DMPとは?導入メリットや活用方法など基礎知識を解説
これまでマーケティング施策は、マーケターの蓄積された経験や勘によって決められてきた側面があります。しかし近年では、より説得力のある効率的な施策が求められています。
DMP(データマネジメントプラットフォーム)は、工数やミスを削減して、マーケティングを成功に導くための仕組みです。しかし言葉を耳にしたことはあっても、具体的にどういう仕組みか知らない方が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、DMPの導入メリットと活用方法についてご紹介します。
- ▼この記事でわかること
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- DMPの概要
- DMPを導入するメリット
- DMP導入の手順
- DMP導入に適した企業
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Contents
DMPとは?
DMPとは「Data Management Platform(データ・マネジメント・プラットフォーム)」の略です。
インターネットが広く普及した情報化社会の現在、オンライン上には膨大な量のデータが蓄積されています。DMPはこうした大量のさまざまなデータを蓄積し、一括管理するための仕組みです。
主にマーケティングや広告領域で活用され、オンラインとオフライン全てのデータを統合して管理することで、ユーザーの行動や属性を深く理解することができます。
DMPの種類「オープンDMP」と「プライベートDMP」
DMPは、大きく「オープンDMP」と「プライベートDMP」に分類できます。
- ・オープンDMP(パブリックDMP)とは
- 「オープンDMP」は、ユーザーの属性情報やインターネット上の行動履歴などのデータを収集し、その提供を行っている企業が保有・管理するプラットフォームを指します。
自社のデータでは補えない広範囲の情報を収集することができます。
- ・プライベートDMPとは
- 「プライベートDMP」は、オープンDMPから得たデータと、これまで自社で収集したマーケティングデータを、合わせて蓄積・管理するプラットフォームです。
たとえば、既存顧客のこれまでの購買履歴と併せて、興味や関心、Webサイト上での行動履歴などを一括管理することができます。
オープンDMPとプライベートDMPでは、特徴や強みが異なり、 ます。DMPを有効に活用するためには、導入の目的や管理するデータの範囲を決め、どちらが適切なのか判断しましょう。
DMPの主な機能
DMPの主な機能についても見ていきましょう。
- ・データの収集・管理
- DMPは、さまざまなソースからデータを収集し、それを統合・管理する機能を持っています。このデータには、Webサイトの訪問データ、広告のクリックデータ、CRMシステムからの顧客情報などが含まれます。
DMPはこれらのデータを一元管理し、顧客の行動や特性を理解するための基盤を提供します。また、データの整合性を保つためのクレンジングや重複排除などの機能も備えています。
- ・データの分析
- DMPは収集したデータを分析し、ターゲットユーザーの特性や行動パターンを明らかにします。この分析には、セグメント化や傾向の可視化が含まれ、顧客を年齢、性別、興味関心などのカテゴリに分けることが可能です。
また、予測分析やパフォーマンス測定を行うことで、マーケティング施策の効果を評価し、改善点を特定することもできます。
リアルタイム分析機能を備えたDMPでは、動的にデータを更新し、迅速な意思決定をサポートします。
- ・データの活用
- DMPは、分析結果を基にマーケティング施策を実行するための支援を行います。たとえば、ターゲティング広告の配信、パーソナライズされたメールの送信、キャンペーンの最適化などが挙げられます。
また、DMPを広告配信プラットフォーム(DSP)や顧客関係管理システム(CRM)と連携させることで、収集したデータをさらに効果的に活用できます。
DMPのこれらの機能を適切に活用することで、マーケティングの効率化や顧客エンゲージメントの向上を実現することが可能です。
DMP導入のメリット
DMPの導入において最も大きなメリットは、膨大なデータの管理・分析が効率的になり、より効果的なマーケティング施策を打つことができる点です。客観的なデータを活用して、説得力のある施策を検討できるので、マーケティング施策の方向性が素早く決定できます。自社の保有するデータ量が多く、分析が困難な場合は、特に導入した際のメリットが大きいでしょう。
また、人件費の削減や、ミスによるトラブル対応が減るという点も、導入のメリットと言えます。手動で膨大なデータ管理・分析すると工数が掛かり、ささいなミスが発生するリスクが考えられるためです。
DPM導入時の注意点
DMPを導入する際の注意点も確認してきましょう。
データの取り扱いの整備が必要
DPMを導入する際には、個人情報や機密データを含む可能性があるデータの取り扱いに関する明確なルールを整備することが不可欠です。プライバシーやセキュリティについても徹底しておきましょう。
また、データの収集、保存、利用、廃棄の各段階におけるフローを、担当者や関係部署に周知徹底することで、誤った運用や不正利用を防止する体制を構築することが求められます。
保有データの整理や管理が必要
DPMを最大限に活用するには、企業が保有するデータの現状を正確に把握し、必要なデータを整理しておくことが重要です。データが分散していたり、重複が多い場合、DPMでの運用が非効率となる可能性があります。そのため、データクレンジングを実施して一元管理できるように準備することが必要です。
また、データの正確性と信頼性を保つために、定期的なメンテナンスと更新ルールを設定することも必要であり、リソースの確保が求められます。
DMPの活用方法
ここでは、DMPの導入によりできることを見ていきましょう。
【1】異なるニーズを持った見込み顧客に対する広告配信
Web上での行動履歴から読み取ったニーズごとに、見込み顧客をセグメント分けし、ニーズに沿ったキャンペーン情報を表示させます。そうすることで、全ての見込み顧客に対して画一的な訴求をするのではなく、それぞれの見込み顧客に合わせた広告訴求ができます。属性情報に合わせてバナー画像を切り替えるなどの広告施策も可能です。
【2】顧客の検討フェーズごとにメールマガジンを配信
ホワイトペーパーのダウンロードをした、まだ情報収集段階の見込み顧客や、具体的な問い合わせに至った商談の可能性が高い見込み顧客など、見込み顧客の検討フェーズごとにメールマガジンの内容を変えて配信することが可能です。
サイトへの訪問が無くなった見込み顧客に対しては、サイトへの再訪問を促すようなキャンペーンメールを配信しても良いでしょう。
【3】確度の高い見込み顧客へのプッシュ通知
サイト訪問の頻度が高い見込み顧客に対して、プッシュ通知を行うことが可能です。
まだニーズが顕在化していない見込み顧客にとっては、サイト離脱の原因にもつながるプッシュ通知ですが、確度の高い見込み顧客に対しては最後の一押しにもつながる訴求方法といえるでしょう。
DMP導入の3つのステップ
ここからは、DMPを導入するにあたっての導入手順を解説していきます。
1.目的を設定する
DMPを導入する際の第一歩は、明確な目的を設定することです。たとえば、マーケティング活動の効率化、ターゲティング精度の向上、顧客インサイトの分析など、具体的なゴールを定めます。この目的が曖昧だと、導入後に適切な活用が難しくなるため、どのような課題を解決したいのかを明確にしておくことが重要です。
また、目的に応じて必要なデータや指標も整理しておくと、次のステップでの選定作業がスムーズになります。
2.DMPの種類を選定する
DMPには主に「オープンDMP」と「プライベートDMP」の2種類があり、目的に応じて適切な種類を選定します。オープンDMPは、外部データと連携して幅広いユーザーの行動分析を行うのに適しており、プライベートDMPは、自社データを活用した高度なターゲティングや顧客分析に有効です。
また、提供される機能や拡張性、導入コスト、サポート体制なども重要な選定基準となります。選定時には複数のサービスを比較検討し、自社のニーズに最も適したプラットフォームを選びましょう。
3.社内の運用体制を構築する
DMPを効果的に運用するには、社内で適切な運用体制を構築することが必要です。まず、DMPの管理を担当する専任チームや責任者を配置し、導入プロセスをスムーズに進める体制を整備します。
また、データ収集や分析、運用に関する知識を共有するための研修やマニュアルの作成も重要です。さらに、運用後におけるデータの定期的なメンテナンスや活用成果の評価を行う仕組みを整えることで、DMPの価値を最大限に引き出せるようになります。
DMPの導入に適している企業とは?
DMPはすべての企業に導入が向いているわけではありません。ここでは、導入に適している企業について見ていきましょう。
社内での運用体制が整っている
DMPは膨大なデータを効率的に管理することができます。しかし、DMPの管理を行う部署、そのデータから行動プランをつくる部署、実際にマーケティング活動を行う部署など、現実にはいくつもの部署が関わってきます。
そのためDMPを効果的に運用するためには、関連部署間で意識の統一が必要です。それぞれがバラバラに動いているようでは、DMP導入によって生まれるメリットの最大化は見込めません。
このことから、DMP導入に対して社内のコンセンサスが取れる企業がDMPの本当のメリットを受けることができると言えるでしょう。
顧客データが多い
DMPは、大量の顧客データを収集・整理・分析することで、企業が持つデータの価値を最大化するプラットフォームです。
そのため、顧客データが多い企業に特に適しています。たとえば、ECサイトや金融業、通信業のように、多くの顧客との取引履歴や行動データを蓄積している企業は、DMPを活用することで、顧客ニーズの把握やパーソナライズされたアプローチが可能になります。
このようにデータ量が多いほど、分析の精度やマーケティング効果の向上が期待できるのです。
複数のチャネルを活用している
オンライン広告、SNS、メールマーケティングなど、複数のチャネルを通じて顧客と接点を持つ企業にもDMPは適しています。DMPは、これらの異なるチャネルから収集された分散データを統合し、一元管理することができます。この統合により、チャネルを横断した顧客行動の把握が可能になり、より効果的なクロスチャネル戦略を立案することができます。
このように複数チャネルのデータを活用することで、マーケティングの成果を最大化できる点が魅力です。
OnetoOneマーケティングを実施したい
顧客一人ひとりの趣味・嗜好・行動履歴に基づいたOne to Oneマーケティングを目指す企業にとって、DMPは理想的なツールです。DMPを活用することで、個々の顧客に最適化された広告配信やメッセージのカスタマイズが可能になります。
たとえば、過去の購入履歴に基づいて次回購入を促すクーポンを配布するなど、顧客満足度の向上とロイヤルティの強化を図ることができます。One to Oneマーケティングの実現には、詳細な顧客データの分析と活用が欠かせないため、DMPの導入が非常に有効といえるでしょう。
ちょっとおさらい。MA(マーケティングオートメーション)とは?
ここからDMPとMAについて解説する前に、まずはマーケティングオートメーションについて簡単におさらいしておきましょう。
マーケティングオートメーションとは、「新規商談獲得におけるマーケティング活動を自動化し、効率的な営業活動を支援する」こと、もしくはそれを実現するツールのことを指します。
新規商談を獲得する際には、自社の見込み顧客に対して継続的にコミュニケーションを取り続け、一人ひとり異なる興味・関心内容に即したコンテンツを提供し、ニーズが顕在化したタイミングを逃さずに営業アプローチすることが重要ですが、これら一連の業務を手動で行おうとすると、莫大な工数が生じてしまいます。
そこで、「見込み顧客に対する適切なコンテンツ提供」「ニーズが顕在化したタイミングのキャッチアップ」を自動化できるツールとして、マーケティングオートメーションツールが誕生したのです。
DMPとMAの関係
DMPはデータを効率的に管理することができますが、あくまで1つの「データの箱」であり、そのデータを自動的に活用してくれるわけではありません。マーケティング施策を起こそうとするたびに、担当者が蓄積されたデータを把握・分析し、実際の施策の実行をする必要があります。
そこで、DMPとMA(マーケティングオートメーション)の連携が注目されています。MAツールは事前に設定した適切なアクションを自動的に行ってくれるツールです。マーケティングの各フェーズに合わせて、メール送信やコンテンツ配信を自動化することができます。
DMPで分析・整理したデータをもとに、MAのアクションにつなげることで、より効果の高いマーケティング施策の効率的な自動化を図りましょう。
DMPとDWHの違い
購買履歴や行動履歴などの顧客情報を管理できるツールの1つに、DWH(データウェアハウス)というものがあります。DMPとDWHはどちらもデータを管理・活用するためのプラットフォームですが、目的や役割が異なります。
DMPは、顧客の情報を獲得する前の段階から顧客データを管理することができます。主にWeb上のユーザー行動やデバイス情報、広告クリックデータなどを利用します。顧客行動をリアルタイムで把握できることで、広告配信やマーケティング戦略の最適化を支援することが主な役割です。
これに対してDWHは、個人を特定できる情報や企業全体のデータを効率的に蓄積・管理するためのシステムです。業務データや取引データを統合して長期間保存し、経営分析や意思決定のためのデータを提供することが目的です。
このようにDMPは、マーケティング特化型で外部データも活用することができますが、DWHは企業内の統合データを分析する基盤として使われるという違いがあります。両者は併用することで、マーケティングから経営戦略まで幅広いデータ活用が可能になります。
おわりに
DMP導入は大きな決断です。導入を成功させるためにも、活用方法を事前に検討して、社内の意識をまとめておくことが重要です。
また、MAとの相性も良いため、マーケティング施策のさらなる効率化を模索するのであれば、DMPの導入と合わせて検討しても良いでしょう。
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