マーケティング活動を自動化できるマーケティングオートメーションツール(以下MAツール)の機能の一つに「ステップメール」があります。効果的なステップメールは見込み顧客(リード)からの信頼や購買意欲を育て、資料請求や問い合わせにつながるでしょう。
この記事では、ステップメールのメリットから実際の設計方法、マーケティングオートメーションとの相乗効果まで徹底解説します。
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- ▼この記事でわかること
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- ステップメールの基本的な仕組みと、メルマガとの違い
- ステップメールの主なメリット・デメリット
- 効果的なステップメールの設計・運用手順
- 配信数・間隔の最適化や、MAツールによる効率的な運用方法
Contents
ステップメールとは
ステップメールとはメールマーケティング手法の一つです。その名の通り、メールを使って階段を一段一段登って目標に向かっていく様子をイメージすると分かりやすいです。
具体的には資料請求や問い合わせなどの顧客行動を起点とし、あらかじめ作成されたシナリオに沿って順次メールを配信していきます。顧客の温度感に合わせて配信するステップメールは、開封率やクリック率の向上が見込めるため、成果につながりやすい施策といえます。
ステップメールとメルマガの違い
ステップメール | メルマガ | |
---|---|---|
配信タイミング | 顧客の行動を起点に自動配信 | 企業のタイミングで一斉配信 |
主な目的 | ナーチャリング・購買意欲の醸成 | 情報提供・キャンペーンの告知 |
配信内容 | シナリオに基づく段階的なコンテンツ | 最新情報・お知らせなど |
ステップメールとメルマガの大きな違いは、配信のタイミングと仕組みにあります。
ステップメールは、資料請求や会員登録といったユーザーの行動をきっかけに、あらかじめ設定したシナリオに沿って段階的に自動配信されるメールです。配信内容やタイミングは、顧客一人ひとりの関心や行動履歴に応じて最適化されるのが特徴です。
一方でメルマガは、あらかじめ登録された会員に対して、企業側のタイミングで一斉に同じ内容が配信されます。新商品情報やセールの告知、キャンペーンなど、幅広い情報を短期間で届けたい場合に効果的です。
ステップメールとメルマガの例文
- ステップメールで送信されるメールの例
- 【1通目】セミナー参加のお礼
→【2通目】セミナーで紹介した製品情報
→【3通目】製品導入で悩みが解決された事例
- メールマガジンで送信されるメールの例
-
- 明日10時から□□をテーマにしたセミナーの申込受付をします。
- 新サービスを始めました。詳細は△△です。
メルマガもステップメールも顧客にとって有益な情報を発信することに代わりはないものの、ステップメールは一人ひとりに合わせた内容やタイミングでの配信が可能です。
ステップメールの4つのメリット
ステップメールには、主に4つのメリットがあります。
1.段階的に顧客の購買意欲を育成(ナーチャリング)できる
顧客の知識・関心などを段階的に育てていきます。初歩的な知識しかない顧客であったとしても、サービスや商品のメリットや知識を段階的にステップメールで分かりやすく伝えれば、少しずつ興味関心や購買意欲を高めることが可能です。
2.顧客との関係を維持できる
初回、1週間後、1カ月後、2カ月後…など、期間を空けて何度も送信することで、見込み顧客と定期的にコンタクトをとり、顧客から自社サービスを忘れられることを防ぎます。
適切なタイミング・内容でメールを送信すれば、見込み顧客へ自社商品の詳細や企業イメージなどが伝わりやすくなるでしょう。
3.効果検証を繰り返すことで、顧客を選別できる
ステップメールの実施により得られる開封率やクリック率といったデータの解析などによって顧客をランク付けし、購買意欲が高まっている顧客を選別できます。1回のメール送信だけでは「たまたま忙しくて開けなかったのか」「内容に興味がないのか」など判断が難しく、見込み度合いを把握することが難しいのですが、ステップメールのように複数回配信を行えばデータの信ぴょう性が高くなるでしょう。
マーケティングオートメーションを使えば、見込み顧客の情報とWebサイト訪問回数や滞在時間といったデータが取得でき、より関心が高い顧客をスコアリングできるようになります。
4.一度設定すれば、マーケティングの効率化ができる
ステップメールはツールを導入し、シナリオを設定することで自動化が可能です。「資料ダウンロードをした見込み顧客へ1回目にはこのメール、2回目はこちら…3回目は…」と設定するだけで、マーケティングオートメーションツールが見込み顧客へのステップメールを自動で送ってくれます。
資料ダウンロードをするタイミングは一人ひとり違いますが、1ヶ月前にした人にも今日した人にも同じ内容のメールをツールが送ってくれるのです。
ツールでは差し込み機能で送信先となる相手の名前を入れることもでき、内容に「〇〇さん」と入っていると受け取った人は自分宛のメールだと感じやすくなります。よって、ステップメールを使えば、一人ひとりに合わせたマーケティングを効率的に展開できるのです。
ステップメールのデメリット
デメリットは主に2つあります。
1.シナリオ作成やメール作成に時間がかかる
1通で完了するメルマガ配信と違って複数のメールを配信するステップメールでは、シナリオの作成やメール作成に時間がかかります。各メールを配信するタイミングやコンテンツの内容、Webサイト・ランディングページの遷移先などを考えたうえでステップメールを設計する必要があるため、工数がかかります。
「作成したメールをどの順番で配信するか」「配信するタイミング(曜日・時間帯)はいつにするのか」まで考えて設計しなければなりません。
2.KPIの設計が難しい
ステップメールを配信する際にKPIの設定を行わないと、目標が達成しているのか、達成していないのかが不明なため、施策の評価・改善が難しくなります。
特にセールスチームと協力してステップメールの施策を行うとなると、KPIの設定が難しくなります。KPIが「メールの開封率・クリック率」なのか「資料ダウンロード」なのか、それとも「アポ獲得」なのか、それぞれのチームによって異なってくるからです。
ステップメールの施策はセールスチームとの連携が重要になるので、各チーム間でKPIの設定を明確にしていくことが重要です。
ステップメール運用の9ステップ
ステップメールを実施する際は、メール本文を作成する前に準備すべきことがたくさんあります。そのため、ただコンテンツを作成するだけでは、十分な効果を生み出すことができません。ここでは、効果的なステップメールを設計するための手順を見ていきましょう。
1.目的を明確にする
ステップメールの目的は、商品の購入以外にもセミナーへの参加、資料のダウンロード、新商品の紹介などさまざまです。目的を定めてシナリオやメールの内容を考えることで、マーケティング、セールスチームとの認識のブレを防いだりKPIを達成しやすくなります。
2.ターゲットを絞り込む
効果的なステップメールを実現するには、配信対象となる顧客像(ターゲット)を具体的に定めることが不可欠です。年齢や業種、職種といった属性情報や、行動データなどをもとにセグメントを切り分け、関心や課題に応じたメッセージを届ける準備をしましょう。
3.カスタマージャーニーを作成する
カスタマージャーニーはターゲットとなるペルソナ(模擬人格)を設定し、ペルソナがどのような購買行動をとるのかシミュレーションすることです。カスタマージャーニーを描くことで顧客の心理やニーズが掴みやすくなり、より効果的にシナリオが設計できるようになります。
ホワイトボードやExcel、マインドマップなど、ツールやフォーマットに決まりはありません。自分やプロジェクトメンバーが理解しやすいカスタマージャーニーマップを作成し、可視化できるようにしましょう。
カスタマージャーニーの作成方法については、こちらのページで詳しく説明しています。
4.シナリオを設計する
カスタマージャーニーマップを見ながら、コンテンツを配信するタイミング、内容、ランディングページ(LP)の選定などを行います。
メールを読んでどんなアクションを起こしてほしいか、「どんな内容ならLPへのクリックをしてくれるか」「LPのデザイン・内容は適切か」などを一つひとつ考えていきましょう。
5.KPIを設定する
目的達成に向けて指標となる数値を具体的に定めます。KPIの設定を行わないと、成功しているかどうか測る物差しがないため、一連の施策に関して評価・改善が難しくなるからです。
配信前に、メールの開封率やクリック率、資料のダウンロード数など、それぞれ目標となる数値を決めておきましょう。
6.件名・本文を作成する
顧客の興味・関心に訴えかけるような相手目線の内容を心がけましょう。メール作成の中で一番重要なのは件名です。顧客がメールを開いて「読んでみたい」と思わせるような件名を考えましょう。
たとえば、「〇日まで限定」「△△で悩んでいませんか?」「CV率が3倍に上がった施策とは?」など、具体的な数字やペルソナの悩み、興味のあることを件名にしてみてください。
目的にもよりますが、自社製品のアピールだけでなく、顧客の知りたいことや悩みに答える内容も効果的です。顧客から信頼されるステップメールを送れば、セミナーの参加や資料ダウンロードの増加、さらには売上にもつながるはずです。
7.テスト配信を行う
顧客へ実際に配信する前に、テスト配信を行います。誤字脱字や表示画面に不具合がないか確認することも大切であるものの、改めて顧客の立場になってメールを確認しましょう。
メール全体の印象やコンテンツの読みやすさ、LPまでの導線などが分かりやすいか、配信対象が適切かなどをチェックします。
8.本配信を実施する
設定したスケジュールに沿って実際に配信します。メールアドレスが間違っているなどの理由でエラーとして返ってきたものがあれば、次回以降のメール配信リスト作成の妨げになるため、配信リストから削除します。
マーケティングオートメーションなどのメール配信ツールを使えば、届かないアドレスを自動で排除したりエラーの原因をレポートにまとめたりする機能がついていて便利です。
9.結果を分析・改善する
配信完了後は効果測定を行います。設定したKPIの目標数値の達成状況を参考に、PDCAを回していきます。
- 【ステップメールのPDCAの例】
-
- 1回目の開封率が40%だったのに対して、2回目は20%だった。20%下がった理由は?タイトル?送信時間?
→次はタイトルを工夫してみよう - URLクリック率は2%だった。もっとクリックされるには?URLまでの位置は適切?
→URL出現まで3スクロールを2スクロールにしてみたらどうか? - クリック率がよかったメールは、悪かったメールと何が違うのか?タイトル?内容?HTMLのデザイン?
→この内容をもっと深く掘り下げて反応を見よう
- 1回目の開封率が40%だったのに対して、2回目は20%だった。20%下がった理由は?タイトル?送信時間?
具体的なステップメールの事例
続いて、資料請求してくれた顧客を対象とした実際のステップメールの事例を紹介します。今回の目的(ゴール)はセミナー参加です。
- 1通目
- 「お礼メール」:資料請求してすぐ
お礼だけにとどまらず、これから送信される内容を案内すると、「次も開こうかな?」「楽しみだな」と思ってもらえるかもしれません。たとえば、以下のような文章を添えてみましょう。
「これから5回に分けて、【初心者でも分かる〇〇】を送信します。5回目の配信では、読者限定セミナーへ無料で招待しますのでお見逃しなく」
- 2通目
- 「ダウンロード資料に関連するホワイトペーパーの案内」:資料請求の3日後
- 3通目
- 「同じ資料をダウンロードした人がよく見る事例記事の案内」:資料請求の1週間後
- 4通目
- 「無料プラン申込みの案内」:資料請求の2週間後
- 5通目
- 「ダウンロード資料に関する過去のセミナーレポート記事の案内」:資料請求の3週間後
- 6通目
- 「最新セミナーの案内」:資料請求の4週間後
ステップメールの効果を高める配信数と間隔
ステップメールの配信頻度は、1日1通程度が適切とされています。1日に複数回メールを送ってしまうと、受信者にとって煩わしく感じられ、開封率の低下や配信解除につながる可能性があります。
また、ステップメールの配信タイミングと、通常のメルマガとの送信スケジュールが重なることは避けるべきです。同じ日に複数のメールが届くと、「しつこい」「営業色が強すぎる」といった悪印象を与え、効果が薄れてしまいます。
ツールを活用して配信スケジュールを最適化し、読者にとって心地よいコミュニケーションの頻度を見極めましょう。
ステップメールの効果を上げる5つのポイント
ここでは、ステップメールの効果を上げるポイントを解説していきます。
1.目的をしっかり社内で共有する
社内で目的の共有ができていないと、担当ごとに内容のブレが生じてしまいます。成果が上がるメールを作成するためには、「セミナー参加者数の増加」「資料ダウンロードを〇件増やす」といった明確なKPIを共有して取り組むことが大切です。
また、目的を欲張っていくつも設定すると社内で認識のブレが生じやすくなります。そのため、目的は一つに絞って作成することをおすすめします。
2.メールだけで内容を完結させない
配信するメールは、メールを読んだだけで顧客が全て理解できるようにしないことがポイントです。詳しい内容を知りたいと思った顧客をランディングページなどに誘導します。
ランディングページに訪れた顧客は、ほかの顧客に比べて期待値が高い顧客として選別することができ、メールだけでは伝えられない内容や訴求をすることができます。
3.改善箇所は1つずつ
ステップメールの改善をするときは、コンテンツ、配信時間帯、メールのタイトルなど色々と改善を試みたくなることでしょう。
しかし、一度に複数の改善を加えてしまうと、成果が上がった理由を確かめることができません。改善するときは、今回はコンテンツを改善、次回は配信時間帯を改善というように一つひとつ効果測定を行うとよいでしょう。
4.質の高いコンテンツを提供する
ステップメールは、読者が必要としている情報を提供することが大切です。読者が知りたがっている情報や課題は何でしょうか?読者に「読んでよかった!」と思ってもらえるメールの配信が、企業の信頼にもつながります。
ステップメールを配信し始めてから1カ月・1年…と時間が経過したら、提供しているメールのレビューや改善を繰り返しながら、最新の情報へアップデートをしましょう。
ツールの連携でステップメール配信を効率化しよう
ここまでご紹介したステップメールの配信を全て手動で実施するのは作業負荷が大きく、ミスや抜け漏れのリスクも高まります。そこで活用したいのが、メール配信ツールやマーケティングオートメーション(MAツール)です。
メール配信システムを使えば、あらかじめ設定したスケジュールに沿って自動的にメールを配信できます。しかし、より高度な配信設計や効果測定を行いたい場合には、MAツールの導入が効果的です。
MAツールについては、以下の記事で詳しく解説しています。
マーケティングオートメーションの「ステップメール機能」でできること
開封率 | クリック率 | アクセス解析 | |
---|---|---|---|
MAツール (List Finder) |
〇 | 〇 | 〇 CV率やクリックした後の顧客の行動まで分かる |
メール配信システム | 〇 | 〇 | × URLをクリックしたかどうかまでしか追えない |
ステップメールにおける、マーケティングオートメーションとメール配信システムの違いは、メールの閲覧状況に合ったフォローアップができるかどうかです。
まず、マーケティングオートメーションのステップメール機能を使った例を紹介します。
1通目は全員に同じメールを送り、開封してURLをクリック・資料をダウンロードしたAさん、開封してURLをクリックしたもののすぐに閉じたBさん、何もせず無視したCさんがいたら、2通目は3人へ別々のメールを送ります。
Aさんの購買確度はほかの2人より高いと思われるので、営業から電話する・アポを取ってみるといった施策をとるのもよいでしょう。AさんのWeb上での行動履歴から興味のある商品を営業にシェアすれば、商談の手掛かりになります。
一方、メール配信システムではAさんとBさんは「URLをクリックした人」という扱いですが、実際は2人の興味度合いには差があります。AさんとBさんを区別してステップメールを送信できるのはマーケティングオートメーションだけです。
BtoBに特化したマーケティングオートメーション「List Finder」なら、いきなり複雑なシナリオ設定をする必要はありません。マーケティング初心者でも簡単で、メール配信システムより詳細な分析でマーケティング・営業の効率化を実現します。
「List Finder」のステップメール機能については、こちらのページに詳しくまとめています。
まとめ:ステップメールはPDCAを繰り返し、マーケティングオートメーションと相乗効果を狙おう
BtoBなど顧客の比較検討時間が長くなる商材の場合、長期間に渡って顧客との関係性を継続できるステップメールは重要なマーケティング施策の一つです。
メール閲覧状況だけでなくWeb行動履歴も追えるマーケティングオートメーションを使えば、ステップメールの効果測定がより効率よくできるようになります。メール配信だけにとどまらず、一歩進んだマーケティングを考えているなら、マーケティングオートメーション「List Finder」の導入を検討してみてください。
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