MQLとは?SQLとの違いやMQLを創出する方法

マーケティング全般

MQLとは?SQLとの違いやMQLを創出する方法

MQLとは、マーケティング活動によって創出された確度の高い見込み顧客のことで、BtoBマーケティングでは基本的な用語として使われることが多くあります。
この記事では、改めてMQLの概要、MQL創出の仕方や課題まで詳しく解説していきます。

MQLとは?

MQLとはMarketing Qualified Leadの略で、マーケティング活動によって創出されたリードのことを指します。つまり、企業にとっての良質な見込み顧客であり、ホットリードと呼ばれることもあります。

例えば、展示会出展による名刺獲得やホワイトペーパーのダウンロ―ドによって増やした見込み顧客に対して、メルマガ配信などで有益な情報提供を続けることで、自社商品やサービスに対する検討度合いの引き上げや、リードナーチャリングを行います。
その結果、一定以上の検討度合いとなった見込み顧客を「MQL」と呼びます。

MQLのメリット

営業業務効率化

見込み顧客の育成がされていない状態で引き渡されたリードは、営業部門でのフォロー工数が増えてしまうことが課題とされていました。

しかしMQLは、リードナーチャリングによりすでに優良な見込み顧客に育成されており、営業部門に引き渡せる状態のリードです。それにより、営業やインサイドセールスが改めてフォローを行う時間が少なくなり、効率の良い営業活動を行うことができます。

売上の拡大

自社の商品やサービスに対して関心度合いの高いMQLですが、まだ購入することが決まっているわけではなく、予算や購入したいと考える商品が定まっていないことも多くあります。反対に言えば、決まっていないからこそ付加価値を付けた提案を受け入れてくれる可能性もあるといえます。

そこで営業側から課題や予算感をヒアリングし、見込み顧客のニーズに合った商品やサービスを提案することができれば、売上やリピート率を向上させることにもつながります。

LTVの向上

MQLは、商品やサービスに興味・関心があり購買意欲が高い状態とされており、購入後はリピーターになってくれることもあるでしょう。

新規顧客獲得には、既存顧客の育成に比べ5倍の費用が掛かるとされています。そのため新規顧客の獲得ばかりに力を入れていると利益率があがらず、ビジネスとしても安定しません。MQLの育成に力を入れることは、リピーター獲得につながり、結果としてLTVさらには利益率の向上も期待できます。

MQLとSQLの違い

両者の違いの前にまずは、SQLについて確認しておきましょう。SQLとは、Sales Qualified Leadの略で営業活動によって作られた見込み顧客のことを指します。
すでにニーズが顕在化していて、直近での購入予定や導入時期が決まっているなど、購入の意思が明確なことが特徴です。

ここでMQLとSQLの違いですが、両者は全くの別物という訳ではありません。マーケティング部門がMQLと判断し、営業部門に引き継いだ見込み顧客を精査した結果、ニーズが顕在化していて購入確度が高いと判断できた見込み顧客がSQLとなります。

つまりMQLとSQLの違いは、受注に向けて営業部門がフォローを本格的に始める基準を満たしているかどうかということです。

MQLを創出する方法

ここからは、見込み顧客の中からMQLを創出する3つのステップについてご紹介していきます。

step1:見込み客の獲得(リードジェネレーション)

MQLを創出するためにはまず、見込み顧客を獲得することから始まります。展示会やセミナー開催での名刺交換、自社のWebサイトからの資料請求や会員登録などで顧客情報を獲得します。

この段階でターゲットの幅を絞りすぎると、MQLとなり得る顧客数が減ってしまいますが、逆にターゲットの幅が広すぎてもMQLとなる可能性が低い見込み顧客ばかりを集めることとなってしまうため、自社のデータや市場環境を考慮し、事前にMQLとしたい人物像を明確にしてから始めることが大切です。

step2:見込み客の育成(リードナーチャリング)

次に獲得した見込み顧客を購買意欲の高い見込み顧客へと育成するリードナーチャリングを行います。step1で獲得した見込み顧客は、まだ購買意欲が低いため、顧客の検討度合いに合わせた施策を行い、見込み度合いを高めていきましょう。
具体的には、メルマガの配信や、セミナーの開催、ホワイトペーパーの提供などがあります。

step3:見込み客の絞り込み(リードクォリフィケーション)

リードナーチャリングで見込み顧客の購買意欲を高めることができたら、その中から確度の高い見込み顧客の絞り込みを行います。ここでは、営業部門に引き渡す基準を明確に定めることが重要となります。

基準があいまいだと営業に引き渡したときに業務の効率を下げてしまうこともあるからです。営業部門のフォローができるだけ少なく、商談化へとつながる見込み顧客を絞り込みましょう。ここで絞り込まれた見込み顧客が「MQL」となります。

MQLのよくある課題

MQLの課題についても確認しておきましょう。

商談化に時間がかかる

MQLはSQLに比べると、商談化までに時間がかかるとされています。SQLは、すでにニーズや予算感、導入時期などが明確になっている分、商談スピードが早く、受注につながりやすい傾向にあるため営業担当の労力が比較的少ないと言えます。

これに対してMQLは、受注確度が高まっているとはいえ、導入時期が未定であるため営業担当者が中長期的にコミュニケーションを取るなどし、SQL化させることが必要であり商談化までに時間がかかることが課題の一つです。これにより、MQLの対応が後回しになってしまうことがあります。

放置することで機会損失につながる

上述したようにMQLの対応が後回しになり、放置することでいつのまにか競合他社に顧客が流れてしまい、機会損失となっていることもあります。

MQLはSQLと比べると受注までの時間はかかるかもしれませんが、市場競争が激しい昨今の状況下で、MQLにもアプローチし市場を広げることは重要といえます。
このような機会損失を生まないよう、MQLもSQLと同様の価値があると考え、MQLへのアプローチを行い、SQLへの転換へと繋げていくことが大切です。

課題を解決するために

上述したような課題もあるMQLですが、それらの課題を解決するために意識しておく点についても確認しておきましょう。

MQLの定義を明確にする

MQLの対応が後回しになってしまう要因として、商談化までに時間がかかることがあります。これは、マーケティング部門と営業部門で「MQLの定義」の認識が異なることで、営業部門がまだフォローに値する見込顧客ではないと判断してしまうためです。

そこでまずは、マーケティング部門と営業部門で認識のすり合わせを行い、MQLの定義を明確にしておく必要があります。

MQLの定義を考える際には、どういった行動をとった場合に検討レベルが高いと判断するのか、見込み顧客の行動に応じてスコアを算出するスコアリングを活用することで、明確な定義を定めることができ、部門間での認識のずれが起こりにくくなります。

マーケティング部門と営業部門の連携

マーケティング部門は、MQLを営業部門に引き渡して終わりではなく、引き渡し後も両部門の連携が取れていることが大切です。

具体的には、どのような経緯で創出されたMQLなのか、獲得の経緯や、これまでのアプローチ履歴といった様々な情報を、マーケティング部門と営業部門で共有できる体制作りが重要となります。またこれらの情報は、その後の商談や受注後の分析でも活用することができるため、部門間で必ず共有すべき情報と言えます。

おわりに:スムーズな連携にはMAツールが効果的

MQLやSQLの顧客情報を正確かつ迅速に共有するためには、MAツールやSFAといったITツールの活用が効果的です。これらのツールの活用は部門ごとのこれまでの活動の履歴やプロセスが可視化され、情報共有がしやすくなります。

マーケティング部門から営業部門まで一貫して連携することで、両部門とも効率的な業務を行うことができるでしょう。