を投資して、どのくらい利益があったのか」を確認できる指標です。今回は、マーケティングでのROIについてご紹介します。
ROI(費用対効果)とは?
ROIとは、Return on investmentの略で、投資した費用から、どれくらいの利益・効果が得られたのかを表す指標です。「投下資本利益率」「投資利益率」とも呼びます。
導入するツールを比較、検討する場合や、実施した施策の効果を検証する場合などに用いられ、ROIが高いほど収益性が高く、その投資が良いものと言えます。
「コストパフォーマンス」という言葉に置き換えられることもありますが、より一般消費者目線で使われることが多く、事業などにおいては「ROI」「費用対効果」の方が使いやすいでしょう。
マーケティングROIが重要視された背景
「マーケティングに力を入れているのは分かるけど、結局利益は出たの?費用対効果は?」と社内の会議で上司から質問を受けて、はっきりと説明できない方も多いのではないでしょうか。
昨今、マーケティングツールの多様化や、商談に至るまでの期間の長期化、フローの複雑化などによって、マーケティング効果が分かりにくくなっています。
費用を費やし、さまざまな施策を実施して、反響数が上がっていくことは喜ばしいことですが、企業の目指すところは利益の増加であり、利益が得られなければ、マーケティング効果があったことにはなりません。
企業活動において明確な効果が見られない投資を続けていくことは、資産の限界が訪れる可能性があります。特にリーマンショック以降は、経営体制の見直しをする企業が増え、ROIへの関心も高くなりました。
「低予算で効果を上げられるマーケティング計画で、費用を抑えたい」
「現状の費用で、より効果の高いマーケティングをしたい」
こういった費用対効果を重視する場合、マーケターにとってROIは判断をしやすくするための指標といえるでしょう。
マーケティングROIの計算方法
ROIは一般的に、下記の式で計算されます。
利益÷投資額×100
計算の際は、どの数値を目的とする利益や効果に設定するのか、どこまでを投資額に含めるかがポイントです。
マーケティングでのROIは、マーケティング投資額に対して、どの程度利益・効果が得られたのかを算出するため、下記のように計算できます。
利益・効果÷マーケティング投資額×100
では事例を挙げて、実際に計算してみましょう。
A社の売上やマーケティング投資は下記の通りとし、ここでの利益・効果は粗利の金額とします。
マーケティング投資:200万円
製品価格:1,000円
製品原価:300円/個
販売数:5,000
売上高:500万円(@1,000×5,000個)
販管費:50万円(販売費および一般管理費※郵送費や人件費)
A社のROIは、下記のように計算されます。
(500万円-(150万円+50万円+200万円))÷200万円×100=50
ROIの数値が高いほど、費用対効果が良かったということになります。
A社としては、この50というROIの数値を上げるにはどのようにしたら良いかを考えていくことが重要です。
ROI(費用対効果)の分析
ROIは算出して終わりではなく、より高めていくための分析が重要です。
計算式を元に、具体的にどの数値をどうすればROI、つまり費用対効果が高められるのか見てみましょう。
先のA社の計算の場合は、下記の様な対策が挙げられます。
・マーケティング投資額を減らす
・製品価格を上げる
・製品原価を下げる
・販売数を増やす
・販管費を減らす
自社や競合、市場の状況と照らし合わせて、どの項目にどのくらいの数値目標を設定できるのか、その数値目標を達成するために、どのような施策を取れば良いのか導き出しましょう。
このように、ROIで出した指標に基づいて、自社の方向性を明確にしていくことができるのです。
マーケティング施策毎のROI(費用対効果)
ここまでは全体的なROIの計算をご紹介してきましたが、一つ一つのマーケティング施策を切り出してROIを計算することもできます。
メール配信、セミナー開催、展示会出展など、マーケティングの中でも、日々、様々な施策が実施されていることでしょう。
その中で、「展示会出展と広告出稿の、どちらに投資するべきか」といった施策毎の比較や、「先月のメルマガと今月のメルマガでは、どちらがどのくらい効果が良かったのか」といった一つの施策の改善のために、ROIを活用できます。
例えば下記のように算出することができるでしょう。
メール配信のROI
利益・効果:配信したメールをきっかけに発生した商談数、売上
投資額:メール配信ツール費、HTMLメール制作費、人件費 など
展示会出展のROI
利益・効果:展示会で獲得した名刺数、展示会がきっかけとなった売上
投資額:出展料、販促物制作費、展示ブース製作費、当日の人件費 など
このように、マーケティング施策毎にROIを算出し、比較、分析することによって、より費用対効果の高いマーケティングの実施に役立ちます。
マーケティングオートメーションでROI(費用対効果)を最適化
日本企業でも近年導入が増えているマーケティングオートメーションは、ROIの最適化に貢献します。
マーケティングオートメーションは、マーケティング活動を自動化します。取得した見込み顧客の情報を一元管理し、設定したシナリオで適切なコンテンツをタイミングよく届けることで、見込み顧客を育成し営業へ引き渡すことができます。
マーケターがその都度、見込み顧客の抽出やメール配信といった作業の部分に手を取られることがないので、分析などの重要な部分に注力でき、人件費などの費用がより効果的に使えるという事です。
また、営業活動においても同様です。
すぐに商談になる確度の高い見込み顧客も、まだ検討段階にない確度の低い見込み顧客も営業が対応している企業は多いのではないでしょうか。
マーケティングオートメーションのスコアリングの機能を活用して、見込み度合いの高い顧客だけを抽出して営業が対応することで、より効率的に活動ができるようになります。
また見込み顧客の情報を一元化できるので、展示会で直接交換した名刺の情報や、問い合わせフォームで資料請求が顧客情報も、メールアドレスなどを主軸のデータにして一元管理することで、取得した見込み顧客に対して重なることなく営業担当がアプローチできます。
集客や育成の過程において、ツール上で行った各施策の結果を収集し、施策の最適化にも役立たせましょう。最も費用対効果の高かった施策を洗い出し、そこへの投資を増やしていくことで、ROIの最適化に繋がっていきます。
おわりに
ROI(費用対効果)の計算方法とマーケティングオートメーションで最適化する方法をご紹介しました。マーケティングの費用に対して、どれだけの効果が得られているのかを知り、現在の施策に改善することは、企業にとても重要なことです。
そこまで高度な計算ではないため、これまでマーケティングROIを数値化していなかった方はぜひ、式に数字を落とし込んで確認してみましょう。マーケティングにおける費用対効果の向上、ひいては企業全体の利益アップに役立つはずです。
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