インサイドセールスとは?活動のポイントとフィールドセールスとの違い
従来の営業活動は外回りが中心で、顧客に対面して直接要望を聞いたり、提案を行ったりしてきました。しかし各分野で競合が激化し、多くの企業が潜在顧客の獲得に向けて活発な動きを見せる中で、営業活動の在り方も徐々に見直しを余儀なくされています。
そんな中、効率的に新規顧客を開拓するための新しい営業の形として「インサイドセールス」と呼ばれる営業スタイルが注目され始めています。今回はインサイドセールスの定義や活動、フィールドセールスとの役割の違いについてご紹介します。
- ▼この記事で分かること
-
- インサイドセールスの概要とフィールドセールスとの違い
- インサイドセールスのメリットとデメリット
- インサイドセールスの成功事例
- インサイドセールスを成功させるポイント
- マーケティングオートメーションツール
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Contents
インサイドセールスとは?
インサイドセールスは、主に潜在顧客の発掘に焦点を絞って活動する営業手法です。
「過去にWebサイトで資料請求をしてくれた顧客」、「展示会やセミナーで名刺交換をした相手」など、さまざまな形で眠ったままになっている顧客が存在しています。企業間の競争が激しくなるにつれて、このような潜在顧客を掘り起こして案件化することが必須となってきました。
しかし営業担当は、目の前の既存顧客のフォローやクレーム対応、提案活動などの業務で忙しく、なかなか新規顧客の開拓までは着手できないのが実情です。そのため、営業活動を分業化して、見込み顧客発掘に特化した部隊であるインサイドセールスをつくることが考え出されました。
見込み顧客の発掘に特化したインサイドセールスは、外に出て対面で営業活動をすることはありません。電話やメールなどを利用して見込み顧客にアプローチする、常に社内で活動する営業スタイルのため、インサイドセールスと呼ばれています。
インサイドセールスの役割
では具体的に、インサイドセールスではどのような営業活動を行うのでしょうか。
インサイドセールスは、潜在顧客のリストをもとに、電話やメールで相手にコンタクトを取ります。アポイントの獲得が第一の目的であるものの、需要がない顧客にも定期的にコンタクトを取り続けて購買意欲を高め、ニーズが発生するタイミングをつかむようにします。
見込み顧客はニーズが発生したときに、自社に問い合わせをしてくるとは限りません。そのため、案件化できそうなニーズが発生したタイミングを逃さないように、インサイドセールスでアプローチし続けることが大切です。
フィールドセールスとの違いを理解する
インサイドセールスに対して、従来の外回りの営業担当をフィールドセールス、またはアウトサイドセールスと呼びます。
フィールドセールスは基本的に顧客のもとに出向き、対面で商談を進めます。具体的な提案をしたり、クロージングを掛けたりする役割です。すでにある程度ニーズが明確になっている相手に対して案件を醸成したり、既存顧客から継続契約を獲得したりする業務に専念することが求められます。
両者の役割は、まずインサイドセールスが、潜在顧客の中から商談に移行できた見込み顧客を、フィールドセールスに渡します。そこからはフィールドセールスが商談などの具体的な営業活動を行うのが一般的です。
もし失注になったら、その顧客情報はまたインサイドセールスに戻り、次の商談の機会を逃がさないようコンタクトを取り続けます。
この営業活動の流れにより、インサイドセールスは新しい商談の可能性を常に探ることになり、フィールドセールスは見積りや提案書の提出、商談等に専念できるので、効率の良い営業活動につながります。
インサイドセールスとテレアポの違い
インサイドセールスとテレアポは「電話をかける」、「内勤」という点で同じと思われがちですが、役割が違います。両者の違いを表にしました。
インサイドセールス | テレアポ | |
---|---|---|
架電先 | 見込み顧客(少数) | 顧客リスト全員(大量) |
購買意欲 | 高い | 認知していない~高い (購買意欲が低い顧客のほうが多い) |
KPI | 見込み顧客の育成、アポ獲得件数 | 架電件数、アポ獲得件数 |
インサイドセールスは見込み顧客へのヒアリングや情報提供などを通して購買意欲を高めていき、最終的にアポを獲得することを目的としています。
一方、テレアポはとにかくたくさん電話をかけ続けることでアポ獲得を目指しており、一度断られたら継続してフォローすることはあまりありません。
同じ内勤営業であり、アポ獲得という最終的な目標は同じですが、見込み顧客一人ひとりの課題や興味に合わせてアプローチするインサイドセールスと、一方的な売り込みを行うテレアポは別の手法なのです。
インサイドセールスの種類
インサイドセールスは、「SDR(反響型)」と「BDR(新規開拓型)」の2種類に細分化でき、それぞれ異なる方法でアプローチを行います。
役割 | 関心度合 | 手法 | |
---|---|---|---|
SDR (反響型) |
自社に問い合わせのあった見込み顧客に対してアプローチを行う反響型営業手法 | すでに自社のことを認知している現在層である、関心度合いが高い状態 | 担当者への電話 メルマガ配信 |
BDR (新規開拓型) |
新規開拓型の営業手法 | まだ自社を認知しておらず、関心度合いは低いことが多い (購買意欲が低い顧客のほうが多い) |
代表宛の電話 DM |
SDR(反響型)
SDRとは「Sales Development Representative」の略で、自社サイトからの問い合わせや、資料請求といったインバウンドマーケティングによって集めた見込み顧客を案件化し、フィールドセールスに引き渡すのが役割です。反響型のインサイドセールスとも呼ばれます。
顧客からの能動的なアクションに対してアプローチを行うことができるSDRは、顧客の興味や関心が高い状態であり、商談化しやすいのが特徴です。
BDR(新規開拓型)
BDRとは「Business Development Representative」の略で、新規開拓型のインサイドセールスです。SDRがインバウンド型であるのに対して、BDRはアウトバウンドセールスが主体となります。
ターゲットに対して、営業担当者自らメールやテレアポを使ってアプローチを行い、新規顧客を開拓をしていきます。
自社のターゲット企業に直接アプローチできるBDRは、大きな成果を出しやすいという特徴があります。
インサイドセールスのメリットとデメリット
インサイドセールスを導入している企業は増加しており、さまざまな企業で活用されています。活用することで得られるメリットとデメリットについては以下の通りです。
メリット
- 1.長期間にわたるリードナーチャリングができる
- BtoBビジネスでは購買決定まで長期間かかるため、顧客の行動から何を求めているのかを分析しつつ、数カ月~数年にわたるアプローチが必要です。確度が低い見込み顧客へはインサイドセールスが関係性の構築と維持をすることで、機会損失を防ぎます。
- 2.マーケティング部門と営業部門の連携による業務効率化
- 企業の営業活動において、業務の効率化やコストの削減を行い、費用対効果を高めることが必要です。とはいえ、現在はすぐに案件化しないリードとも関係構築し、ナーチャリングしなくては案件獲得につながりにくくなっています。インサイドセールスは、こうした案件に対応し、業務の効率化を図ることができます。
- 3.ITツールを有効活用し、営業コストを削減できる
- インサイドセールスはメールや電話、ITツールなどを使って営業活動をするので、直接訪問するフィールドセールスより人的コストや交通費などがかからず、大勢の見込み顧客へアプローチをかけられます。
ITツールの導入は初期コストがかかりますが、分析やメールの送信などを自動で行えば、手動よりも効率よくでき、長い目で見るとプラスになるはずです。インサイドセールスはリードの獲得コストを抑えることにもつながるのです。
デメリット
- 1.運用体制の構築が必要
- マーケティング部門やフィールドセールス部門と連携して綿密な情報共有を行わないと、インサイドセールスの強みが活かしきれず受注率が下がってしまうケースもあります。
そうならないためにも、フィールドセールスとインサイドセールスの両部門が二人三脚で顧客育成を行うことや、各連携部門と定期的な情報共有を行い綿密な連携ができる仕組みづくりが必要です。
- 2.信頼関係の構築が難しい
- インサイドセールスは基本的に、電話やメールなど非対面での営業活動を行います。
この方法は、対面での営業活動と比べ、信頼関係の構築やコミュニケーションの機会が制限されるため、スムーズな意思決定やニーズの把握が難しくなる場合もあり、その点がデメリットといえるでしょう。
こちらの記事では、インサイドセールスのメリットについてより詳しく解説しています。
インサイドセールスに欠かせないマーケティングオートメーション(MA)の活用
ここまで、インサイドセールスの役割やフィールドセールスとの連携について解説してきました。インサイドセールスの活動において、見込み顧客の製品・サービスへの興味・関心度合いをデータとして蓄積し、活用することが大切です。
こういった活動に必要なのがマーケティングオートメーション(MA)ツールです。
マーケティングオートメーションは、見込み顧客の情報を一元管理しながら、購買意欲を引き上げるリードナーチャリングを効率よく実施できるツールです。メール配信とCookieを利用した個人解析で、見込み顧客が自社の製品・サービスサイトに来訪した履歴を分析することができるため、膨大な見込み顧客リストの中から興味・関心度合いが高い見込み顧客の抽出が可能です。
インサイドセールスとフィールドセールスで分業化している企業の多くは、SFA(Sales Force Automation)やCRM(Customer Relationship Management)といった営業支援ツールと一緒にマーケティングオートメーションを利用しています。
マーケティングオートメーションはSFAやCRMとデータ連携することで、マーケティング部門→インサイドセールス→フィールドセールスまで一貫したデータ管理が可能です。インサイドセールスを導入するなら、マーケティングオートメーションの導入も検討してみてください。
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インサイドセールスの成功事例
ここでは、たった1通の掘り起こしメルマガから、温度感の高い顧客にアプローチをして、6商談を獲得した事例をご紹介します。
過去、案件化が進まず、失注となったリードが300人ほどありましたが、ここにアプローチできる営業リソースがなく、優先度が低くなっていました。
そこで、マーケチームと連携・協力をし、MAツールを活用して失注リードにメルマガ配信。その後、見込み顧客の閲覧データを確認して、優先度をつけてアプローチをしました。
メルマガ配信後には、クリック者や日程調整ツールでスケジュール調整した方に対してインサイドセールスチームが追客をしたことで、結果、6商談を獲得できました。
セールスチームでは追いきれない数のリードでも、MAを活用したことで「温度感の高い顧客」を見つけ、集中的にアプローチしたことで、多くの商談を獲得することができました。
インサイドセールス成功企業の共通ポイント
ここでは、前述した事例から共通する点を見ていきましょう。
データ活用による効果的なタイミングでのアプローチ
ほとんどの企業が、顧客データを活用してリードをセグメント化し、ターゲットとなる見込み顧客に的確なタイミングでアプローチすることができています。
チーム連携による営業効率化
2つ目の共通ポイントは、マーケティングチームやカスタマーサポートチームとの連携が強固であることです。見込み顧客が最も必要としている情報を提供することで、営業効率を高めています。
長期的な顧客関係の重視
新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客との長期的な関係構築を重視し、アップセルやクロスセルの機会を逃さないようにしています。
これらの事例から、インサイドセールスを成功させるためには、デジタルツールやデータを活用し、顧客に適切なサポートを提供することが重要であることが分かります。
成功のカギを握る、フィールドセールスとの連携
インサイドセールスの電話やメールによる営業と、フィールドセールスの対面による営業の違いやそれぞれの役割分担を明確にし、情報共有を徹底し、密に連携することで、受注・契約の成功率はアップするでしょう。
インサイドセールスの役割はコンタクト量を増やすだけではありません。見込み顧客へのアプローチの中で、どのような情報が得られたか、相手が今どのような状況にあるのかなどの顧客情報の整理もインサイドセールスの重要な活動です。
整理された顧客情報をフィールドセールスに渡すことで、具体的な商談が始まったときにスムーズな提案や見積もりが可能となります。
また、フィールドセールスからインサイドセールスへのフィードバックも重要です。例えば、フィールドセールスがうまく受注につなげられなかった際に、なぜうまくいかなかった要因を把握しておくことで、再度アプローチする際に、より高い確度でフィールドセールスに渡すことが可能になります。
インサイドセールスとフィールドセールスをうまく連動させるには、人材教育も必要となり、マネージャー層の状況管理能力も求められるでしょう。しかし、インサイドセールスとフィールドセールスの分業化が確立してしまえば、営業活動の生産性を高められる可能性が十分にあります。
まとめ:インサイドセールスを活用し、営業効率を改善しよう
BtoBの情報収集方法、ひいては購買に至るまでのプロセスが変化している現在、対面での商談をメインとする従来の営業スタイルは見直されつつあります。インサイドセールスの導入は営業の無駄をなくし、効率の改善につなげることができるでしょう。
是非、自社に合った役割や情報共有方法などを模索しつつ、チャレンジしてください。