MAツールの導入・運用で注目すべき指標は?

マーケティングオートメーション

MAツールの導入・運用で注目すべき指標は?

マーケティングオートメーションを導入するにあたって、実践的な効果を測定するためには、何を指標とすれば良いのでしょうか。

マーケティングオートメーションツール導入の稟議を通すため、導入後の効果測定に必要な指標と、指標設定のポイントについて解説します。

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MAツールを使いこなすために

MA(マーケティングオートメーション)ツールは、マーケティング業界ではほとんどの会社が導入しており、一般的なツールとして認知されています。

しかし、それらの会社の中には導入したにもかかわらずいまいち成果が出ていない、メールの自動送信などの一部機能のみが活用され、想定していたパフォーマンスを発揮できていないケースも少なくありません。

適切な指標を設定するためにも、まずはMAツールの適切な使い方について学びましょう。

課題を次の施策に活かすことが大切

市場は日々変化していくものであり、「最適なマーケティング施策」というものは存在しません。めまぐるしい市場の変化から、MAツール導入時に設定したとおりの費用対効果をあげることは難しく、運用においては常に新たな課題をつきつけられることになります。

MAツールを導入したことだけで満足せずに、MAツールを利用することによって得た情報や課題を、次施策に活かすことが、MAツールを導入する上では大切なポイントになります。導入しただけで満足していると、メールの自動化や顧客情報の整理など、ツールの表面的な機能にしか目がいかず、成果を出しにくくなってしまうのです。

適切なKPI、KGIを設定しよう

MAツールを導入するにあたって、適切なKPI(重要業績評価指数)とKGI(重要目標達成指標)の設定は不可欠です。

KGIとは最終的に達成する目標のことで「月間の商談数10件」「売上1,000万円」のように設定します。対して、KPIはKGIを達成するためにクリアしなくてはならない細かい目標のことです。

仮に、月間100件のリード獲得がKGIだとしましょう。そして現状、WEBサイト・メルマガ・広告の3つの施策で、それぞれ20件・10件・20件のリードが獲得できているとします。
この合計50件のリード獲得数を倍にするために、各施策においてどのような施策を打っていくのか設定するのがKPIです。

KPI 1:WEBサイトの訪問数を2倍に増やす
KPI 1-1:広告出稿量を2倍に増やしてWEBサイトへの流入数を増加
KPI 1-2:メルマガの配信数を2倍にする
KPI 1-3:SNSのフォロワー数を増やしてWEBサイトへの流入数を倍にする

また、KGIとKPIを設定することで、何が要因でリード獲得や売上、成約に結びついたのかを分析・可視化します。「マーケティングの成功に再現性」を持たせるために、KGIとKPIは非常に重要な指標です。

MAツールの具体的な指標とは

MAツールを導入するにあたり、具体的にどのようなポイントを指標とすべきかを解説します。以下に紹介する要素について、適切な数字や目標を設定しましょう。

自社サイトでの新規リード獲得数

MAには主に、以下の四つの役割があります。

  1. 見込み顧客の創出
  2. 見込み顧客の育成
  3. 見込み顧客の分類
  4. 見込み顧客のリスト管理

新規見込み顧客(リード)の獲得は、マーケティングにおける重要な初動のプロセスです。そもそも見込み顧客の数が少なければ、その後の育成や分類につながることはありません。

「資料請求」「セミナーの参加」「メルマガ登録」「サービスの問い合わせ」などの新規リードは、重要な指標になります。

新規リードが増えたにもかかわらず、最終目標である成約や売上につながらない場合、育成や分類のプロセスに問題があります。新規リードの獲得数に注目することで、プロセスの問題点を明確化しやすくなるのです。

メールの開封率とCTR

MAツールの機能に「メールマーケティング」があります。これはメールによって新規顧客の獲得や育成を行うための機能です。

この機能を使うにあたって「そもそもメールが開封されているのかどうか」は重要な指標です。開封されずに破棄されているようなメールは送信する意味がありません。

開封されていても、メールに記載されているリンクや広告のクリック率(CTR)が悪ければ、成果にはつながりません。メールが開封されているかどうか、そして中の広告やリンクがクリックされているかを測定することで、メルマガの件名や内容を改善する際の参考します。

返信率でさらにターゲットが絞れる

開封率やCTRよりさらに重要な指標となり得るのが、「メールの返信率」です。

返信がくるということは「メールの中身を確認した上で、返信するというアクションを起こしたくなるほどの興味深い内容だった」ということになります。単にメールを開封しただけの人や、メルマガに登録しているだけの人よりも成約につながる可能性が高いのです。

さらに、返信に対してはこちら側からも返信で、接点を維持します。このように返信率は、より成約につながりやすい優秀なリードを選別しやすくなるので、成約が期待できる優良なターゲットに対して、アプローチをしやすくなります。

指標とされることが多いCookie付与数

「Cookie」とは、ユーザーがとあるホームページやWebサイトを訪問した時に、ユーザーの情報を一時的に保存する仕組みのことです。この「Cookie」をマーケティングオートメーションの指標として活用する企業も多くあります。その理由について見ていきましょう。

訪問の記録をデータに残す機能

Cookieについてもう少し詳しく解説しましょう。例えば、SNSや会員登録しているWebサイトでは、1度サイトを離脱しても、再びアクセスするとログイン状態を保持していることが多くあります。

あるいは、買い物サイトで商品にカートを入れたまま離脱し、しばらく経ってからアクセスしてもカートの中身が残っているといったことがあるでしょう。

これらはCookieの働きによるものです。このように、アクセス先のサイトから発行しているCookieについてはユーザーがブロックしている可能性も少なく、情報収集に役立てることができます。

行動を個人単位で解析できる

Cookieは、企業側で収集することができ、ユーザーとCookieを結びつけることでユーザーの行動を解析ができるようになります。

  • 広告や検索エンジンなど「どのような手段で自社のWebサイトを訪問したのか」
  • 自社のWebサイトでどのようなページを見ているのか

これらの情報を収集することができます。収集方法としては、メール文内のリンクをクリックして自社サイトを訪問してもらう方法や、資料請求・フォームに登録してもらう方法などがあります。

行動が把握できれば効果の測定ができる

ユーザーの行動を把握できるようになれば、メールやWebサイトの効果測定に結びつけられます。

資料請求や問い合わせに至ったユーザーは自社サイトのどのページを多く見ているのか、逆にどのページの読了率や訪問数が少ないのかなど、Webページを分析することができるようになります。

また、メールにおいてもどのメールが開封率・クリック率が高いのかがわかるので、メール内容の改善にも利用できます。

このような理由から、CookieはMAツールを利用する上で、大切な指標です。

データ活用で結果に結びつける方法3つ

データを収集し、効果測定を行うだけではMAツールが有効に使えたとは言えません。重要なのは、そのデータや明確化した課題を、いかに成約やサービスの利用といった結果に結びつけるかどうかです。

MAツールで収集したデータを、結果に結びつけるための方法について解説します。

必要な指標を慎重に選定する

Webサイトやメルマガ、その他さまざまなチャネルにまたがるMAツールで収集できるデータの種類は多く、すべてのデータを指標にしていると分析のために膨大な時間を費やすことになってしまいます。

成果を分析するにあたって、指標は必要最低限に絞りましょう。あれもこれもと指標を追っていると、結局なにが重要なのか分からなくなってしまいます。

例えば、WEBサイトからのリード獲得数において、ページ毎の効果を比較するのであれば「CVR」と「CV数」に絞り、「PV数」や「読了率」などは省くといったように指標を選びます。

重要なのは、そのページがどれだけ成果につながったのかなので、PV数は必要な指標ではないとではないと切り捨てるのです。

このように、適切な課題や分析結果を得るためには、適切な指標を選ぶことが重要になります。

スコアリングで営業効率を上げる

スコアリングとは、「メールの開封:1点」「資料請求:3点」「問い合わせ:2点」といったように、ユーザーの行動に対して点数をつけて評価することです。

スコアの高さは、商品購入やサービスを利用してくれる可能性が高いことを示します。ユーザーに優先度をつけ、先にアプローチをすべきユーザーを判断することで、営業効率を上げることにつながります。

「どの項目に何点つけるか」の設定が重要です。どのような行動をとると購入・成約率が高いのかをあらかじめ分析しておくことが求められます。

最初に複雑に設定しすぎると成果が出ずに失敗することもよくあるので、はじめは上記のようなシンプルなスコアリングからはじめてみましょう。

セールスと連携して効果検証を繰り返す

MAが主流となる前、顧客分析やアプローチの手法までセールス担当者が考案しているケースがほとんどでした。どの顧客にどんなアプローチをしたら成約が取れるのかを、優秀なセールスは的確に見抜き、成果へとつなげていきました。

しかし、この方法では優秀な人とそうでない人の間に格差が生じやすく、ノウハウや引き継ぎを継承しにくいという問題が発生します。こうした問題は、MAツールによって解消が可能です。優秀な人が持っている顧客情報やノウハウを、全体で共有できるので、セールスの効率化が図れます。

マーケティング業務も、実際の顧客の声や、商談率などセールス側しか入手できない情報を得ることで、分析精度を高めることができます。マーケティング業務はセールス側と連携して効果検証を繰り返すことで、セールスとマーケティング業務の両方の効果をより高めることが可能です。

まとめ

マーケティングオートメーションは、現状のマーケティングにおいて欠かすことはできません。導入する際に、適切に指標を設定することでメールマーケティングやWebサイトの効果を高めることができます。

もっとも、ツールの導入当初はデータが少なく、項目や設定した数値が適切でないこともよくあります。セールス担当者との情報交換なども積極的に行い、効果検証を繰り返した上で適切な指標へと近づけていくことが大切です。