マーケティングオートメーション導入に必要なコンプライアンス対応

マーケティングオートメーション

マーケティングオートメーション導入に必要なコンプライアンス対応

マーケティングオートメーション(MA)は、マーケティングプロセスの一部を自動化・最適化して業務効率化に大きく貢献します。しかし利用する場合は、個人情報の取り扱いなどに十分に注意しなければなりません。
そこで今回は、マーケティングオートメーションの導入に必要なコンプライアンス対応と法律知識についてご紹介します。

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まずはおさらい。マーケティングオートメーションとは?

コンプライアンス対応について解説する前に、まずはマーケティングオートメーションについて簡単におさらいしておきましょう。

マーケティングオートメーションとは、「新規商談獲得におけるマーケティング活動を自動化し、効率的な営業活動を支援する」こと、もしくはそれを実現するツールのことを指します。

新規商談を獲得する際には、自社の見込み顧客に対して継続的にコミュニケーションを取り続け、一人ひとり異なる興味・関心内容に即したコンテンツを提供し、ニーズが顕在化したタイミングを逃さずに営業アプローチすることが重要ですが、これら一連の業務を手動で行おうとすると、莫大な工数が生じてしまいます。

そこで、「見込み顧客に対する適切なコンテンツ提供」「ニーズが顕在化したタイミングのキャッチアップ」を自動化できるツールとして、マーケティングオートメーションツールが誕生したのです。

コンプライアンスとMA

コンプライアンス(compliance)は、日本語では法令順守と訳されます。

法令順守という言葉を文字通り解釈すれば法令を守ることですが、最近では社会常識や倫理観や社内規定に従って行動することを含めて、コンプライアンスと呼ばれるようになりました。

コンプライアンス違反は企業イメージを著しく損ないます。
MAツールに個人情報をインポートして利用する際は個人情報保護法、MAツールからメールを一斉配信する際は特定電子メール法の規制を受けるため、MAの導入にあたっては、これら2つの法律に注意しなければなりません。

個人情報保護法とは

「個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)」とは、2005年4月1日に施行された、個人情報の適正な取り扱いなどについて定めた法律で、2017年5月30日には改正法が施行されています。

この法律では、個人情報を「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」と定義しており、他の情報と合わせて容易に特定の個人を識別できるものも個人情報に含まれます。

MAツールに個人情報をインポートして利用している場合、その企業は、事業活動などのために個人情報データベースを利用する「個人情報取扱事業者」に該当します。

【1】個人情報利用目的の通知・公表

個人情報取得時には利用目的の通知または公表が必要であり、どちらもしていない場合は個人情報を利用できません。

マーケティングや営業活動のために、メール配信などで情報提供する旨を個人情報取得時に通知したり、Webサイトのプライバシーポリシー上に利用目的を掲載したりするようにしましょう。

また、通知または公表を行う利用目的は具体的でなければなりません。
ただし、利用目的をあまりに限定してしまうと、せっかく取得した個人情報を有効活用できない可能性があるため、気を付けてください。

【個人情報の利用目的が具体的である例(推奨される書き方)】
当社が取り扱う商品の販売やサービスの提供、関連するアフターサービス、新商品・サービスに関するご案内のために利用します

【利用目的が具体的でない例】
事業活動のために利用します

【利用目的を限定し過ぎている例】
当社サイトのお問い合わせフォームからご提供いただいた個人情報は、お問い合わせ内容への回答以外には利用しません

【2】クッキーポリシーの掲載

自社Webサイトでの見込み顧客の行動履歴がわかる、MAツールのWeb行動解析機能では、インポートした個人情報とWebサイト閲覧時に収集されるクッキーとを関連付け、生存する特定の個人を識別するため、クッキーも個人情報に分類されます。

そのため、Web行動解析機能を利用する場合は、プライバシーポリシーに下記の2点を掲載しておくようにしましょう。

・クッキーを取得し、収集した行動履歴と個人情報を関連付ける場合があること
・サービス向上や商品の広告配信、宣伝などのためにクッキーを利用すること

EUでは「eプライバシー指令」という法律があり、クッキーの読み書きについてユーザーの承諾を得なければなりません。
今後は日本でも同様の法規制が行われる可能性もあるため、MAツールの導入を検討するときはeプライバシー指令に対応した機能を持つMAツールを選ぶと良いでしょう。

特定電子メール法

「特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)」とは、迷惑メールが社会問題化し、広告や宣伝目的のメール(特定電子メール)を規制するために生まれた法律で、2008年12月1日より施行されています。

MAツールで、セミナーの案内メールやフォローアップメール等、メールの一斉配信する場合、特定電子メール法の規制を受けます。

【1】オプトインとオプトアウト

原則として特定電子メールの送信先は、事前に配信の許諾を得る(オプトインを取得する)ことができた相手に限られます。このことをオプトイン規制と呼びます。

ただし、取引先企業の担当者、名刺などの書面でメールアドレスを取得した相手、メールアドレスをインターネットで公表している相手はオプトイン規制の対象外です。

このようにオプトイン取得が不要の場合もありますが、メールを受信した見込み顧客の心象を悪くすることがないよう、基本的にはMAツールのメール配信リストにはオプトインを得た方のメールアドレスだけを登録することをおすすめします。

もしくはメールの文中に、どういった相手(名刺交換をした、セミナーに参加いただいた等)にメールを配信しているのかを明記しましょう。
オプトイン/オプトアウトについて、下記の記事も参考にご覧ください。

【2】特定電子メールを配信する際の表示義務

特定電子メールを配信するときは、下記等の記載が義務付けられています。

・メール配信者の氏名または名称、住所
・メール等でオプトアウトできる旨
・オプトアウトする際の方法、もしくは通知先メールアドレス
・特定電子メールの配信についての苦情や問い合わせを受け付ける連絡先

なお、受信者がメールの配信解除(オプトアウト)を申し出た際は、即座に配信対象から外し、今後のメールは配信してはいけません。もし配信対象から外れるまでに時間がかかる場合は、その旨も記載しておきましょう。

おわりに

今回は、マーケティングオートメーション(MA)導入に必要なコンプライアンス対応と法律知識についてご紹介しました。
近年はコンプライアンス順守が声高に叫ばれており、企業には個人情報の適正な取り扱いが求められます。個人情報を取得する際には利用目的の通知や公表、メールの配信解除にきちんと対応していかなければなりません。MAツールを選定する際は、コンプライアンスに対応した製品であるかも確認するようにしましょう。

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