マーケティングオートメーション(MA)とは?導入から使い方までやさしく解説
マーケティングを支援するツール『マーケティングオートメーション(MA)』は、国内外のさまざまな企業が注目しています。自社のマーケティング活動を効率化するために、マーケティングオートメーションの目的や使い方を知っておきましょう。
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プランごとの機能・価格や、サポート体制などをまとめています。
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Contents
マーケティングオートメーションの基本と目的
マーケティングオートメーション(MA)は、アメリカをはじめとしたマーケティングの先進国では一般的に普及しており、その市場規模も年々拡大傾向にあります。
マーケティング活動の効率化、市場の拡大やLTV(Life Time Value、顧客生涯価値)の向上といった効果が見込めます。それらを可能にするマーケティングオートメーションとは、どのようなものなのでしょうか。まずは概要から見ていきましょう。
MAは新規顧客獲得を自動化・可視化
MAとは、リード(見込み顧客)の獲得から営業担当者に引き渡すまでのマーケティング業務を自動化・可視化するためのツールです。
リードから収集した情報を一元管理し、そこから育成、絞り込みまでのプロセスを自動的に行い、誰の目にも分かる形で共有することを目的としています。
登場人物に合わせたアプローチを行う
見込み顧客の状況や関心度はさまざまです。現在はインターネットの普及などにより、企業がサービスや商品の購入に至るまでに調査・選択を済ませているケースも増えています。
一方で、自社製品に対する前知識がほとんどない見込み顧客もいるでしょう。また、購買に関係する担当者やプロセスが多く、稟議を通すまでに10人以上が関わる企業も少なくありません。
それぞれの担当者や企業を、関心の度合いや購入意欲などのステータスに合わせて管理し、それぞれに最適なアプローチをとるために、MAは用いられているのです。
まずは自社の状況やターゲットを把握
MAを導入する第一歩として、まずは自社の状況や、自社のマーケットがどの企業をターゲットにしているのかを正確に把握する必要があります。把握の方法や、リード獲得に関する課題について、最初に洗い出しを行いましょう。
見込み顧客リストに関する課題
見込み顧客のリストがあっても、それを活用できている企業が少ないというデータがあります。
2015年に電通イーマーケティングワンが法人営業担当者に対し行った調査によれば、およそ75.4%もの企業が「すべての営業リストに対しアプローチできていない」と回答しています。
顧客リストの中には『自社の活動やサービスに積極的に興味を持っている層』もいれば、『まだ興味本位の段階』という人もいます。そうした異なるステータスの顧客に対し、すべてにアプローチをしていくことの難しさを感じているマーケティング担当者が多いようです。
MAを導入する第一歩として、これらの課題をいかに解決していくかが挙げられます。
(参考:「法人営業の営業リストに関するアンケート調査」のレポートを発表 | 電通イーマーケティングワン)
潜在ニーズ、顕在ニーズの認識
顧客が持つニーズの中には『潜在ニーズ』と『顕在ニーズ』があります。顕在ニーズを拾うことはできていても、潜在ニーズについてはアプローチができていない企業も多いのではないでしょうか。
顕在ニーズとは、表層化している欲求のことです。例えば「よく眠りたい」という顕在ニーズをもって、寝具の購入を検討している人がいるとしましょう。その裏には、「疲れをとりたい」「ストレスから解放されたい」という潜在ニーズが潜んでいるかもしれません。
このような潜在ニーズからは、健康グッズやマッサージ器具なども、顧客が求めている可能性を発掘できるのです。潜在ニーズまでうまく拾いきることは難しいですが、LTV向上のためには必要です。
KPI、KGIの設定
マーケティング活動において、KPI・KGIを的確に設定することは必要不可欠です。正しい目標設定ができていなければ、何が原因で目標を達成できなかったのか、逆にどの要素が目標達成に大きく貢献できたのかを洗い出せません。
新たな施策や企画を立ち上げる場合に、前の施策の分析がうまくできずに再現性を担保できないまま、試行錯誤を繰り返すことになってしまい、効率が悪くなってしまうのです。
MAを的確に運用していくためにも、的確にKPI・KGIを設定しましょう。
ペルソナを考える
MAでは、リードを購買意欲や興味の段階によって分別することが重要です。そのため、そもそもリードのペルソナを考えることが求められます。
的確なペルソナ設計を行うために、次の点を押さえておきましょう。
購買プロセスごとに設計
同じサービスを利用するにしても、まだ潜在ニーズである段階の顧客もいれば、すでに情報が出そろい、あとは購入の意思決定を待つだけの顧客もいるなど、購買プロセスごとにペルソナの差があります。
この購買プロセスごとに、ペルソナを設計していくことが重要になります。特にBtoBマーケティングの場合、家族情報や住まいなどの個人情報よりも、役職や部署、勤続年数、売上目標といった企業の情報の方が重要です。
複数チャネルの活用が欠かせない
メールに限らず、SNSや企業のWebページなど、昨今のユーザーはさまざまなチャネルを用いて情報収集をしています。チャネルの数を企業側が制限してしまうと、偏った層のユーザー情報を獲得してしまうことになり、正確なペルソナ設計に繋がりません。
MAはさまざまなチャネルに対応しています。的確なペルソナを設計するためにも、多角的にチャネルを活用しましょう。
データ内容と適合するシナリオを作る
顧客にメールでアプローチする場合を想定してみましょう。顧客の興味があるものや、購入意欲の段階によって送るメールの内容は違うはずです。
さらにいえば、購入した商品と合わせて使える商品を宣伝したり、以前に購入したサービスがアップデートしたことを伝えるメールを送ったりするなど、顧客の現在の状況によって異なった対応が求められます。
この顧客の状態や状況に合わせてさまざまに考えられる方法の作成を、MAでは『シナリオ化』と呼ぶことがあります。シナリオの作成はMAを活用するうえで必要なプロセスです。シナリオを作成する際の注意点やコツについて、見ていきましょう。
シナリオ型ジャーニーマップのメリット
シナリオを作るメリットは、顧客の状況に合わせて最適なアプローチが取れること、担当者によってアプローチに差異がないことが挙げられるでしょう。
新人営業担当者とベテランの担当者では、アプローチや成果に差が出てしまいます。シナリオを作成することで、新人であってもベテランであっても、適切なアプローチを顧客ごとにとることができ、一定の成果を見込めることがメリットです。
最初から細かく作成する必要はない
シナリオの作成には一定以上の顧客情報が必要です。現状のデータで不明瞭な部分まで、細かく作る必要はありません。データのない細部まで作成するとなると、作成者の想像や会社の都合で補う部分が出てきてしまうからです。
実状と異なる可能性も高く、正確なデータが取れない、現場が混乱してしまうなどの問題点が考えられます。データを収集しながら、アップデートを繰り返していきましょう。
そもそもデータがない場合は?
初動の段階では、そもそもシナリオを作成するだけのデータがない場合も考えられます。そのような場合は、まず『行動プロセスのシナリオ』を考えましょう。
顧客がどのように自社の商品やサービスを知り、購入に至るのかという経路を設計します。そのプロセスごとに、情報収集を行うのです。
売上などの成果には直接は結びつきませんが、シナリオを作成するためには重要なプロセスです。シナリオ作成の準備と割り切りましょう。
見込み顧客の意識を4段階でイメージ
見込み顧客の意識は、購入のプロセスごとにいくつかの段階があります。ここでは大きく4段階に捉えて、見込み顧客の意識を具体的に分層化していきましょう。
購入の意思がある『今すぐ客』
すでにサービスや商品に対して十分に購入の必要性や条件の検討を終えていて、「今すぐに購入したい」と思っている見込み顧客です。
この状態の見込み顧客は商品をオファーできれば、高い確率で購入まで持っていくことができます。ただし、この段階の見込み顧客は数が少なく、競合との奪い合いになる可能性も高いでしょう。
そのため、今すぐ行動に移せるような申込ページの紹介、すぐに見込み顧客の目に触れるような広告の設置が必要になります。
検討中の『お悩み客』
商品の必要性は感じているものの、欲しいとまではいかない層のことです。競合の商品との間で揺れていたり、金額面など何らかの問題があって購入にまで至っていなかったりする可能性が高い状態にあります。
この段階の見込み顧客に対しては、見込み顧客が悩んでいる課題や条件について、自社商品が解決できることをアピールする必要があります。課題や条件を解決すれば、すぐに購入の意思決定を行うケースも多いはずです。
興味はある『そのうち客』
必要性や興味は感じていても、緊急性がないために購入にまで至っていない状態です。見込み顧客育成の初動段階になります。
購入しないことによるデメリットの提示や、購入することで悩みの解消、便利になる点など、サービスや商品に対してより深くアプローチをすることが重要になります。
必要性を感じていない『まだまだ客』
多少の興味はあっても、必要性や購入意欲はない状態です。積極的な営業やアプローチはほぼ意味がないため、まずは悩み客の段階へ移行してもらうための情報(コンテンツ)を提供することが必要になります。
ブログやオウンドメディアなどを用いて、まずは悩みや潜在ニーズを意識してもらうところから始めてみましょう。
見込み顧客の獲得
MAでは、まずは見込み顧客の創出(リードジェネレーション)から始まります。『まだまだ客』を見込み顧客として引き入れていくために、どのような施策が必要になってくるのでしょうか。
時代に合ったオンライン施策
現在は情報収集にもインターネットを活用するのが一般的です。従って、オンライン施策を行うことで自然と窓口が広がります。
FacebookなどのSNSと連携した広告やパブリックDMP(Data Management Platform)サービスを利用した広告の出稿、Webパーソナライゼーションなどを用いましょう。
これらは、顧客のIPアドレスや検索履歴から住所や企業名、検索履歴などを検出して、最寄りの店舗や検索履歴に近い商品を広告表示するような機能があります。
ランディングページの作成や申請フォームの作成なども行うことで、企業側から直接的に顧客に対しアプローチをすることも可能になります。
従来の営業も続ける
セミナーやイベントの開催、名刺交換など従来の営業活動も、オンライン活動と合わせて続けていきましょう。
ヒアリングをはじめ直接意見を聞くことで、オンライン活動では獲得できない別のニーズや情報を入手できる可能性があるからです。業種や企業形態によっては、オンラインよりもニーズが高いケースもあります。
オンラインとオフライン、両方からアプローチを続けることが重要です。
見込み顧客の育成の具体例
必要性を感じていない『まだまだ客』に興味を持たせたり、購入について悩んでいる『お悩み客』の課題を解決し、『今すぐ客』へと育成したりすることを『見込み顧客の育成』(リードナーチャリング)と呼びます。
リードナーチャリングにはいくつもの手法があります。その中でも代表的なものを紹介しましょう。
コンテンツマーケティングでファン作り
コンテンツマーケティングは顧客が興味関心を持つコンテンツを作成し、その情報を通じて、信頼や関係性を構築していくという手法です。オウンドメディアやビジネスブログ、メルマガ配信などの手法があります。
コンテンツマーケティングは、潜在ニーズに働きかけるのに最適です。日常的な悩みや問題に対し、解決策を自社の製品やサービスが持っていることを訴えかけたり、面白い内容のコンテンツから、まず自社のファンになってもらったりすることを目的としている場合が多くあります。
そしてファンになったり興味を持ったりした顧客に対しては、ステップメールやプレミアムコンテンツを配信することで、より深い信頼関係を築いていきます。
興味がありそうなウェビナーの案内
参加費や商品紹介で利益を上げることが目的ではなく、企業の活動やノウハウを伝えることで、ファンになってもらうことを目的としたセミナーも、リード育成の手法の一つです。
社会的情勢や新型コロナウイルスなどの影響もあり、オフラインのセミナー開催が難しくなってきた企業が、『ウェビナー』と呼ばれるオンラインセミナーを開催するケースも増えています。
顧客の課題や悩みを解決するような内容にできれば、リード育成に十分貢献できるでしょう。
ソーシャルメディアによる情報発信
ソーシャルメディア(SNS)により、自社の活動やPRを発信するのもリード育成に有効です。
SNSは企業側が開始するのにもハードルが低く、リード側も気軽に利用できるメリットがあります。ウェビナーや自社サイトへ誘導するなど、より効果的な発信への窓口にもなり得るでしょう。
SNSにはさまざまなものがあるため、ペルソナやターゲットを見極めたうえで、運用するSNSを選ぶことが重要です。
見込み顧客のリサイクル
見込み顧客を獲得する活動を行ったとしても、タイミングが合わない、購入を急いでいないといった理由で顧客になり得なかった企業も出てくるでしょう。そうしたケースでは、再び見込み顧客となり得るチャンスがあります。
失注商談も次のチャンスをねらう
商談化や購入までたどり着けなかった顧客であっても、再び顧客となる可能性は捨てきれません。むしろ、その段階までこぎ着けられたのであれば、自社との親和性が高く、再びチャンスが巡ってくる可能性は大いにあります。
顧客の悩みや課題などのヒアリングもできていれば、有力な見込み顧客となる可能性は低くありません。MAによって再度アプローチを行いましょう。
掘り起こしも育成の一環
自社のサービスの利用をやめてしまった休眠顧客を掘り起こすことも、ナーチャリングの一環です。
どのような理由で自社との取引をやめてしまったのかを分析して再度アプローチをかけたり、新商品やサービスの更新があった時点でアプローチをかけたりすることで、再びリード獲得ができる可能性があります。
1度は顧客となり得た休眠顧客は自社との親和性も高く、有力顧客となり得る可能性を秘めているのです。
営業に引き継ぐための見込み顧客の選別
マーケティング担当者から営業担当者に見込み顧客を引き継ぐためには、顧客のステージや親和性などを数値化(スコアリング)することが重要になります。スコアリングのポイントや課題について、あらかじめ踏まえておきましょう。
スコアリングの必要性
スコアリングは、自社のターゲット像にどれほど当てはまるのか、顧客の関心や理解度、購買意欲などを数値化する評価方法です。
資料をダウンロードしたら5点、メールを閲覧したら3点、というような行動によるスコアリングと、管理職なら5点、従業員500名以上の会社なら10点、といったように属性別のスコアリングを行います。
これによって、営業担当者に引き継いだ際、営業担当者は優先すべき見込み顧客が、スコアによって分かるような仕組みです。多数の顧客リストの中ですべての顧客に対して平等にアプローチをしていくのは現実的に無理があります。優先順位を決めるスコアリングは、営業担当者にとって重要な指標です。
また、スコアの点数の違いでアプローチを変えるといったように、スコアは顧客対応の指針とすることもできます。
完璧なスコアリング設計は難しい
環境や意思決定の基準、興味のある分野などは顧客ごとに異なります。それらすべてを、同じ採点方法でスコアをつけるのは難しく、仮に100点のスコアを出した見込み顧客がいたとしても、必ず成約に至るとは限りません。
また、スコアを細かくつけようと項目を細分化すると、管理が大変になります。スコアリングを設計する際には、始めから完璧なスコアリング項目を設計するのではなく、顧客データ野営行からのフィードバックを受けて、何度も改善していくことを検討しましょう。
MAツールは何ができる?
顧客の管理やスコアリングは、現在のマーケティングにおいて成果を出すために必要な作業です。しかし、限られたリソースの中では、顧客数が増えるほど成果を出すのが困難になります。
そこで、それらの作業の一部を自動化するために用いられるのがマーケティングオートメーション(MA)です。MAにより、どんな作業が自動化できるのかを把握しましょう。
見込み顧客リストの一元管理
一般的にBtoB企業は、様々な方法で見込み顧客を獲得しています。主に下記のような方法が見込み顧客の獲得につながっているといえるでしょう。
- 展示会への出展
- 広告出稿
- コールドコールによるテレアポ
- SEO対策
- コンテンツマーケティング
- 外部リード獲得
- メディアへの掲載
様々な方法で見込み顧客のリストを取得することは可能であるものの、それぞれの取得形式はバラバラになりがちです。また、データとして取り込むこともできたとしても、マーケティングオートメーションを活用しなければ、人の手で管理する必要があります。
加えて、自社サービスや商品に対する購入確度も顧客ごとに異なることから、人の手によって顧客の属性を細分化することは困難だといえるでしょう。
しかし、マーケティングオートメーションでは、見込み顧客リストを自動的に一元管理することができます。獲得した方法や見込み顧客ごとの検討度合い、これまでのコミュニケーション履歴などをダブりなく管理することができます。併せて、購入確度にあわせてスコアリングや行動による分類分けなども行うことが可能です。
このように、見込み顧客の管理という面では、マーケティングオートメーションは非常に高い効果を発揮することができます。
メール配信や行動追跡を自動化
見込み顧客に対するメールの配信、Web上の行動をトラッキングできる機能などがあります。
メールは見込み顧客のスコアやステータスによって、顧客ごとに別のメールを送るといったことも可能ですし、メールの開封率や、メール内のリンクにアクセスしたかどうかも集計できます。スコアリングやメールの効果測定などにも役立つでしょう。
行動追跡は、企業のIPアドレスや担当者のIPアドレスを追跡し、どんな商品や自社のサービスに興味があるのかを判定するのに役立ちます。
今すぐ客を抽出
今すぐ客(ホットリード)の抽出も可能です。今すぐ客とは、リードの中でも成約に対する意欲が高い層のことでした。行動追跡によって、自社の製品やサービスサイトに何度も訪問していたり、資料請求などの積極的に情報収集を行っていたりするリードを抽出することができます。
今すぐ客は数も少なく、競合も多いので他企業に営業をかけられてしまう可能性も大きいでしょう。今すぐ客を判別し、すぐにアプローチをかけるためにもMAは有効です。
MAツールのメリットは?
MAツールを導入することで、企業にとってどのようなメリットがあるのかを解説します。効率化や業績向上の可能性の観点から見ていきましょう。
効率的に業務を遂行できミスも防げる
データの抽出や編集などの作業は、人の手で行うと膨大な時間がかかりますし、細かい作業なのでミスも発生しがちです。
MAを導入することで、顧客データの抽出や分析が自動で行えるようになります。人的リソースを削減できるだけでなく、機械が入力するためミスの発生も防げるのは、大きなメリットといえるでしょう。
Web経由の見込み顧客獲得に大きく貢献
MAツールを導入することで、自社サイトを訪れた顧客の足取りや、滞在時間が分かるようになります。それによって、よく閲覧されるページ同士に導線を引いたり、より滞在時間を長くしたいページを改良したりするといった工夫を施すことが可能です。
また、IPを追跡して、訪問した企業や担当者の業種や役職、企業規模などを把握することもできます。企業ごとにアプローチを変えたり、どんな企業が自社に訪問しているのかを知ったりできるので、リード獲得に大きく貢献します。
社内の意識が変わる
MAを導入することで、KPI・KGIが明確化します。これにより、社員がどんな行動に注力すればよいのかが明確になり、目的意識を持って行動するようになるでしょう。
また、どの施策が売上や業績に対して効果をもたらしているのかが分かるようになり、目標や施策効果を意識して、社員が行動できるようになるのもMAの効果として期待できます。
漠然と業務に勤しむのではなく、社員1人1人が、自分の行動がいかに企業に貢献するのかを考えるようになるのです。
BtoBのマーケティングオートメーションツールに必要な機能
BtoB向けのMAツールにはどのような機能が求められるのでしょうか。BtoCとの違いを挙げたうえで、必要な機能について解説します。
リードナーチャリングが重要になる
BtoBマーケティングでは、すでに顧客がサービスや商品について情報収集を行っている可能性が高く、また購入には稟議を通すこともあり、今すぐ客であってもスピーディーに決裁までたどり着くとは限りません。
そのため、自社との信頼関係を構築する『リードナーチャリング』が重要になります。見込み顧客を育成して、自社のファンになってもらうと同時に、自社の商品やサービスに対して理解を深めてもらうことが求められるのです。
ベストタイミングで接触回数を増やせる
BtoBとBtoCの大きな違いは、BtoBにおいては決裁権を持つ担当者が1人とは限らないという点です。商談をクロージングするまでの期間が長くなりがちで、多くの接触回数を持つことになります。
接触回数を多く持つことは、『ザイオンス効果』(何度も見聞きしたものについては好感を持ちやすくなるという心理学効果)の観点から見ても好ましいことです。Webの履歴やメールに対するアクションなどから、ベストなタイミングを見計らい、接触回数を増やせる機能が、BtoB向けのMAには求められます。
営業部門と連携できる
BtoBでの商談は、最終的に営業担当者がクロージングすることになります。MAツールによって情報の収集や分析を行うマーケティング担当者と、その情報を有効活用する営業部門との連携は不可欠です。
見込み顧客の情報をマーケティング部門から共有すること、情報管理の一元化などが重要ですが、営業部門側からの働きかけも必要です。
有力顧客の情報や交換した名刺などの情報を自分で抱え込んでしまうような営業担当者の姿勢は、MAを有効活用する観点からは好ましくはありません。営業担当者が営業先から仕入れた情報を共有する仕組みや評価制度を作ることも、MAを活かすうえでは重要です。
3つのMAツールの個性と機能を紹介
BtoBマーケティングにおすすめのMAツールの個性と機能を紹介します。MAを導入する際の参考にしてみてください。
ホットな通知でタイミングを逃さない List Finder
『List Finder』は、シンプルで使いやすいUIと、初期費用・月額費用がお手頃価格で導入しやすいのが魅力です。優れた機能も多くあります。
アクセス解析・メール配信などのBtoBのマーケティングに欲しい機能が揃っているほかに、名刺のデータ化・スコアリングなど営業部門との連携をとりやすい機能もあります。
特に、顧客担当がWebサイトに訪問した際にはそれをリアルタイムで通知する機能があり、顧客が興味を示したタイミングを逃しません。
導入事例も多くWebサイトに掲載されており、自社との比較がしやすく、サポートも充実しているMAツールです。
マーケティングオートメーション List Finder(リストファインダー)
直観的なシナリオ作成が可能 Kairos3
MAを導入する際の課題の一つとなるのが、顧客のステータスやスコアによってどのようにアプローチしていくかという『シナリオ』です。『Kairos3』は、マウス操作のみでシナリオを設計できる機能を有しています。
可視化もしやすく、リードの流れが一目で分かる見やすさが魅力です。セミナーや展示会などオフラインでも連携できます。メール配信やリード管理などの基本的な機能も申し分ありません。
あらゆるチャネルに対応 シャノン
『シャノン』は広告やSNSとの連携、メールマーケティングなど幅広いチャネルに対応しています。企業が企画するマーケティングキャンペーンを、あらゆるチャネルで管理する『マルチチャネルキャンペーン管理』機能など、複数のチャネルをアクティブに使う際に便利です。
広告の効果測定やスコアリング、CRMとの連携など幅広い用途で使える特徴を持っています。
MAツールを活用するために
MAツールを導入しても、機能や効果を十全に活かせなければ効果的とはいえません。MAツールの性能を十分に発揮するためには、どのようなポイントを押さえておくべきなのでしょうか。
活動支援をサポートしてくれるツールを選ぶ
活用するためには、そのMAツールについての知識や、実際に活用したことのある人材のサポートを得るのが一番です。社内にそういった人材を入れるというのも有効ですが、すぐにできる対策としては、導入する前から導入後までのサポートをしてくれるツールを選ぶことです。
先に紹介した『List Finder』などは、導入前からのヒアリングにはじまり、運用のサポートやコンサルまで行ってくれます。こうしたサポート体制のあるMAツールならば、ツールの持つ性能をフルに活用することが可能です。
担当者のリソースを確保する
MAツールは導入して終わりというわけではありません。スコアリング項目やシナリオの見直し、営業担当者からのフィードバックの反映など、PDCAサイクルを回し、より精度を上げていくことが求められます。
そのためには、MAツールの担当者が改善や施策を提供できるだけのリソースを確保することが重要です。
仕組みの理解と現状把握が大切
MAを導入し、活用するにはなぜMAを導入するのかの必要性への理解、MAによってどんなことができるのかといった機能や仕組みへの理解が不可欠です。
昨今のBtoBマーケティングは、企業側が決裁までのプロセスの複雑化や情報収集を行うことが一般的となり、マーケティング担当者・営業担当者の負担が大きくなりやすい傾向があります。
これを解消し、かつ効率的にマーケティング活動を行うためにも、MAを有効活用してみてはいかがでしょうか。