リードナーチャリングのKPI設計の方法とは?KPIの具体例や達成するコツ

リードナーチャリング

リードナーチャリングのKPI設計の方法とは?KPIの具体例や達成するコツ

リードナーチャリングの成功に必要なKPI設計の方法と具体例について解説します。リードナーチャリングにおいてKPIを設計することでどのような利益やメリットが生まれるのか、目標達成へ近づけるためのポイントや成功への道筋について具体的に見ていきましょう。

▼この記事で分かること
  • リードナーチャリングのKPIとは?
  • KPIの設計方法
  • KPI例
  • KPIを達成させるには

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そもそもリードナーチャリングとは?

近年のBtoB市場や購買プロセスの変化によって、「リードナーチャリング」に着目する企業は増えています。リードナーチャリングとはどんな手法なのか、概要や注目されている理由をまずは解説します。

リードナーチャリングとは、見込み客を育成すること

リードナーチャリングとは、見込み顧客を育成することです。まだ商品やサービスの購入までは考えていない、もしくは検討していない見込み客に対し、適切なタイミングで有益な情報を与えつつ、信頼関係を構築していくプロセスのことを指します。

昨今は、顧客が商品を購入するか検討しているリード期間が長期化するケースも多く、リードナーチャリングはそれに対する一つの回答として知られています。

リードナーチャリングはなぜ注目されている?

リードナーチャリングが注目されている背景は、先の項目で挙げたように、リード期間が長くなっているためです。

昨今はインターネットやSNSを通じて、購入者は情報を自由に検索することができます。商品を選ぶ際に、他社の商品と比較したり、使うことによるメリットを調べたりしてから買う方が多い傾向にあります。

こうした市場の環境下では、訪問営業やダイレクト広告の効果が薄れています。顧客との信頼関係を築き、自社を選んでもらうためには、顧客を育成するリードナーチャリングの手法を取ることが求められているのです。

リードナーチャリングのKPIとは?

リードナーチャリングを展開する上で、成果を確かめるための指標設定は重要です。その指標の一つとしてよく使われるのがKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)です。

続いては、そもそもKPIとはどんな意味を持ち、どのような目的で設定するのかを見ていきましょう。

KPIは、KGIを達成するための中間指標

KPIについて知るためにはKGIについても理解する必要があります。この二つはよくセットで使われる指標です。

KGIとは、「Key Goal Indicator」を省略したもので、日本語では「重要目標達成指標」と訳されます。ビジネスにおいて最終目標を定量的に評価するための指標のことです。

最終目標であるKGIに対し、KPIは目標達成に向けた中間指標と見ることができ、KGIを達成するために必ず達成しなければならない中間点です。

KPIを設計は何故必要?目的は?

KPIを設定する目的はいくつかあります。

最も重要なのは、KGIを達成するために適切なルートを通るということです。マラソンに例えてみると、KGIがゴールであるのに対し、KPIは中継点です。KPIがKGIとずれていると、そもそもランナーはゴールへはたどり着けません。
つまりKPIを達成することで、適切にゴールへとたどり着ける指標としての意味を持ちます。

その他の理由としては、PDCAサイクルが回しやすくなるためです。仮にKGIが達成できなかった場合に、どのKPIを達成できていなかったのか、要因が洗い出しやすくなります。このようにマーケティング施策の効率的な分析のためにもKPIの設計が必要とされています。

3つのフェーズに分けるとKPI設計が簡単になる

リードナーチャリングのKPIを設計するにあたっては、リードジェネレーションとリードクオリフィケーションについても知っておきましょう。どちらも見込み顧客に対する重要なアプローチ方法です。シナリオ設計も合わせ、3つのフェーズに分解することでKPIの設計難易度を下げることができます。

リードジェネレーションとは

リードジェネレーションとは、見込み客を獲得するための活動のことです。基本的にはリードナーチャリングの前段階に行うもので、自社の商品やサービスに興味を持ってくれる見込み客を増やすアプローチのことを指します。

リードを獲得した段階ではまだ見込み客の購入意欲が薄いことも多く、リードナーチャリングによって育てていくことになります。

リードジェネレーションの手法
例えば、セミナーなどのイベントの開催やWebサイト上に資料請求フォームの設置、Web広告やコンテンツマーケティングといった手法があります。

SNSの活用も、リードジェネレーションの手法の一つと言えるでしょう。集客性が高く、見込み顧客の情報を獲得する活動全般がリードジェネレーションとなります。

リードクオリフィケーションとは

リードクオリフィケーションとは、見込み顧客の中からより購入意欲の高い顧客を選別する活動のことです。

営業活動にもリソースがあり、全ての見込み顧客に対してアプローチすることは不可能でしょう。購入意欲の高い顧客は迅速にアプローチをかけないと、他社に乗り換えられてしまう可能性もあります。

営業がアプローチをかけるためにも、見込み顧客に対し優先度を付ける必要があります。その中でも優先度の高い顧客を抽出し、適切にアプローチするためにリードクオリフィケーションは必要な活動です。

リードクオリフィケーションの手法
リードクオリフィケーションの手法として挙げられるのが、シナリオ設計とスコアリングです。

シナリオ設計とは、ペルソナや顧客のそれぞれの段階によって、適切なアプローチの方法やチャネルを設定することです。例えば、既に購入の意志決定に入っている決裁者へのアプローチなら商談を組んだ方が良いかもしれませんし、まだ知識を仕入れている段階の担当者であればメールや展示会などが適切かもしれません。

ペルソナとステージを加味し、最も有効と思える手段を設定することがシナリオ設計になります。

そしてスコアリングは、顧客の行動に対してスコアを付けて、購入意欲の高い顧客を抽出するために用います。資料請求なら何点、メールのリンクを踏んだら何点…のように点数を付けていき、点数の高い顧客ほどホットリードとして抽出できる仕組み化が可能となります。

リードナーチャリングのKPI設計方法

リードナーチャリングでKPIを設計する方法を、主にメールマーケティングの観点から紹介します。

1.まずはKGIを設定する

KPIを設定するにあたっては、まずゴールとなるKGIを設定することが重要です。売り上げやコンバージョン数など、リードナーチャリングによって得られる最終的な成果を定量的に目標として定めましょう。

ポイントとしては、具体的な数値を設定することです。例えば「顧客満足度の向上」や「認知の拡大」など、分かりにくいものはゴールとして見えにくく、KGIとしては適切ではありません。

最終目標と合わせて、それを達成するための期間も設定します。

2.KGIに至る要素を分解する

KGIを達成するために、どんな要素が必要なのかを洗い出します。この要素は事業そのものの核になっていることが多くCSF(Critical Success Factor、重要成功要因)とも呼ばれます。

例えば「売り上げ目標〇〇円達成」とした場合、獲得リード数の増加や、メール配信の成果の向上などが要因として考えられるでしょう。

この要因を達成するためにはさらに何が必要かを考えてリソースを適切に投入していくため、細かい要素に分解していくという作業が必要です。

3.KPIを具体的に設定する

要素の分解ができたら、その要素を達成するための具体的な数値や期間について設定します。

例えば「メールの効果を高める」というCSFであれば、開封率やクリック率、滞在時間の増加などがKPIとしては考えられるでしょう。それらの目標と達成する期間を定め、最終的なKPIとして設定します。

各施策ごとの具体的なKPI例

ここでは、具体的なKPIの設計例を見ていきましょう。

メールマーケティングでのKPI

・配信リスト数

メールの配信リストとは、メールアドレスが取得できていてメールを配信することのできる総数のことです。
リードジェネレーションの施策により、多くのメールアドレスを取得できていればメール配信数を増やすことができます。

・開封数や開封率

配信したメールが開封された数を開封数、配信したメール数に対して開封された割合が開封率となります。
この開封数をKPIとして設定した場合、差出人や件名を工夫することで向上させることができるでしょう。

・リンクのクリック数

配信したメールの本文内に挿入してあるURLをどの程度クリックされたか示す指標がクリック数となります。
URLの内容は、自社のサービスサイトや問い合わせなどがあり、クリックされたことでリードの自社に対する興味、関心度合いを図ることができるでしょう。

クリック数は、CTAの配置箇所や配置数によって向上させることができます。

・コンバージョン数

コンバージョン数は、メールを配信することで読者にとってもらいたいアクションであるコンバージョンにつながった数です。
どのようなアクションをコンバージョンとするかは、企業の目的によっても異なりますが、主に商談や問い合わせなどがあります。

このコンバージョンの数から、配信したメールが読者にとって適切な内容であったかどうかの判断につながるでしょう。

テレマーケティングでのKPI

・リスト数

メール配信のリスト数と同じように、電話番号がわかるリストの総数のことです。このリスト数は、全てに架電しても自社に興味のない方への効果は低いため、年代や性別、興味、関心などをもとにセグメントし、自社の商品やサービスに適したリストであることが、その後の成果へと影響します。

・架電数

架電数は、リードに電話を掛けた総数です。これまでの架電の結果をもとに電話をかける時間帯や曜日を工夫することで、電話に出てもらえる数を増やすことが重要となります。

・通話時間

架電により通話できた時間もKPIとして設定することができます。商談率を高めるためには、一方的に話すのではなく、相手の課題やニーズを聞き出すことがその後の成果へとつながるでしょう。

・架電後の商談数

架電をきっかけに商談へとつながった件数がテレマーケティングにおいての最終的な目的であり、重要な指標となります。この商談数を増やすためにも、相手のニーズに合わせて会話を進めることが大切です。

設定したKPIを達成するためのポイント

最終目標であるKGIへと到達するためにも、設定したKPIを達成させることが重要となります。ここでは、KPIを達成させるためのコツをご紹介します。

「SMART」を意識する

SMARTとは、次の単語の頭文字を取った言葉です。

  • Specific:明確性。人が変わっても共通の解釈ができる
  • Measurable:計量性。目標を数値として計測できる
  • Achievable:達成可能性。目標を達成することができる
  • Relevant:関連性。上位のKPIやCSF、KGIと結び付いている
  • Time-bound:目標を達成する期間が設定されている

KPIの設定は、この5要素を満たすことで正しく機能すると言われています。KPIを設定する際には、一つ一つの項目がSMARTを満たしているかを検証しましょう。

無駄なKPIを設定しない

KPIを設定する際に重要なのは、無駄なKPIを省くことです。他のKPIと重複する内容でないかどうか、目標を達成するために関連性が浅くはないかといった検証を行いましょう。

関連性の希薄なKPIが多すぎると、どのKPIを重視して良いかが分からずに、社員が混乱してしまう可能性もあります。リードナーチャリングと関連性の深いKPIに注目することが重要です。

リードナーチャリングの場合、見込み客の滞在しているステージや興味関心の度合いによってもアプローチが変わってくるため、フェイズごとにKPIを設定するといった工夫を凝らす必要があります。

定期的に効果検証を行う

リードナーチャリングにおいては、商談のクロージングまで長い期間が必要となります。そのためKPIの設定も難易度が高く、場合によっては途中で到達困難になってしまう可能性もあるでしょう。そうした場合、柔軟にKPIを変更することも必要になります。

またKPIを達成するにあたっては、数値や期間が最適かどうかの振り返りも欠かせません。市場の変化や自社の方向性の転換などによってKPIの重要性が変わることもあります。

一度設定したKPIは、それを貫くのではなく、内外の要因に合わせて柔軟に変更することも、リードナーチャリングにおいては必要となるのです。

KPIの測定にはMAツールの活用が効果的

MAツールは、マーケティング活動における作業を自動化し、業務の効率化を図ることができます。KPIの測定と管理にはMAツールの活用が効果的です。

MAツールでは、ウェブサイトのトラフィックやコンバージョン状況などのデータを収集し、分析が可能です。これにより、KPIの進捗状況や効果をリアルタイムで把握することができます。

また、収集したデータを使ってレポートを作成する機能を活用することで、グラフやチャートとして視覚的な表示ができることからKPIの結果をわかりやすく可視化することもできます。さらに、可視化された情報をマーケティングに関わる部門間で共有することで、担当者の力量差を縮め、スキルの標準化を図ることにもつながるでしょう。

適切なKPI設計に取り組んでいこう

リードナーチャリングを行うにあたっては、適切なKPIを設定することでより効果を高めることができます。

KPIの設定には、まずKGIを設定したり、CSFを抽出するといったプロセスが重要となります。また、ナーチャリングの他にもリードジェネレーションやリードクオリフィケーションなどの手法も合わせて行うことで、よりナーチャリングの効果を高めることができます。