【図解】マーケティングオートメーション(MA)でのシナリオ設計手順と4つのコツ

マーケティングオートメーション

【図解】マーケティングオートメーション(MA)でのシナリオ設計手順と4つのコツ

マーケティングオートメーション(MA)は、マーケティングに関する施策をサポートするためのツールのことです。導入する企業は増えつつありますが、うまく使いこなせず苦戦しているという声も聞きます。

このマーケティングオートメーションは見込み顧客(リード)の情報を整理し、購買意欲を育てていくツールですが、そのためにはリードの心情や行動に寄り添ったシナリオを担当者の手で作っていかなくてはなりません。

しかし、シナリオ設計が明確でなかったり、複雑にしすぎて利益の拡大につながらないこともあります。そこで今回は、マーケティングオートメーションを成功させるためのシナリオ設計について具体例を交えながら解説していきます。

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マーケティングオートメーションとは?

シナリオ設計の前に、マーケティングオートメーションについて簡単におさらいしておきましょう。マーケティングオートメーションとは、「新規見込み顧客の獲得から、商談化までのマーケティング施策を自動化するツール」のことです。

かつての日本のマーケティングは、人力に頼っており、担当者のスキルに一任している部分も多くありました。営業などに対しても、メールや対面で顧客の温度感を図りながら営業活動を行うなど、効率的ではありませんでした。

しかし現在では、顧客のニーズが分散化しつつあるため、人の手や言葉の温度感で顧客の意図を確かめることが難しくなっています。
そこで「見込み顧客に対する適切なコンテンツ提供」「ニーズが顕在化したタイミングのキャッチアップ」を自動化できるツールとして、マーケティングオートメーションが誕生したのです。

マーケティングオートメーションにおけるシナリオ

一般的に「シナリオ」と聞くと、映画やドラマで使われる場面展開やセリフ・演出をまとめたものを意味するでしょう。そこから転じて、ある計画を実現するための道筋のことを「シナリオ」と呼びます。

マーケティングオートメーションにおけるシナリオとは、「特定の行動を起こした見込み顧客に対してあらかじめ設定した行動を返す」というものです。
例えば、資料請求を行った見込み顧客に対して、さらに詳しい製品資料や悩みの解決につながる情報の提供を繰り返していくことがシナリオに該当します。

また、シナリオは、見込み顧客の育成段階であるリードナーチャリングで実践されています。マーケティングにおけるKPIは、資料請求、お問い合わせなど多岐に渡るものの、そこに至るまでの道筋を詳細に考え整えることで、より多くの見込み顧客がゴール(受注)に到達する割合を増やすことが可能です。

マーケティングオートメーションのシナリオ機能

シナリオに沿ったメールの自動配信

マーケティングオートメーションでは、設定したシナリオに沿ってメールを自動配信することができます。

例えば、自社サイトへのアクセスやメール開封の有無、さらにそのメールからクリックがあったかどうかなどをマーケティングオートメーションで判別し、その行動別にあらかじめ設定しておいたシナリオに合わせて、メールを自動で配信することができるのです。

リアクションに合わせたシナリオ分岐

メールを自動で配信した後の見込み顧客の行動に合わせてアプローチ方法を分岐させていくことも可能です。

例えば、「メールからWebサイトへアクセスが合った場合は営業から直接アプローチを行えるよう営業へ連絡。」「メールを開封したがWebサイトへのアクセスがなかった場合は別の内容のメールを配信する。」といったように、見込み顧客のアクションに基づいて、それぞれ異なるアプローチを行うことができるのです。

マーケティングオートメーションでシナリオ設計が必要な理由

マーケティングオートメーションでは、見込み顧客との関係性を築くために複数のプロセスやチャネルを組み合わせ、その見込み顧客にとってベストなタイミングでアプローチを行う必要があります。

シナリオ設計を行うことは、それらのプロセスを自動化し、より効果的なマーケティング活動を実施することができるようになるのです。
このことからも、マーケティングオートメーションではシナリオ設計が重要であるといえるでしょう。

また、シナリオ設計によってプロセスが自動化されることで、中長期的に見込み顧客との関係性を維持することが可能となります。顧客の関心の移り変わりが早いこの時代に、今はまだ購入可能性の低い見込み顧客に対しても、継続的に関係性を維持することにもつながるのです。

マーケティングオートメーションでシナリオ設計する3つのメリット

マーケティングオートメーションでシナリオを設計するメリットは以下の3つです。

業務の効率化

これまで手動で行っていた業務が、シナリオの設計により自動化することができます。それによりマーケティング業務が効率化され、時間や人的コストの削減につながるのです。
また、効率化されたことで空いた時間や人的リソース別の業務にを充てることができる点もメリットといえるでしょう。

機会損失の削減

膨大な数の見込み顧客全てを手動で管理しアプローチを行うことは難しく、気がついたときには他社製品を導入していたということもあります。

シナリオ設計では、特定の行動を起こした見込み顧客に対してあらかじめ設定した行動を返すことができ、見込み顧客の関心度合いに合わせた情報を適切なタイミングで発信できるようになります。これによりメールの送信忘れやアプローチ漏れなどがなくなり、機会損失の削減につながるのです。

コンバージョン率の向上

シナリオ設計を行うことで、見込み顧客の求める情報を適切なタイミングで発信することができるようになります。それにより購買プロセスが進み、コンバージョンにもつながりやすくなるといえるでしょう。

シナリオ設計の手順

マーケティングオートメーションのシナリオ設計を行うには、次の4つの要素が必要となります。

  • 誰に(ターゲット・ペルソナ)
  • 何を(クリエイティブ・コンテンツ)
  • いつ(行動)
  • どのように(手法)

ここでは、この4つの要素をもとにシナリオ設計の手順について説明していきます。

1.「誰に」ターゲットを明確にする

まずは、誰に対してシナリオを設定するかは企業・商材によって異なります。そのため、「誰に」の設計では、マーケティング対象を明らかにしていきましょう。

以下、具体的なターゲットの例を挙げていきます。

  • 資料請求をしたが商品の購入に至っていない人
  • メルマガの登録を確認できたものの、次の行動に移っていない人
  • Webサイトへの訪問を確認できるものの、具体的な行動に移っていない人

上記以外にもターゲットの設定は考えられるものの、どの属性を持つ人々に対してシナリオ展開するのか決定することからスタートしましょう。上記に対するシナリオ例はのちほど説明します。

2.「いつ」アプローチするタイミングを決める

「いつ」では、どのタイミングでアプローチを行うのか決定します。アプローチのタイミングの考え方は、主に以下の通りです。

  • 時間帯(メールの開封されやすい時間を考えるなど)
  • 起点行動(資料DL、Webサイトの閲覧など)
  • 頻度(連続して配信する場合)

アプローチのタイミングに関しては、慎重に検討する必要があります。配信の自動化はマーケティングオートメーションで行えるものの、配信を顧客が必ず受け取るわけではありません。

顧客にとって適切でないタイミングや頻度の配信を行った場合、メルマガの解除やブロック、あるいは顧客との関係が悪化する可能性があります。

3.「何を」配信するコンテンツを作成する

シナリオ設計における「何を」は、配信するコンテンツの内容を検討することです。「誰に」で設定した顧客が興味を持ちそうな内容をコンテンツに設定します。

コンテンツは、自社の紹介、提供している商品やサービスの紹介、サービスを使った事例、顧客の悩みが解消されるコラムの配信、セミナーへの招待、などを用意します。
顧客と継続した関係を築くためには、顧客目線に沿った信頼できるコンテンツを作成していきましょう。

4.「どのように」アプローチ手段を決める

「どのように」は、以下のような顧客へのアプローチ手段のことです。

  • ダイレクトメール
  • Eメール
  • SNS
  • 自社サイト・オウンドメディア
  • アウトバウンドコール
  • 営業

BtoBビジネスの一番重要なアプローチ方法はEメールです。1人1アドレス所持が当たり前ですし、社外の人とはメールでやりとりすることが多いからです。配信コストがかからず、ダイレクトに自社サイトへ誘導できるという利点もあります。

「誰に・いつ・何を・どのように」を踏まえたシナリオ例

前述したシナリオ設計の手順を踏まえて、シナリオを考えてみましょう。

シナリオ例1
【資料請求をしたが商品の購入に至っていない】
 →資料を読んで検討したと思われるタイミング(1週間後くらい)でフォローメールを送信
シナリオ例2
【メルマガのURLをクリックしていない】
 →配信しているメルマガでは解決できない別の悩みを抱えている可能性を考え、次の配信では別のコンテンツでメール送信
シナリオ例3
【何度かWebサイトに訪問してくれたものの、購入に至っていない】
 →次回のWebサイト訪問時にポップアップで資料請求ボタンを表示

重要なのは「見込み顧客にとって必要なタイミングで必要な情報を提供すること」です。顧客目線でどのようなアプローチが有効かを考えてみてください。

効果的なシナリオを作るための4つのポイント

シナリオは、十分な検討を重ねたうえで策定していく必要があります。ここでは自社の見込み顧客に対して適切なアプローチを行うための4つのポイントをみていきましょう。

ポイント1:自社の見込み顧客を見極める(ペルソナ設計)

ペルソナとは、自社がターゲットとする「お客様像」を指します。自社の製品・サービスの価値を提供できるのはどういったお客様なのかを想定しておく必要があります。
特にBtoBの場合は、「企業像」と「人物像」の両方を想定しましょう。

「企業像」のペルソナでは、業種や規模と併せて、自社製品に関わる課題の状況や製品が導入される際の状況を想定します。これまでのデータなどを分析し「どんな企業が」「どんな状況の時に」自社製品を検討してくれるのか想定しましょう。

「人物像」にあたる、企業担当者のペルソナでは「どんな部署の」「どんな立場・職種の人が」「どんな課題がある時に」自社製品を検討するのか想定します。ペルソナを設定する際は、既に取引をしている既存のお客様の情報を参考にしたり、一般に公開されている調査データ、アクセス解析データ等が参考になります。

また、ユーザー調査をして情報を集めても良いでしょう。

ペルソナ設計についてもっと詳しく知りたい方は、以下よりお役立ち資料をダウンロードできます。
「BtoB向け ペルソナ設計サポートブック」

ポイント2:見込み顧客の購買プロセスを考える(カスタマージャーニー策定)

設計したペルソナがどのように商品購入に至るのかを検討しましょう。

BtoBの場合、まず何かしらの課題があり、その解決に向けての情報収集から、製品検討が進んでいくことがほとんどです。購買フェーズが進む時々で、ペルソナがどんな課題を持ち、どんな情報を必要としているのかをデータ・アンケートなどを参考にしつつ、検討することが大切です。

顧客の購買プロセスは、マーケティングではカスタマージャーニーとも言われます。

カスタマージャーニー(イメージ)

このカスタマージャーニーに合わせて、適切なタイミングでメッセージを送ったり、こちらからアプローチすることで、より見込み顧客の検討度合いを高めることにつながります。

加えて、購買だけでなく、顧客に対してどのような効果を期待するのか考えることも重要です。

「商品購入後のリピートを増やしたい場合」を例として挙げると、「満足しているのでまた購入したい」人と「満足しなかったので購入するかどうか迷っている」人がいると推察されるため、後者に対して「どのような悩みを持っているか?」を考えていきます。

仮に「使い方がよく分からなかった」可能性があるのなら、「マニュアルを図解入りで分かりやすくする」「商品到着後すぐにマニュアルやサポートセンターの電話番号をメールで送る」などといった施策が必要でしょう。

ポイント3:見込み顧客とのコミュニケーション内容を設計する(キャンペーン設定)

カスタマージャーニーを元に、見込み顧客に対して「どのようなコンテンツ・クリエイティブを」「いつ見せるか」を設計していきます。

見込み顧客と一口に言っても、それぞれの課題やその緊急度は多種多様です。そのため、適切なコンテンツ・タイミングは見込み顧客1人1人異なります。

彼らの購買意欲を高め、検討フェーズを進めるためには、どんな検討フェーズのユーザーに、どのような情報を提供して、どういう状態になってもらいたいかという施策の設計が重要です。

例えば、Webサイトの製品紹介ページを閲覧したユーザーに、下記のようなキャンペーンを展開します。

  • 関連商品情報を提供する、
  • ユーザーが持つ「悩み」をテーマにしたセミナーの案内をする
  • セミナーの中で他社の導入事例を紹介する

提供するコンテンツの形や文章などによっても反応が異なってくるため、様々な施策を試すことが重要です。顧客のアクションに対して、返す行動を決めておきましょう。

ポイント4:PDCAサイクルをまわす

マーケティングオートメーションのシナリオは、一度設計して終わりではありません。PDCAサイクルを繰り返し作成したシナリオの改善点を洗い出しながら、ブラッシュアップを続けることが重要です。

そのためにも、はじめからあまりに詳細なキャンペーン内容を作成するのではなく、検証・改善を前提としたシナリオ設定は単純なキャンペーンからスタートすることをおすすめします。そのシナリオを微修正しつつ検証・改善を繰り返していくことで、成功モデルを作ることができるようになるからです。

また、顧客の属性もしくは行動に合わせてシナリオを書く必要があるため、どちらがより効果的なのか自社内で検討しましょう。興味・関心の高さは、BtoBであっても行動に現れます。そのため、まずは見込み顧客の行動に重点を置いたシナリオの策定を心掛けることがおすすめです。

BtoBならいきなり高度なシナリオは不要!

ここまでシナリオ設計の基本を解説したものの、高度なシナリオが不要な場合もあります。

特に見込み顧客が少ないBtoBの場合は、せっかく工数をかけてシナリオを設計しても当てはまる見込み顧客がおらず、十分効果を発揮できないことがよくあります。また、工数をかけたとしても、それが自社の課題をクリアする施策となるとは限らないため注意が必要です。

例えば、下の図をみてみましょう。自社の見込み顧客リストが2,000名前後で、Webサイト上での特定アクションに基づいてシナリオを設計し、3段階のステップを経て優良見込み顧客とした場合のモデルケースです。なお、各ステップでの想定割合は、弊社(及び弊社顧客)の実績を基に算出しています。

シナリオで絞り込んだイメージ

1回のメール配信からの開封率が40%、サイトに流入するのが30%とすると、流入者はおよそ240人となります。その内、各アクションをする割合をそれぞれ10%とすると、結果は0人です。

綿密なシナリオ設計をした結果、優良見込み顧客が何ヶ月も見つからない、という状態に陥ることもあり得ます。この場合は、綿密なシナリオを策定するのではなく、そもそもの見込み顧客の母数を増加させるか、メールの開封率をあげる施策が必要です。

またBtoB系の商材でよくあることとして、社内の体制や課題が複雑な場合、Webサイトのコンテンツやメール配信で得られる情報だけでは見込み顧客の検討度合いが上がらないことも多くあります。その場合は、顧客側の既存システムとの連携方法や導入後の具体的な運用体制の構築方法といった、社内の体制や課題を解決するような情報を営業から顧客に提供してみましょう。

細かくシナリオを設計することが、自社の売り上げの増加や見込み顧客の増加につながるとは限りません。あくまでも、マーケティング施策の1つとして展開し、改善を繰り返して徐々に効果をあげていきましょう。

そのため、シナリオの設計は必要最低限で構わず、自社の課題をクリアできる施策に力を注ぐことが大切です。

シナリオ設計はスモールスタートで始めてみよう

マーケティングオートメーションの運用ではシナリオ設計が重要ですが、初めてマーケティングオートメーションを導入する企業にとっては大変な作業という印象を持つ人もいるでしょう。

重要なのは、シナリオを展開することで「自社の見込み顧客の中から、いかに今、サービスを検討している顧客を見つけ出せるか」です。そのためにも、シンプルな運用からはじめ、継続的な改善を繰り返していくことをおすすめします。

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