MQLとは、マーケティング活動によって創出された確度の高い見込み顧客のことで、BtoBマーケティングでは基本的な用語として使われることが多くあります。
この記事では、改めてMQLの概要、MQL創出の仕方や課題まで詳しく解説していきます。
- ▼この記事で分かること
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- MQLの概要
- MQLとSQLの違い
- MQLを創出する3つのステップ
- MQLの課題と課題解決のポイント

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Contents
MQLとは?
MQLとはMarketing Qualified Leadの略で、マーケティング活動によって創出されたリードのことを指します。つまり、企業にとっての良質な見込み顧客であり、ホットリードと呼ばれることもあります。
たとえば、展示会出展による名刺獲得やホワイトペーパーのダウンロ―ドによって増やした見込み顧客に対して、メルマガ配信などで有益な情報提供を続けることで、自社商品やサービスに対する検討度合いの引き上げや、リードナーチャリングを行います。
その結果、一定以上の検討度合いとなった見込み顧客を「MQL」と呼びます。
MQLを定義すべき理由
MQLを定義すべき理由は、効率的な営業活動を行える点にあります。たとえば、購買意欲の高まっていない見込み顧客に対して、営業を行った場合、成約までに多くの時間をかける必要があるでしょう。時間をかけた結果、失注につながることも考えられます。
そこで成約への可能性が高い見込み顧客である「MQL」に絞って営業活動を行うことで、業務の効率化を図ることができます。
昨今、日本の少子高齢化や人口減少による人員不足、働き方改革などにより、これまでのような営業活動を行うことが難しくなっているからこそ、このような業務効率化が求められており、MQL創出が必要とされているのです。
SQLとは?
SQLとは、Sales Qualified Leadの略で営業活動によって作られた見込み顧客のことを指します。
すでにニーズが顕在化していて、直近での購入予定や導入時期が決まっているなど、購入の意思が明確なことが特徴です。
MQLとSQLの違い
ここでMQLとSQLの違いですが、両者は全くの別物という訳ではありません。マーケティング部門がMQLと判断し、営業部門に引き継いだ見込み顧客を精査した結果、ニーズが顕在化していて購入確度が高いと判断できた見込み顧客がSQLとなります。
つまりMQLとSQLの違いは、受注に向けて営業部門がフォローを本格的に始める基準を満たしているかどうかということです。
MQLを創出するメリット
ここではMQLを創出することで得られるメリットについて見ていきましょう。
営業業務を効率化できる
見込み顧客の育成がされていない状態で引き渡されたリードは、営業部門でのフォロー工数が増えてしまうことが課題とされていました。
しかし、リードナーチャリングによりすでに優良な見込み顧客に育成されているMQLを創出することにより、営業部門が優先的にアプローチすべき顧客を明確に特定できます。これにより、営業担当者はリード全体の中から質の高い見込み客に集中でき、無駄な労力を削減することが可能です。
このように、営業活動の効率が高まり、時間とリソースの無駄を最小限に抑えることができます。
顧客理解を深めることができる
MQLは顧客の購買プロセスにおける関心度を示す指標としても活用されます。
MQLとして認定されたリードは、Webサイト上のフォーム送信やホワイトペーパーのダウンロードといった特定のアクションを通じて、興味を示している場合が多いです。そのため、営業担当者はそのリードに対して適切な情報を提供し、効果的にフォローアップすることで、より高い確率で成約につなげることができます。
売上の拡大
自社の商品やサービスに対して関心度合いの高いMQLですが、まだ購入することが決まっているわけではなく、予算や購入したいと考える商品が定まっていないことも多くあります。反対に言えば、決まっていないからこそ付加価値を付けた提案を受け入れてくれる可能性もあるといえます。
そこで営業側から課題や予算感をヒアリングし、見込み顧客のニーズに合った商品やサービスを提案することができれば、売上の拡大やリピート率を向上させることにもつながります。
LTVの向上やリピーター獲得につながる
MQLを利用することで、マーケティングと営業チーム間の連携が強化されるというメリットもあります。両チームが共通の基準でリードの質を評価することで、目標を共有しやすくなり、組織全体のパフォーマンスが向上します。
この一貫性は、リードのナーチャリングプロセスにも影響を与え、顧客満足度の向上やリピーター獲得にもつながります。
ROIの向上につながる
MQLの創出は企業のROI(投資対効果)を向上させる要因ともなります。
通常、新規顧客獲得には、既存顧客の育成に比べ5倍の費用が掛かるとされています。そのため新規顧客の獲得ばかりに力を入れていると利益率があがらず、ビジネスとしても安定しません。
MQLの創出により、質の高いリードをターゲットにすることで、マーケティング費用の最適化が可能となり、成約率の上昇による収益増加が期待できます。この結果、全体的なマーケティングおよび営業戦略の成功率を高めることができるのです。
MQLを創出する3つのステップ
MQLは、リードジェネレーション・リードナーチャリング・リードクオリフィケーションの手順を踏んで創出します。ここからは、この3つのステップについてご紹介していきます。
step1:見込み客の獲得(リードジェネレーション)
MQLを創出するためにはまず、リードジェネレーションから始まります。リードジェネレーションとは、見込み顧客の獲得のことです。具体的には、展示会やセミナー開催での名刺交換、自社のWebサイトからの資料請求や会員登録などで顧客情報を獲得します。
この段階でターゲットの幅を絞りすぎると、MQLとなり得る顧客数が減ってしまいますが、逆にターゲットの幅が広すぎてもMQLとなる可能性が低い見込み顧客ばかりを集めることとなってしまうため、自社のデータや市場環境を考慮し、事前にMQLとしたい人物像を明確にしてから始めることが大切です。
リードジェネレーションについては、こちらで詳しく解説しています。
step2:見込み客の育成(リードナーチャリング)
次に獲得した見込み顧客を購買意欲の高い見込み顧客へと育成するリードナーチャリングを行います。step1で獲得した見込み顧客は、まだ購買意欲が低いため、顧客の検討度合いに合わせた施策を行い、見込み度合いを高めていきましょう。
具体的には、メルマガの配信や、セミナーの開催、ホワイトペーパーの提供などがあります。
リードナーチャリングについては、こちらで詳しく解説しています。
step3:見込み客の絞り込み(リードクオリフィケーション)
リードナーチャリングで見込み顧客の購買意欲を高めることができたら、その中から確度の高い見込み顧客の絞り込みを行います。ここでは、営業部門に引き渡す基準を明確に定めることが重要となります。
基準があいまいだと営業に引き渡したときに業務の効率を下げてしまうこともあるからです。営業部門のフォローができるだけ少なく、商談化へとつながる見込み顧客を絞り込みましょう。ここで絞り込まれた見込み顧客が「MQL」となります。
リードクオリフィケーションについては、こちらで詳しく解説しています。
MQLに関するよくある課題
MQLの課題についても確認しておきましょう。
商談化に時間がかかる
MQLはSQLに比べると、商談化までに時間がかかるとされています。SQLは、すでにニーズや予算感、導入時期などが明確になっている分、商談スピードが早く、受注につながりやすい傾向にあるため、営業担当の労力が比較的少ないといえます。
これに対してMQLは、受注確度が高まっているとはいえ、導入時期が未定であるため営業担当者が中長期的にコミュニケーションを取るなどし、SQL化させることが必要であり商談化までに時間がかかることが課題の1つです。これにより、MQLの対応が後回しになってしまうことがあります。
放置することで機会損失につながる
上述したようにMQLの対応が後回しになり、放置することでいつのまにか競合他社に顧客が流れてしまい、機会損失となっていることもあります。
MQLはSQLと比べると受注までの時間はかかるかもしれませんが、市場競争が激しい昨今の状況下で、MQLにもアプローチし市場を広げることは重要といえます。
このような機会損失を生まないよう、MQLもSQLと同様の価値があると考え、MQLへのアプローチを行い、SQLへの転換へとつなげていくことが大切です。
課題を解決する2つのポイント
上述したような課題もあるMQLですが、それらの課題を解決するために意識しておく点についても確認しておきましょう。
MQLの定義を明確にする
MQLの対応が後回しになってしまう要因として、商談化までに時間がかかることがあります。これは、マーケティング部門と営業部門で「MQLの定義」の認識が異なることで、営業部門がまだフォローに値する見込顧客ではないと判断してしまうためです。
そこでまずは、マーケティング部門と営業部門で認識のすり合わせを行い、MQLの定義を明確にしておく必要があります。
MQLの定義を考える際には、どういった行動をとった場合に検討レベルが高いと判断するのか、見込み顧客の行動に応じてスコアを算出するスコアリングを活用することで、明確な定義を定めることができ、部門間での認識のずれが起こりにくくなります。
マーケティング部門と営業部門の連携
マーケティング部門は、MQLを営業部門に引き渡して終わりではなく、引き渡した後も両部門の連携が取れていることが大切です。
具体的には、どのような経緯で創出されたMQLなのか、獲得の経緯や、これまでのアプローチ履歴といった様々な情報を、マーケティング部門と営業部門で共有できる体制作りが重要となります。またこれらの情報は、その後の商談や受注後の分析でも活用することができるため、部門間で必ず共有すべき情報と言えます。
スムーズな連携にはMAツールの活用が効果的
MQLやSQLの顧客情報を正確かつ迅速に共有するためには、MAツールやSFAといったITツールの活用が効果的です。これらのツールの活用は部門ごとのこれまでの活動の履歴やプロセスが可視化され、情報共有がしやすくなります。マーケティング部門から営業部門まで一貫して連携することで、両部門とも効率的な業務を行うことができるでしょう。
さらに、MAツールは見込み顧客の行動履歴やスコアリングを自動化するため、営業部門は優先度の高いリードに集中してアプローチすることが可能です。一方、SFAツールは商談進捗や顧客情報の一元管理を実現し、的確なタイミングでのフォローアップを支援します。
このように、各ツールを組み合わせて活用することで、情報の抜け漏れや業務の非効率を防ぎ、マーケティングと営業の連携をさらに強固にすることができます。
MAツールについては、こちらをご覧下さい。
MAツールを活用してMQLの創出に成功した事例
あるBtoB企業では、リードの数自体は確保できていたものの、リードの優先順位を判断する基準が不明確で、リードナーチャリングが十分に機能していない状態でした。その結果、購買意欲が低い段階のリードに対して営業をかけることが多く、営業チームの負担が大きいにも関わらず、成約率が伸び悩むという課題に直面していました。
この状況を改善するため、リード管理とナーチャリングプロセスを強化する施策を開始しました。
具体的には、まず、見込み顧客に対して定期的にメールを配信しました。この際、MAツールを活用して、各リードの行動データを分析し、興味や関心を示したトピックに基づいたパーソナライズされたコンテンツを提供しました。
さらに、製品情報だけでなく、顧客が抱える課題の解決に役立つノウハウや業界の成功事例など、多様なコンテンツを提供することで、リードとの関係性を深めることができたのです。
その結果、商談機会が大幅に増加し、MAツールを用いたリードスコアリングによって、営業チームは購買意欲の高いリードを優先的にフォローすることが可能となり、商談への移行率も向上しました。
また、定期的なコミュニケーションを通じて、見込み顧客との信頼関係が強化され、購買検討時期にスムーズに商談に進むケースを増加させることができたのです。
このように、MAツールの活用により、リード管理とナーチャリングプロセスを効率化し、MQL創出に成功しただけでなく、営業活動の効率化と成約率の向上を実現しました。
まとめ
MQL(Marketing Qualified Lead)は、マーケティング活動を通じて、一定の購入意欲や関心を示したリードを指します。SQL(Sales Qualified Lead)は、さらに具体的な購買検討段階に進んだリードです。MQLを創出するには、ターゲットペルソナの明確化、コンテンツ提供、MAツールの活用が効果的です。
これにより、質の高いリードを育成し、営業チームへの引き渡しをスムーズに進めることが可能となります。このように、効率的なMQLの創出は、成約率向上と売上拡大につながります。